みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

男「おひとりさま」へのメッセージ 「金持ち」より「人持ち」が大事[ 上野千鶴子 ]

2007-10-29 12:57:43 | ジェンダー/上野千鶴子
昨日、天生(あもう)峠への登り降りの紅葉は
「たぶん今日ごろがサイコーです」と書いて外を見ると絶好の快晴、
こんな日に家にいるのはもったいなくて、きゅうきょ、
行ってきました天生(あもう)峠と宇津江48滝(飛騨古川)。

空気も澄んでいて、北アルプスの山々がよく見えました。


毎年、稲刈り後は一週間~10日ほど遠出をするのですが、
今年の「紅葉と温泉と蕎麦」の旅は、1~2泊ほどで飛騨・長野の
「安(安い)・近(近い)・短(短い)」の旅を繰り返す方針。
12月2日に上野さんの講演会、11月10~11日に勉強会があり、
その広報や対応や準備があって長くあけられないという事情もあるのですが、
赤を基調とする飛騨の紅葉がすばらしいので、遠くへ行く必要がないのです。

北アルプスや紅葉の画像や記事は、つぎに紹介するとして、
昨日でかける前に、「日経トレンディネット」に、
上野さんの記事がアップされてたので(上野さんの了解を得て)紹介します。

 男「おひとりさま」へのメッセージ 「金持ち」より「人持ち」が大事
2007年10月27日[ 上野千鶴子 ]
日経トレンディネット

 ひとりでも入りやすい飲食店を特集する女性誌、あちこちの旅館やホテルが始めた一人客向けプランなど、「おひとりさま」現象は世の中に定着した感がある。今夏出版された『おひとりさまの老後』(法研)も、あっという間にベストセラーとなった。この本、実は団塊世代男性にも売れているという。そこで、著者の上野千鶴子さんに、当サイト読者諸氏に向けて、男「おひとりさま」へのメッセージを寄せてもらった。

 ちまたでは女の「負け犬」が話題を呼んでいますが、同じ世代の男性のあいだには、女性「負け犬」と同数か、それ以上の数の男性「負け犬」がいるはずなのに、だれもそれを問題にしません。酒井順子さんの「負け犬」が、ほんきで「負け」ているわけではないように、自分で選んだ「夫なし・子なし」の「負け犬」ライフなら、すこしもみじめではありません。同じように、同世代の男性「負け犬」のなかにも、自分で選びとったシングル・ライフがあるはず。

 首都圏では40代前半の男性非婚率は3割を越えました。これに死別・離別のシングル・アゲイン組も加えると、男「おひとりさま」はこれからますます増えることでしょう。女性と同じように、男性にとっても、結婚だけがゴールではないし、ゴールインしてもキャンセルの可能性が待っています。「シングル・ライフ」は男性のライフスタイルの選択肢のひとつとなりつつあります。

 ひとむかし前は、「男やもめに蛆がわく」と揶揄され、男性シングルは「ご不自由でしょうに」と同情されたものです。「妻は生活の便利のためにいるのかっ」とつっこみを入れたくなりますが、きょうびの男「おひとりさま」は、うすぎたなくも、不自由でもありません。子ども時代から個室を与えられて育ち、ワンルーム・マンションから学校へ通った息子たちは、部屋のそうじや片付け、かんたんな家事などお手のもの。家電製品は使いこなせるし、単身赴任でもあわてません。

 わたしはこの背後にふたつの要因があると見ています。ひとつは「男・子ども」でもできる、家事の脱熟練化。今やだれでもできる「チンする」ということばが煮炊きにとってかわり、家事は省力化・省エネ化のみならず、高度なスキルのいらない生活技術となりました。もうひとつ、それ以上に男「おひとりさま」のつよーい味方は、コンビニという都市インフラの普及です。お弁当やお総菜パッケージなど「中食」という選択肢が登場したおかげで、どれだけのシングルが---男性に限らず、女性や高齢者、若者も---そこそこのクォリティの食生活ができるか、その効果ははかりしれません。
それどころか、男「おひとりさま」は女「おひとりさま」より、ずっとリッチです。男女の所得格差は大きく、年齢とともに格差は開いていきます。したがって中高年に達した男「おひとりさま」なら---失業やリストラ、ワーキング・プアでないかぎり---子どもの教育費や住宅の取得に重い負担をかかえている同世代の男性にくらべて、可処分所得が高く、ゆとりのある暮らしをしています。都市部のデザイナーズ・マンションの顧客はこの層ですし、オーディオやクルマなどの趣味にも出費を惜しみません。

 こういうふうに書くといいことだらけのようですが、男「おひとりさま」の最大のネックは、相互扶助のネットワークが弱いこと。強者の男「おひとりさま」たちは、見栄をはるライバル関係は持っているようですが、困ったときの助けとなる友人が少なく、他方弱者の男「おひとりさま」も、社会的に孤立する傾向があるようです。その点、同じ世代の女「おひとりさま」は、不安と弱気から、「助けて」と言える人間関係をつくり、メンテナンスすることに余念がありません。

