美加レディースクリニック いちご通信

クリニック情報を発信していきます。

自然妊娠の確率をあげるには?

2017-05-25 13:44:08 | 教えて美加ドクター 院長ブログ

自然妊娠の確率をあげるためのアドバイス

 (アメリカ生殖医学会)

妊娠しやすいいライフスタイルや性生活のあり方について、アドバイスしてほしいと患者さんから言われることが多いですが、エビデンスに基づいたガイドラインは、これまでありませんでした。

今回、アメリカ生殖医学会の学会誌 「Fertility & Sterlility」に、専門家の意見がまとめられました。

これから妊娠を考えている(まだ不妊かどうかわからない)ご夫婦に対し、今後、どのくらいの期間で妊娠できるのか?妊娠しやすいライフスタイルとは?性交渉の頻度は?などについてです。

その内容をご紹介したいと思います。

 

1. 妊娠までの期間と 妊娠しやすさ(妊娠力)

 

1). だいたい80%の夫婦は最初の6か月以内に妊娠するが、特に妊娠しやすいのは、最初の3か月である

2) 妊娠しやすさ(妊娠力)は人種によって異なるが、女性も男性も、加齢に伴い妊娠力は低下する。

    ・加齢による影響は、特に女性で顕著であり、35歳以上で妊娠力は著しく低下する。

・   30代後半の女性の妊娠力は、20代前半の女性の妊娠力の約半分に減少する。

    ・男性も35歳以降は、精液所見が悪くなってくるが、50歳くらいまでは、妊娠力の低下はそれほど顕著ではない。

 

2. 不妊症?

 

) 定期的な性交渉がありながら、12か月妊娠しない場合を不妊症と診断します。

2) 35歳以上の女性は、加齢による妊娠力の低下が急速であるため、6か月妊娠しなければ、不妊の検査を受けることをお勧めします。

 

3. 妊娠しやすい性生活の頻度 :

最低でも、1日おきまたは2日おきの性交渉が妊娠率をあげる。

 

1) 5日以上の禁欲は精子の状態が不良になるので、2日以内の禁欲をすすめる

2)頻回の射精は精子数が減少して妊娠率が低下すると思われがちだが、実際は、毎日射精しても、精子数や精子の運動率は変わらない。(1万件の精液検査のデータによると)

3 )驚いたことに、乏精子症の患者の場合、毎日射精したほうが、精子濃度も運動率も最も多くなった。

4) 221組の不妊でないカップルにおける研究では、

・最も妊娠率が高かった月は、毎日性交渉を持った場合で、1周期の妊娠率は37%だった。

    ・1日おきに性交渉を持った場合は、1周期33%の妊娠率だった。

    ・1週間に1回の性交渉の場合、1周期の妊娠率は、15%に減少した。

 妊娠を意識しすぎるとストレスとなり、性欲を低下させ、性交渉の満足感も減少し、性交渉の頻度も減少することになる。

 

4. 妊娠の決め手は、タイミングの時期と頸管粘液の状態!

 

①   性交渉をもって、妊娠可能なのは、排卵日の6日前から。

妊娠するには、経管粘液の状態が重要なカギとなる。

 

(経管粘液は、排卵日が近くなると、子宮の入り口(経管)の分泌腺から、出てくる透明な伸びるおりもののことで、射精された精子は経管粘液を介して子宮に入っていく。この液が透明でさらさらしていて水っぽいと、精子はスムーズに泳ぎやすく、ネバネバしていると、精子が粘液につかまってしまい、泳げないので、子宮に侵入できない。)

 

②  タイミングで妊娠しやすい日は、排卵日の1~2日前だが、

最も妊娠率が高い日は、排卵日の1日前。

 

③月経周期が順調な女性でも、自分の体の状態から、排卵日を正確に感じることは、難しく、正しくわかるの周期は、50%以下なので、排卵検査薬などを使ったほうがより確実である。

 

④経管粘液の状態と妊娠率

・頸管粘液の分泌量が多く、さらさらつるつるしていて、透明で水っぽい場合の妊娠率は38%

・粘液の分泌がピークになるのは排卵日の1日前で、そこでタイミングを持った場合、妊娠率は38%

・粘液が少ないまたはねばねばしているときに性交渉を持った場合の妊娠率は15~20%

 

