みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

「BL図書に対する誤った対応を正してください」に対する堺市の回答【堺市HP「市民の声」Q&A】

2008-12-02 19:06:29 | 「ジェンダー図書排除」事件
堺市が、【堺市HP「市民の声」Q&A】の「BL図書に対する誤った対応を正してください」
という市民の声に対し、(市の考え方)として回答を書いています。

以下は、わたしたちが提出した
「堺市立図書館における特定図書排除に関する申し入れ書」に対する回答です。

2008.11.16 堺市から回答が届きました

                             堺中央図第1730号
                          平成20年11月14日

上野千鶴子 東京大学大学院教授
「ジェンダー図書排除」究明原告団・代表
はじめ 市民97名/議員46名/7団体 様
                         堺市教育委員会   
                         教育長 芝村 巧
                         (公印省略)

    「堺市立図書館における特定図書排除に関する申し入れ書」について

 平成20年11月7日付、及び11月13日付、標記申し入れについて、下記のとおり回答します。
                 記
 申し入れのありました特定図書につきましては、廃棄を前提にしたものでなく、他の図書の取扱いと同様に「堺市立図書館資料保存基準」及び「堺市立図書館除籍基準」に基づき取り扱いするものであり、図書館の基本姿勢は、変わるものではありません。
 また、本件における、他者からの個人的主張による不当な介入や働きかけなどは一切ありません。
 堺市立図書館の所蔵図書については「堺市立図書館資料収集方針」に基づき選定し購入しております。収集図書のうち、表紙、挿し絵、イラスト等で特に過激な性的描写等のある図書については、青少年に配慮する観点から、開架せず書庫に収蔵し、請求があった場合には、閲覧・貸出しに対応しています。
 今後とも、堺市立図書館においては、関係法令等に照らし、図書館行政を推進するとともに、市民の皆様に愛される図書館をめざして、取り組んでまいります。



(市の考え方)は、基本的に11月14日付けの上記の、
わたしたちの申し入れに対する回答とおおきく変わるものではありませんが、
わたしたちの回答よりあとに書かれたものであると思われるし、
回答の字数も多いので、以下に並べて、紹介します。

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【堺市HP「市民の声」Q&A】
「BL図書に対する誤った対応を正してください」


(市民の声)
 図書館には実に多様な資料が収集され、利用者に提供されています。それらの資料の中には、ある人にとっては気にいらない資料が含まれています。Aさんが支持する本をBさんは支持しない。Cさんが喜ぶ本をDさんは下らないという。「国民の知る自由」に応えることは図書館の使命です。今回、BL図書に抗議した一市民の声に応えて、BL図書の収集・提供・保存をしないことに決めた堺市・図書館の対応は、非常に残念です。「図書館の自由に関する宣言」に抵触し、極めて問題があると考えます。
 普通の書店に普通に販売されていて、普通の子(人)が普通に読んでおり、青少年健全育成条例上も問題にされていない図書を、有害とする根拠は何でしょうか。未成年者が読んで、青少年に害があったという具体的な事例を把握しているのでしょうか。ボーイズラブが青少年に有害であるという根拠も明らかにせず、他の市民の意見を聞く機会も持たなかったことは極めて残念です。また、青少年への提供を行わないと回答していますが、青少年への提供を拒否できる法的根拠はどこにあるのでしょうか。
 図書館が特定図書の価値判断を下すのは間違っているのではないでしょうか。図書館に所蔵されているからといって、図書館が個々の資料の価値判断を下し、考え方を支持するものではないはずです。利用者が個々に判断を下すために、多様な価値観に基づいた多様な資料を提供することこそが、図書館の使命であるのではないのでしょうか。「ボーイズラブ」は今や時代・社会・文化を読み解くキーワードの一つとして捉えられており、研究の対象ともなっています。問題のある資料を市民の目から隠すだけでは問題は解決しません。
 要求に応えて明らかにしたBL図書の冊数、及び金額の開示の方法も極めて恣意的に思えます。一般市民があの数字だけを見れば、BL図書を大量に購入しているかのような印象を受けますが、あの数字が十数年の長い期間にわたって購入した冊数であり、堺市の全体の蔵書の何%にあたるのか、また、購入金額は全資料費の何%にあたるのかも、併せて表記しておくべきだったと思います。また、「近隣の堺市以外の図書館にはBL図書がなく、予約もない」とありますが、これは事実に反しています。まず、事実の確認をすべきではないでしょうか。
 投稿者と意見を同じくする市民ばかりではありません。早々と資料の収集・提供制限を決定する前に、市・図書館は異なる意見をもった市民が存在することを考慮すべきでした。
 今回の対応は、図書館への信頼を失いかねない重大な行為であり、市民にとって誠に残念であり、遺憾に思います。
 市・図書館は図書館の使命を自覚し、「図書館の自由に関する宣言」に基づいて、今回の対応の誤りを正し、経過について明らかにすることを強く要望します。
 併せて、この問題に関し、現在一つの立場の意見のみが取り上げられていること自体に強い懸念がありますので、できるだけ速やかに私たちの声と回答をホームページで公開していただくよう要望します。

