おぉきに。

気が向いたら読書感想を書き、ねこに癒され、ありがとうと言える日々を過ごしたい。

【『ミステリ国の人々』刊行記念トークイベント】(2/2)

2017-06-18 20:40:35 | イベントレポ
(MC・二村さん。有栖川さんは11歳の頃から推理小説を書き始めたということですが?)
有栖川先生。そうですね、10歳でミステリを読んで、11歳くらいから書き始めて……文章書くのは好きだったですね。それまではマンガとか描いてました。子供って何にしても「書き」ますよね。ホームズ「みたいな」探偵の出るものを書いてました。

この「ミステリー国の人々」は1月3日から連載が始まって、12月25日のちょうどクリスマスが最終回。
クリスティをどこで入れようかと思ってた。夏頃?秋口にするか?で、最終回がクリスマスなら、と。
「クリスマスにはクリスティーを」というコピー、あれハヤカワに問い合わせました。クリスティはハヤカワなので。『カーテン』、死んだあとで遺産の配分が間違ってないか?とか。
戸川さんにも、明智文代さんのこととか訊きました。
そんなふうに、各社の編集者にお世話になった。
自書と違って新聞は、間違ったことは書けないし書いてはいけないので。


戸川さん。
私も30~40年前に朝日新聞の書評コラムを書いて、その当時の朝日新聞の書評って力があったんですよ。
で、五人で順番に書いていって、ひとつだけ決めてたことが、所属してる東京創元社の本は取り上げない、ということ。
ところが、あるとき私の次の鏡さん(SF作家の鏡明さん)が海外行っちゃって、代わりに書いてくれませんか?という。ところが私も事前のことなら読んで準備するけどもうストックが無い。なのでその一回だけ、禁を破って東京創元社の本を取り上げた。クロフツで。
そしたら、それが売れたんですよ、朝日新聞の書評欄、力があったから(笑)
早川の人もいて、その人はハヤカワの本ばっかり取り上げるんですよ!(有栖川先生、「社風ですね」)
紹介した本が売れるのは嬉しいです。

有栖川先生。
『ミステリ国の人々』は、物故作家に絞りました。現役の人のは書きにくいし、物故作家、というか名作・傑作として残ってるから。
現役の人ので、たとえばAさんのは名探偵を紹介して、Bさんのは脇役とか犯人とか書いたら、「えー、自分も名探偵を紹介してほしい」とか思われたら…、というかもし私だったら絶対思う(会場爆笑)

戸川さん。
よく覚えてるお二人が居て。
新人の頃の逢坂剛さん。『裏切りの日々』という講談社からポツッと出てる本を書店で買って読んだら面白くて、朝日新聞の書評に書いた。そしたら何かの会合の時に、逢坂さんがわざわざ私のところに来て、『裏切りの日々』を取り上げてくれてありがとうございます、って挨拶にみえた。その頃、逢坂さんは博報堂にお勤めだったので、誰が書評を書いたのか調べられたようで、東京創元社の戸川っていう人が書いたと知ったそう。
もう一人は、内田康夫さん。こちらも『死者の木霊』っていう、栄光出版社、主に自費出版の会社だったみたいで、そこから出てたのを書店で買って読んだら面白くて書評を書いたら、これも売れた。帯に私のコラムを引用したのに変えて。
で、いずれご挨拶しとかないと、と思ってて、あるパーティかで戸川です、あの時書評を書かせていただきました、ってご挨拶したんですけど、怪訝な顔されてました。(有栖川先生、「時間が空きすぎたんですね」)
二冊とも、地味な本だったんですけど、面白かったので。
有栖川先生。
そんな地味な本を、戸川さんは見つけて買って読んで、面白いと紹介するって凄いですよね。

本格ミステリって、本格の顔してない本格もあります。タイトルだけ見てもわからない。
そんな時のヒントは、目次。
笹沢佐保の『結婚って何さ』とかタイトルだけやとわけがわからない、けど、読んでみたら本格なんですよ。目次見たら、ああここでアリバイが崩れるんやな、とか、ここで捜査が、とか分かる。