性交渉を頻回にもてない場合

基礎体温の記録を行うことと、尿のLH検査薬を使って排卵日を確認するとよい。

尿の検査でLH陽性の少なくとも2日以内に排卵するが、偽陽性が7%ほどあるので、注意が必要。

 

5 性交渉の実際

①   性交後、しばらく骨盤高位を保ち、安静をとることは必要ない。

 

(性交後、しばらく仰向けに寝ていたほうが膣からの精液の逆流が防がれ精子が子宮内に入りやすいと考えて、儀式のように行っている場合が多いが、そのほうが妊娠しやすいという科学的根拠はない。)

子宮頸部にはいった精子は15分以内に卵管采に到達する。

ラベルをつけたパーティクルを用いたある研究によると、膣の中の精子は2分以内に卵管采に到達する。興味深いことに、パーティクル(精子)は、排卵しようとしているドミナントフォリクルのある側の卵管に多量にみられ、反対側の卵管にはみられないパーティクル(精子)は卵胞のサイズの増加に伴い増加し、オキシトシンの投与によっても増加する。オキシトシンは、性交渉とオーガズムによって分泌される。

 

②   体位によって妊娠率が変わるというエビデンスはない。体位に関係なく、精子は、射精後数秒以内に、子宮経管にはいっている。

③   オーガズムは精子の卵管への移送を促進する可能性があるが、オーガズムの有無と妊娠率に関する関連性はわかっていない。

④  性交用のゼリーの使用は、妊娠率を低下させるので、使用しないこと

ゼリーは精子の運動率を低下させてしまう。60分以内に精子の運動率が60%~100%減少するので、使用しないこと。

ミネラルオイルやキャノーラオイルではそのような作用がないので、どうしても必要な場合は、これらを使用したほうがいい。

 

6.食事とライフスタイル

 健康的なライフスタイルは排卵障害を有する女性の妊娠率をあげる

 

1)  やせ、肥満

やせの女性も肥満の女性も妊娠率は低下するが、

BMI 35以上では、妊娠までの期間が2倍かかる。

BMI 19未満では、妊娠までの期間が4倍かかる。

 

2)  食生活

・菜食主義、低脂肪食、ビタミンの多い食事、抗酸化物質の摂取、ハーブなどは妊娠率をあげるというごくわずかなエビデンスがある。

 

・魚貝類の摂取が多すぎると、血中の水銀濃度が高くなり、不妊につながる。

・葉酸の摂取は、無脳児や神経管異常の発生率を下げる

 

3) 喫煙と不妊

喫煙は有意に妊娠率を下げる。

喫煙者10928人と非喫煙者19128人でのデータでは、

・喫煙は不妊のリスクを1.60倍高める。

・閉経年齢が1歳から4歳早まることから、喫煙は、卵子の枯渇を加速する。

・流産のリスクが上昇する。

・喫煙は、男性の精子濃度、運動率を低下させ、奇形精子の率が増加することにより、妊娠率が低下する。

 

4)アルコール

・飲酒と女性の妊娠力については明確なデータは得られていない。

しかし、かなり多量の飲酒は妊娠率を低下させる。

・男性の飲酒と精液検査との関係は認められていない。

 

5)    カフェイン

・多量のカフェイン 1日コップ5杯以上のコーヒーまたは、それに相当するカフェインは、妊娠率を低下させる。

6)    その他

・女性のサウナは問題ない

・男性は、サウナなどの高温環境は避けたほうがいい

・大気汚染、環境汚染、有毒物質、化学物質への暴露はさけたほうがいい

・職業からくる影響:印刷やドライクリーニングなどのある種の溶液や毒素を使う仕事

・・農業、造園業などの場合、農薬、殺虫剤の影響などにも注意

・男性も重金属への暴露を避ける 鉛、電磁波は、精子への影響がある

 美加レディースクリニック

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

4か月以内に、50%の方が妊娠しています!

2017-04-13 13:44:37 | 教えて美加ドクター 院長ブログ

4周期以内に、50%、6周期までに、68.1%, 12周期までに、80.7%の方が妊娠しています!