(市の考え方)
 図書館は、図書館法にもありますように「図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存して一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資することを目的とする施設」です。
 堺市立図書館の所蔵図書については、「堺市立図書館資料収集方針」「堺市立図書館資料保存基準」及び「堺市立図書館除籍基準」に基づき取り扱うものであり、この基本姿勢は変わるものではありません。しかしながら、青少年に配慮するため、表紙、挿絵、イラスト等で特に過激な性的描写のある図書の取り扱いにつきましては、十分慎重な対応が求められると考えます。
 この間、市民の声における問題提起を受けて、青少年への貸出をいったん停止し調査・検討を行ってきたところであります。
 ご質問の「市民の声」の回答にあげておりました、平成20年8月21日時点での冊数5,499冊については、平成20年9月末の蔵書冊数1,817,989冊の0.3%に当たりますが、この冊数は調査・検討のために、該当するものと思われるものを抜き出したものであり、すべてが過激な性的描写があるものではありません。また、他自治体の図書館の状況につきましては、当館でお答えすべきことがらでないと考えていたものです。
 現在は、所蔵図書のうち、表紙、挿絵、イラスト等で特に過激な性的描写のある図書については、自由な読書活動を尊重しつつ青少年に配慮するため、開架せずに書庫に収蔵し、請求があった場合には、閲覧、貸出に対応しています。
 今後とも、堺市立図書館においては、関係法令等に照らし、図書館行政を推進するとともに、堺市立図書館協議会や利用者の方々の意見をいただきながら、市民の皆様に親しまれる図書館をめざし運営してまいります。
 なお、図書館ホームページに、堺市立図書館の図書(資料)についての基本的な考え方を掲載しております(下記URL参照)。
(分類)
公共(市)施設>図書館>その他図書館
(受付日)
平成20年10月8日
(担当局部課)
教育委員会事務局 中央図書館 総務課
(関連情報)
http://www.lib-sakai.jp/gaiyou/h-ss.htm
----------------------------------------------------------------
(関連情報)堺市立図書館の図書(資料)について

市民の皆様へ
 いつも、堺市立図書館をご利用いただきありがとうございます。
 本市図書館の図書(資料)の「収集」、「保存・管理」、「廃棄」に関する取扱いについて、基本的な考え方を下記のとおり、お示しいたします。

1.堺市立図書館における図書(資料)の収集について             当館における図書(資料)は、図書館法に定められている「図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資すること」を目的とし、「堺市立図書館資料収集方針」に基づき収集しております。
 当館の図書(資料)は、「多様な、対立する意見のある問題については、それぞれの観点に立つ資料を幅広く収集する。」、「著者の思想的・宗教的・党派的立場にとらわれて、その著作を排除しない。」、「図書館員の個人的な関心や、好みによって選択しない。」、「個人・組織・団体からの圧力や干渉によって、資料収集の自由を放棄したり、紛糾を恐れて自己規制したりしない。思想・信条の自由は最大限に生かすことを確認する。」とする基本的な観点に立ち選択し収集しております。

2.図書(資料)の保存・管理について
 当館所蔵の図書(資料)は、「堺市立図書館資料保存基準」に基づき保存しております。
図書の管理につきましては、市民のニーズや図書の新鮮度、蔵書構成など総合的な観点から判断して開架(閲覧室)及び閉架(書庫)で保存・管理しております。
収集図書のうち、表紙、挿し絵、イラスト等で特に過激な性的描写等のある図書については、青少年に配慮する観点から、開架せず書庫に収蔵し、請求があった場合に、閲覧及び貸出しに対応しております。

3.図書(資料)の廃棄について                       当館所蔵の図書(資料)は、適切な維持・管理を図るために「堺市立図書館資料除籍基準」に基づき、常に全図書館の所蔵状況、出版事情を十分検討し、一冊一冊よく吟味して、将来の利用にも支障のないよう配慮しながら廃棄を行っております。
 廃棄する主な事由は、「著しい汚損、破損または書きこみ等があり補修が不可能なもの」「科学技術の進歩等により、記述内容が時代に合わなくなったもの」、「同一内容で更新(買い替え)されたもの」や「出版事情、蔵書構成、利用者の需要及び資料の保存価値を総合的に判断して保存する必要がない」ことなどとしております。
 なお、今後とも、堺市立図書館においては、関係法令等に照らし、図書館行政を推進するとともに、堺市立図書館協議会や利用者の方々の意見をいただきながら、市民の皆様に親しまれる図書館をめざし、運営してまいります。