(MC二村さん。本格ミステリーってどういう定義?)
有栖川先生。本格とは、…謎を解くもの。推理で謎を解く。
でも、たいていは「謎」は解けてないんですよ、「秘密」を暴いてる。もちろん、秘密を暴くことも面白いものならいい。

謎と秘密は違う。

戸川さん。最近は、「本格」が海外でも「HONKAKU」とローマ字で使われるようになった。
有栖川先生。「パズラー」は英語だとどう言うのか、森英俊さんに訊いたら「難事件」と。「新本格」は「ニューオーソドックス」。

戸川さん。『ミステリ国~』の中の、ジョン・スラデック、『見えないグリーン』とか『黒い霊気』の、彼はもともとSF作家なんですが、英米で本格ミステリがほとんど消えた頃に本格ミステリを書いてて、当時はSF作家がミステリを書いてた時期がありました。
「あの人どうしたかな?」という作家が取り上げられていたり、『黒死館殺人事件』とか昔読んでみようとしたけど挫折した…という人はこの本を読んで、今なら読めるかもしれない、と思ってくれるといいなと。

有栖川先生。昔の作品を読んでると、当時の社会風俗が面白いんですよ。松本清張、1930年代とかだと、使われてるトリックがものすごく珍しかったりする。飛行機と列車の乗り継ぎとか。
今のデジカメ世代の人には、現像とか「何のこと?」って思う。ほとんど時代劇。

戸川さん。『殺人鬼』も面白いです。途中の中弛みも(有栖川先生、「堂々と中弛みしてますよね!」)。名古屋新聞の連載で、浜尾四郎さんって子爵だった人で、子爵様に新聞の連載は…と遠慮されてたんですが、名古屋新聞から声を掛けられてすごく嬉しかったらしくて、名古屋新聞社に自ら行ったら大騒ぎになって「子爵が来た!子爵が来た!」ってデカデカと一面に記事になったほどで。
で、最初は三か月後くらいにクライマックスが来そうということで、新聞社が読者に「犯人当て」を募集したんですが、(中弛みしてるので)三か月たってもまだ一人目が死んだくらいで犯人当てどころじゃなくて、「募集を一か月延期します」ってしたけど一か月経ってもまだ…、で結局犯人当てどうなった?と(笑)
この『殺人鬼』は劇にもなったんですが、連載の方がまだ終わってなくて犯人どうしたんだろうとか。
私、いっとき本屋さんの手伝いをしてたことがあって、浜尾子爵のお孫さんが西武沿線にお住まいだったようでお店にいらして、浜尾四郎さんの本が二冊くらいあったんですけどそれを買って帰られました。

(ここでトーク一時間をちょっとオーバー。会場からの質問タイムに)
Q1.ペンネームの由来を教えてください。
A1.もう500回くらい言うてますが(会場からも「え、そこから?」みたいな雰囲気に)(ということで、会場では先生から説明がありましたが、ここでは割愛w)
Q2.共謀罪について、お二人はどうお考えですか?
A2.(お二方、顔見合わせて苦笑い)ストレートな……(苦笑)
戸川さん。日本に限らずアメリカでも、世界的に内向きになってて、出版業界にも影響が出てて、外国ものが読まれなくなってきてる。若い人達に。
国内に優秀な作家がたくさんいるから、わざわざ海外のを読まなくてもいい、みたいな。
出版業界自体が苦しいんですけど、とりわけ外国ものは、若い人が読まなくなった。そういう右傾化、みたいなのは心配。
有栖川先生。テロって、法律つくったからって防ぐのは無理。完全防御なんて不可能。法律つくって国を守れるものでもない。
賛否ありますし、作家として危ないと思う。為政者が、悪気無く法律が通ってしまった時に、「これから悪くなれる…」と思わないとも限らない。
反対に、リベラルで無茶言う人もいるし。はみ出した人間はいないか?と捜し出す、日本もすぐにそうなる。
だいたい、右の人も左の人も、ミステリは嫌いです。嫌います。だからすぐに、ミステリがいろいろ言われる。