 

これらは、一般不妊治療での妊娠です。

きめては、まずは、卵管造影検査を行うこと、次に、頸管粘液の分泌改善、精子の運動率改善です。

 

当院では、なるべく簡単な治療で早い妊娠を目指します。

それぞれの患者さんの状態を把握し、的確な治療を行うことで、早い妊娠が可能です。

 

2015年度の不妊初診患者は413名で、計280名の方が妊娠されました。

1回しか受診されていない方もいるので、ちゃんと通院されていた方の8割が1年以内に妊娠されています。

初診後4周期までに50.3%が妊娠し、6周期までに68.1%、12周期までに80.7%が妊娠に至っています。

<クリニック基本理念・方針について>

それぞれの患者様の不妊原因を的確に診断し、効率の良い治療を行うことにより、まずは、一般不妊治療での数ヵ月以内の妊娠をめざしています。

どうしても必要な場合に高度生殖医療を行います。

常に最新の技術を取り入れ、患者様にご満足いただけるような高い医療レベルを保つことをめざしています。

医師だけでなくスタッフの学会参加、研修にも力をいれています。

不妊予防のための啓蒙活動にも力を入れています。

美加レディースクリニック

 

 

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

なかなか妊娠しないのはなぜ? 女性の年齢と胚の染色体異常率、着床率について

2017-03-11 15:25:16 | 教えて美加ドクター 院長ブログ

美加レディースクリニック

2013年12月号の「Fertility and Sterility」に掲載された論文をご紹介します。Fertil Steril. 2013 Dec;100(6):1695-703.

胚の染色体異常率は、年齢とともに増加します。不妊治療を成功させるためには、とにかく年齢が重要であることを知ってもらいたいので、ご紹介したいと思います。

この研究では、体外受精を行って得られた受精卵(胚)の染色体を調べて、正常の胚を選んで移植する「着床前スクリーニング(PGS)」という方法を、行いました。

年齢別に、35歳未満、35~37歳、38~40歳、41~42歳、43~44歳 の 5つのグループにわけ、以下のように、とても多数の胚の染色体を調べています。

  分割期胚  3412個  (461周期)

   胚盤胞   2467個  (462周期)

 

 受精後3日後の分割期胚の染色体異常率は、35歳未満だと53%が異常胚ですが、43~44歳では、93%が異常胚です。

 受精後5~6日後の胚盤胞では、35歳未満だと、染色体異常胚は、32%ですが、43~44歳では、84. 8%が異常胚です。

 分割期胚よりも、胚盤胞まで発育した胚で検査したほうが、染色体異常率が少し低くなります。

 年齢が高くなると、異常胚が多いために、体外受精ー胚移植を行っても、妊娠しない、または、妊娠しても流産してしまう確率が高くなります。

 そのため、見た目はきれいな、胚盤胞の移植を何回も行っても妊娠しない・・・ということが起きます。

 40歳以下と、41歳以上では、異常胚の率が、随分増えてくることがわかります。

 胚盤胞の染色体異常率は 38歳~40歳だと、43.1%ですが、41歳~42歳では、76.3%にはねあがってしまいます。

 この発表の着床率で計算してみると、

   38~40歳だと、正常胚を移植しても、着床率が、47.2%なので、正常胚56.9%×47.2%≒26.3%

   PGSを行わないで胚移植を行った場合

       胚盤胞移植  4回に 1回の妊娠の確率ということになります。

   41~42歳の場合、正常胚23.7%×着床率40.4%≒9.3%

       胚盤胞移植  10~11回に 1回の妊娠の確率ということになります。

 

      少しでも若い年齢で治療を開始することが、成功のカギです!

 

D3の分割期胚の生検
D5~6の胚盤胞の生検
  年齢    着床率   染色体異常率   年齢    着床率   染色体異常率
<35歳未満  40.6% (73/180)  53.1% (530/999) <35歳未満  51.1% (119/233)  31.7% (306/966)
35–37  43.6% (44/101)  68.2% (420/616) 35–37  54.2% (65/120)  44.2% (237/536)
38–40  42.1% (59/140)  73.7% (659/894) 38–40  47.2% (59/125)  43.1% (324/751)
41–42  31.6% (18/57)  85.8% (460/536) 41–42  40.4% (19/47)  76.3% (200/262)
43歳以上   7/30  92.6% (340/367) 43歳以上    5/18  84.8% (112/132)
P value NS    <.001 P value    NS     <.001
合計 39.6% (201/508) 70.6% (2409/3412) 合計 49.2% (267/543)

47.8% (1179/2467)

