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小川洋子「最果てアーケード」

2012年11月25日 | あ行の作家

 

講談社

2012年6月 第1刷発行

221頁

 

 

そこは世界で一番小さなアーケードだった

入口はひっそりとして目立たず、そこから覗くと中は、目が慣れるまでしばらく時間がかかるくらいに薄暗い

通路は狭く、所々敷石が欠け、ほんの十数メートル先はもう行き止まりになっている

 

父が大家だったため、このアーケードで生まれた「私」

町の大半が焼ける大火事があり、近所の映画館にいた父は死んでしまった

あたりは全部焼失したのに、なぜかアーケードだけは焼け残った

 

アーケードの店が扱うものは

用済みの絵葉書、義眼、徽章、発条(バネ)、玩具の楽器、人形専用の帽子、ドアノブ、化石…

どれもこれも窪みにはあったまま身動きが取れなくなり、じっと息を殺しているような品物ばかりだ

 

「私」の仕事は、アーケードに買い物に来たお客さんの自宅まで品物を配達すること

 

「私」の孤独、喪失感は息苦しくなるほどです

普通の生活が送られている町とアーケードは同じ時空に存在しているのでしょうか

特別な『通路』のようなものがあって、失われた物、あるいは者への思いの強い人だけがこの最果てアーケードに辿り着くことが出来るのではないか、とも思いました

 

ところが

用済みの絵葉書

東京・大手町の逓信博物館のお土産コーナーに用済みの封筒・絵葉書などが売られていたのを思い出しました

小川さんの描いた最果てアーケードで売られている商品は、実際にそんなもの売ってないでしょう、と思いがちな物ばかりですが、案外ある場所にはある物なのかもしれませんね

そんなことを想像すると、最果てアーケードもきっとどこかにあるに違いないと思えてくる

不思議な小説世界でした

 

 

 

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