 吉田太一さんの『遺品整理屋は見た!』(2006年、扶桑社)がレポートする「孤独死」の多くは、50代から60代の男性に集中しています。「孤独死」は老人のものではなく、「孤立した生」の結果が「孤立した死」だということがわかります。福岡で生活保護を打ち切られ、「おにぎりが食べたい」とノートに書いて餓死した男性の事件が報道されていましたが、そこに至るまでに、かれには「おにぎりを食べさせて」と言える関係はなかったのでしょうか、と残念です。

 熱を出して寝込んだときに、おかゆを作って持ってきてくれる友人はいますか?...この問いに、女「おひとりさま」なら、多くが「イエス」と答えるでしょう。男「おひとりさま」はどうでしょうか?「男同士の友情」は、こんなとき、意外と役に立たないものです。わたしの見る限り、男「おひとりさま」でも、豊かな人間関係に恵まれて、気持ちにゆとりのある暮らしぶりをしている男性には、女友だちが多い、という傾向があるようです。もてる必要はありません。人畜無害と思われてもかまわない。腰の低い、こまやかに気のつく、まめでかさばらない男性には、かならず気持ちのいい女友だちがついています。男女共学を経験してきた世代ですもの、愛やセックスばかりが男女をむすびつけるわけではありません。男「おひとりさま」ライフをエンジョイしようと思ったら、「おんなの領分」に入れてもらうのも一計かもしれませんね。

 最後に人生のクォリティを決めるのは、金持ちであるより、人持ちであること。この「真理」にジェンダー差はなさそうです。


著 者 上野千鶴子(うえの ちづこ)

社会学者。京都大学大学院社会学博士課程修了、平安女学院短期大学助教授、シカゴ大学人類学部客員研究員、京都精華大学助教授、国際日本文化研究センター客員助教授、ボン大学客員教授、コロンビア大学客員教授、メキシコ大学大学院客員教授等を経る。1993年東京大学文学部助教授(社会学)、1995年東京大学大学院人文社会系研究科教授。専門は女性学、ジェンダー研究。この分野のパイオニアであり、指導的な理論家のひとり。1994年『近代家族の成立と終焉』(岩波書店)でサントリー学芸賞を受賞。


この記事のことを知らせてくださったのは、
『おひとりさまの老後』の名編集者、弘由美子さん。

いっしょに送っていただいた日経BP社発行の
『リアルシンプル』12月号「リアルシンプルな人」には、
弘さんのインタビュー記事も載っています。

他の編集者もうらやむ書き下ろし本『おひとりさまの老後』の誕生秘話、
上野さんと弘さんの信頼関係がつくられていくプロセス
「ただものではない」弘さんの魅力がいっぱい、のすがすがしい記事です。

  
写真をクリックすると拡大。その右下のマークをクリックするとさらに拡大

創刊2周年という「上質な暮らしを求める女性のための」
「リアルシンプル」をよんだのは初めてですが、お役立ち記事も満載。
(たぶん)書店にありますのでお買い求めください。

ということで、当分は
「二重人格のように」硬派と軟派の記事が続きますが、
懲りずに見に来ていただけると、うれしいです。

次は、飛騨の紅葉と北アルプスと温泉の記事です。
夜には、高山の中華そばの名店「つづみそば」も食べました。

おたのしみに。


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3 コメント

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トラックバックありがとうございます (ほるほる)
2007-11-14 20:42:15
トラックバックしていただいたおかげでこちらのページを知り、拝見できたこと、うわー!なんて素敵なの!と思っています。ありがとうございます。

上野さんの記事も、弘さんの記事もとても面白かったし、そうそう書き手のみどりさんたちの集まりにかつて足を運んだことも思い出し、こういう縁を嬉しく思いました。
早速こちらのページのこと、仲間に紹介したいと思います。
逵(つじ)志保
トラックバックをありがとうございます (はなこ)
2007-11-15 20:55:46
正直いいますと、こういう本物のトラックバックはとても嬉しいです。
上野 千鶴子さんからのメッセージ、社会学者でおありであるというだけあって、分かりやすくいろいろな角度からの考証で納得します。
ユーモアのセンスも沢山おありで、これから本を読みはじめるところですが
いろいろな見方を教えていただけそうで、とても楽しみです。
コメントありがとう。 (みどり)
2007-11-19 23:40:04
★ほるほるさん
せっかくコメントをいただいたのに、お返事遅れてごめんなさい。

>トラックバックしていただいたおかげでこちらのページを知り、拝見できたこと、うわー!なんて素敵なの!と思っています。ありがとうございます。

こちらこそありかどございます。
さっそくお邪魔しました。

>上野さんの記事も、弘さんの記事もとても面白かったし、そうそう書き手のみどりさんたちの集まりにかつて足を運んだことも思い出し、こういう縁を嬉しく思いました。

不思議なご縁ですね。
けっこう知り合いも実に来ているようですか、知り合いの知り合いが友だちだったりして・・・ブログでつなぐ縁です。

★はなこさん
>正直いいますと、こういう本物のトラックバックはとても嬉しいです。

そういっていただけるとうれしいです。

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