美加レディースクリニック

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

鍼灸の効果について

2017-03-07 16:15:29 | 生殖医療相談士

こんにちは

生殖医療相談士です。

 

2月18日に名古屋で生殖医療相談士の研修会に参加してきました

その中で『不妊鍼灸のエビデンスと不妊クリニックの連携について』というテーマがありまた。

その中で学んだ「鍼灸」ついて少し紹介したいと思います

 

『鍼灸』というのは、「経穴」俗にいう『ツボ』に鍼やお灸をすることです。

『ツボ』は疾病の際に反応表す点です。

「ストレスがかかると・・・」 ストレス皮膚や筋肉の反応(筋肉の収縮)『ツボ』の反応

「鍼灸の刺激にて・・・」   ツボ』の刺激皮膚や筋への刺激体調の変化(異常な筋肉の収縮が落ちつく)

 

【筋肉の異常な緊張を和らげる血流が良くなる副交感神経優位リラックス効果

鍼灸治療の効果の例・・自律神経の調整:緊張緩和・ホルモンバランス・免疫系への調整など


不妊鍼灸は安心・安全の不妊鍼灸ネットワーク」の認定鍼灸院を検索してみてください。



当院では『ベビ待ち相談室』にて、妊娠に関するご相談お行っています。

ご希望の方は電話にてお問い合わせください

美加レディースクリニック

                               

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

着床前スクリーニング(PGS)の有用性について

2017-02-23 14:27:15 | 教えて美加ドクター 院長ブログ

PGSの有用性については、海外で多くの発表がなされています。
2014年の米国のデータによると、年齢が高くなるほど、染色体異常の胚の率が増加し、PGSの有用性が高まることが報告されています。
年齢34歳以下の場合、PGSを行わない場合の、胚移植あたりの、妊娠継続または無事出産した率は、48%、それがPGSを行った場合は、84%に増加します。...
年齢が41~42歳の場合は、PGSなしで、7%しか成功しないのが、PGSを行うと、67%になります。年齢43歳以上の場合は、PGSなしでは、0%、PGSを行うと100%となっています。
ただし、体外受精周期から見ると、高齢になればなるほど、体外受精を行って得られた胚のPGSを行った結果、1個も正常の染色体がなく、胚移移植を行えない場合も増加します。34歳以下では、46周期の体外受精中、胚移植を行えたのが43周期ですが、41~42歳では、28周期の体外受精で、胚移植を行えたのは12周期のみ、43歳以上になると、8周期の体外受精で、胚移植を行えたのは、1周期のみという結果でした。
 PGSを行わなければ、胚移植できる率は高くなりますが、実際に出産に至る割合はかなり低くなります。

以下は、PGSを行った場合と行わなかった場合の出産(または妊娠継続中)率をしめしたものです。胚移植当たりの比較です。年齢が高くなるほどPGSを行った方が胚移植あたりの出産にいたる確率は高まるように思えます。異常胚を移植することがないので、移植しても着床しない胚や流産してしまう胚が、除かれるので、不要な胚移植を避けられるからです。

 

   <PGSの有無による胚移植あたりの出産(または妊娠継続中)の割合>

年齢       PGSを行った群     PGS無しの群           p Value
34才以下        84%         48%              *p≤0.01
35-37才        76%         53%             * p≤0.05
38-40才        84%         29%             *p≤0.01
41-42才        67%           7%             *p≤0.01
43歳以上       100%          0%              p=0.11

  <PGSの有無による胚移植あたりの着床率>

年齢         着床率%                        p Value
           PGSを行った群      PGS無しの群
34才以下       85%           40%           *p≤0.01
35-37才       79%           37%           *p≤0.01
38-40 才       81%           24%           *p≤0.01
41-42才       72%            3%            *p≤0.01
43歳以上      100%           0%            *p≤0.05

◎PGSを行った群で、   
体外受精周期のうち胚移植を行えた周期での出産(または妊娠継続中)の割合

年齢        IVF周期中/胚移植を行えた周期
≤34歳        46 周期中/ 43周期          出産  78%
35-37歳       43周期中 / 41周期         出産  72%
38-40歳       47周期中 / 37周期         出産  66%
41-42歳       28周期中 / 12周期         出産  29%
43歳以上       8周期中 / 1周期          出産  13%

美加レディースクリニック

コメント
この記事をはてなブックマークに追加