私、右も左も大っ嫌いなんです。(ここ強調)

是は是、非は非で考えてほしい。ミステリは現実と繋がりがあるから、ミステリファンなら、ちょっと現実を考えて、合ってるか間違ってるか、見抜いてほしい、考えてほしい。

Q3.トリックはどんなときに思いつきますか?
A3.どこで浮かぶかはまったく予想できない。パッと浮かぶ時もあれば浮かばない時も。お風呂に入ってるときに浮かんだり。最近はもう、必死に考えて絞り出してます。

Q4.火村は推理小説が好きではないと言いながら、なぜアリスが書いてる原稿に興味を持ったんですか?
A4.火村は犯罪には興味があるけど推理小説はそうでもなくて、アリスが授業中に何書いてるのか?と見たら殺人事件とか書いてて犯罪に興味があるのかな?と思ったら違って、でも読んで行くうちに謎の答えが知りたくなった。そんな現実的な人間でも読むくらいミステリは面白いんだ!と(笑)

Q5.この『ミステリ国の人々』に有栖川先生の作品ならどれを入れますか?
A5.言いにくい……。そういえば宣伝になりますがもうじき新刊が出ます。「幽」に連載してた心霊探偵のシリーズが纏まるんですが。
探偵の名前が「濱地健三郎」って、何も考えずに無造作に目立たない名前にしたんですが、心霊探偵ってことでミステリでは書けないこと、扱えないことをこのシリーズで書きました。幽霊が出てくるとか。
怖がらせたかったんですけどねえ、全然怖くないです。不思議なことが、くらい。七月下旬に出ます。『濱地健三郎の○○なる事件簿』というタイトルで、○○はちょっと難しくしてルビがふってあります。

トークショウはここまで。
すぐに参加者それぞれが椅子を片してサイン会開始(笑)
狭い会場で80名が並ぶので、為書きは無し。先生のサインと日付のみですが、ありがとうございます!

わたしはしばらく、お久しぶりにお会いしたN市のAさんと、いつもお馴染みkujiraさんと立ち話。Aさんといえば乱歩のことと北森鴻先生、という認識のわたしは、また名張で乱歩関連のイベントしてくださいよう、とか。小路先生のポプラ社刊『少年探偵』と少年探偵団アンソロジーをアピールしときましたwwwそうよ、小路先生を名張にお呼びして乱歩について語っていただくとかどうでしょう!←北海道から!?

有栖川先生の古参ファンの方々も、最近有栖川作品を読み始めたビギナーさんも、関東から九州からはるばる大阪に集って、熱気ムンムンの楽しいトークイベントでした。

わぁお、後半長くなった~!
だいたいこんな感じでしたが、どこか間違ってたらご指摘ください参加された方。

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8 コメント

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イベントレポートありがとうございます‼ (tekuno0260)
2017-06-19 08:40:50
こんにちは。
tekuno0260です。
詳細なイベントレポート、ありがとうございます‼
大盛況だったみたいで。
羨ましすぎます‼(私もいけばよかった。。)

幽の連載、まとまるんですね。
「幻坂」も面白かったので、買おうかな‼

有栖川先生、戸川さんのミステリー愛がつたわってきますね。

また、間をおいて第2段よみたいな。。

それまでに、私も未読をかたさねば。、
でわでわ、気温がじわじわあがっております、くれぐれも、ご自愛ください
Unknown (N市のA)
2017-06-19 22:36:28
さっそくのレポ・アップ 仕事が早い、さすがです。
ありがとう。それはそうと、ホンマに7番出口までなんであんなに遠いねん! 激しく同意!久しぶりに有栖川ご夫妻と戸川さんとお会いできたし、北森鴻リファレンス&雑文集もお渡しできたので、ミッションは完了。
翌日曜日は、烏丸にて酔鴻会(北森鴻オフ会)で酔っ払ってました。こちらのミッションもどうにか完了!
残るは綾辻さん、7月の中之島読書会だわ。どうか当たりますように。有休取るから(笑)
そろそろ祇園囃子が聞こえる季節になるので、どーんとご自愛ください。
行きたかったー! (やすこ)
2017-06-20 21:25:47
いいなー、楽しそうー、行きたかったなー(;ω;)
詳細なレポありがとうございます。想像して行ったつもりになります。
有栖川先生にも奥様にもお会いしたかったー!
Unknown (はる)
2017-06-21 11:59:52
こんにちは。いつもながらの楽しいレポートありがとうございます!
「堂々と中弛み~」云々が妙にツボりました(笑)

7月に新刊出るんですね。
「幻坂」のお話も好みだったから、かなり楽しみです。○○の中に入る言葉、何でしょうね。
論理的なことと不思議なこと、この2つをあらわす言葉?(勝手に想像)そんなのあるのかな?
新刊の広告が出るまで、真剣に考えますw
追伸:強調文字、私も同意です~
>tekuno0260さん、こんばんは。 (みけねこ)
2017-06-21 19:51:11
いつものことながら有栖川先生のトークイベントは楽しくて、あっという間の二時間でした。
濱地健三郎の心霊探偵シリーズが近々に単行本で出る、というのはツイッターで見たんですけど、
タイトルが先生から発表されたのが会場でのサプライズでしたかね。(それでもタイトルの一部は伏せられましたけど。「もったいぶります」って仰ってましたw)

有栖川先生は『乱読』でもミステリガイド本で評価高いですし、乱読を頼りにしてるミスクラさんたちが多いですので、この新刊の第二弾も実現すればいいなあと思います。

>N市のAさん、こんばんは。 (みけねこ)
2017-06-21 20:09:48
先日はお疲れ様でした。ご挨拶できてお話しできて、嬉しかったです!
つつがなくミッションを終えられて何よりでしたwていうか、酔っぱらうのがミッションてwww
谷町六丁目駅の七番出口、あれヒドイですよね!わたしはあの駅で降りるの二度目なんですけど、今回もあまりの距離に途中で嫌になりましたもん(苦笑)

ええと、未読の北森作品を今がつがつ読んでます。
良いですねえ、北森先生のミステリも……。
未完になってしまった『暁英~』も大好きで、ご存命だったらどんな結末を書かれたのかと、本棚を見るたびに思います。

七月の綾辻先生の読書会、当たるといいですねえ☆
で、綾辻先生と有栖川先生の対談とか、イベント企画をプレゼンしてきてください(←こらこら)
それと、冗談抜きで、ポプラ社の少年探偵団アンソロジーに参加された作家さん達のトークイベント、どうですか?電車乗り継いで一時間半かかっても行きますけど!
>やすこさん、こんばんは。 (みけねこ)
2017-06-21 20:13:22
ねー、やすこさんも行ければよかったよね!
奥様もいらしてたよ。
狭い会場に80名以上がぎっしりで暑かったけど(苦笑)
楽しかったし、サプライズもあったし、ここにやすこさんがいたらなあ…って思ってた。
七月の心霊探偵新刊でサイン会があるのかどうかわからんけど、そのときはぜひ一緒に並びましょ♡
>はるさん、こんばんは。 (みけねこ)
2017-06-21 20:28:39
相変わらず長いメモ起こしですみません~。もっとこう、簡潔にエレガントに纏めてみたいんですが、わたしにそのスキルがまったく無いので……(汗)

中弛み、のところは笑いました。本にも書いてありますけど、先生と戸川さんが揃って口にされると(苦笑)
浜尾四郎さん、ものすごく昔の人なので、読みにくいかもしれないですが、わたしは好きで、『殺人鬼』だけじゃなく短編の『彼が殺したか』とか『殺された天一坊』あたりは傑作だと思います。

七月の新刊、先生、タイトルのソコだけ伏せられたんです~。「とょっと難しい漢字」とだけ。
アマゾンとかで予約開始になってようやく判明するのかな。楽しみですねえ♪

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