せっかくですから、質問の市民が言及されている
「図書館の自由に関する宣言」を再掲しておきます。

「図書館の自由に関する宣言」(日本図書館協会 1979年5月改定)
図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、
資料と施設を提供することを、もっとも重要な任務とする。
この任務を果たすために、図書館は次のことを確認し実践する。
 第1 図書館は資料収集の自由を有する。
 第2 図書館は資料提供の自由を有する。
 第3 図書館は利用者の秘密を守る。
 第4 図書館はすべての検閲に反対する。

図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまでも自由を守る。


----------------------------------------------------------------
図書館員の倫理綱領(1980,6.4日本図書館協会総会決議)

 この倫理綱頷は、「図書館の自由に関する宣言」によって示された図書館の社会的責任を自覚し、自らの職責を遂行していくための図書館員としての自律的規範である。
(図書館員の基本的態度)
 第1 図書館員は、社会の期待と利用者の要求を基本的なよりどころとして職務を遂行する。
(利用者に対する責任)
 第2 図書館員は利用者を差別しない。
 第3 図書館員は利用者の秘密を漏らさない。
(資料に関する責任)
 第4 図書館員は図書館の自由を守り、資料の収集、保存および提供につとめる。
 第5 図書館員は常に資料を知ることにつとめる。
(研修につとめる責任)
 第6 図書館員は個人的、集団的に、不断の研修につとめる。
(組織体の一員として)
 第7 図書館員は、自館の運営方針や奉仕計画の策定に積極的に参画する。
 第8 図書館員は、相互の協力を密にして、集団としての専門的能力の向上につとめる。
 第9 図書館員は、図書館奉仕のため適正な労働条件の確保につとめる。
(図書館間の協力)
 第10 図書館員は、図書館間の理解と協力につとめる。
(文化創造への寄与)
 第11 図書館員は、住民や他団体とも協力して、社会の文化環境の醸成につとめる。
 第12 図書館員は、読者の立場に立って出版文化の発展に寄与するようつとめる。


回答の、
「所蔵(収集)図書のうち、表紙、挿絵、イラスト等で特に過激な性的描写のある図書については、自由な読書活動を尊重しつつ青少年に配慮するため、開架せずに書庫に収蔵し、請求があった場合には、閲覧、貸出に対応しています。」
というところは、わたしたちの回答と共通です。

「5,499冊については、平成20年9月末の蔵書冊数1,817,989冊の0.3%に当たりますが、この冊数は調査・検討のために、該当するものと思われるものを抜き出したものであり、すべてが過激な性的描写があるものではありません。」
というところは、この質問者に対してのものですが、
「すべてが過激な性的描写があるものではありません」と書いてあるので、
「表紙、挿絵、イラスト等で特に過激な性的描写のある図書については、
・・・・・・開架せずに書庫に収蔵」ということと矛盾しますね。

5499冊ぜんぶ見直しをかけて、一冊ずつ、
「表紙、挿絵、イラスト等で特に過激な性的描写のある図書」を
選別しているということでしょうか。

堺市立図書館の図書(資料)についてを新たにつくって、
図書館の基本姿勢を示したのは評価できますが、
あくまでも、間違いを認めない姿勢は、問題解決を遅らせます。

いずれにしても、現在、情報公開請求中ですから、
もうすぐ回答の根拠となる事実関係は分かると思います。

と、ブログの記事を書いていたら、

福井・焚書坑儒事件で「図書を排除せよ」といっていた
張本人の近藤實氏から、
配達記録つきのお手紙が届きました。

近藤氏からは、事実無根の言いがかりとしか思えないような
コメントやTBがしつこく送られてくるので「保留」にしておいたので、
自宅に郵便を送りつけて来たようです。

2年前も図書排除の加害者側である近藤氏との不毛の議論を拒否したら、
メアドにセクハラまがいのDM攻勢をかけられ不愉快な思いをしました。

無視されるのが、よほどお嫌いなのでしょう。
とはいえ、
わたしには単なるいやがらせとしか受け取れません。

拒否してるのにしつこく付きまとわれて「中身がラブレター」なら、
ストーカー防止法の対象ですが、好意をもたれているとも思えませんね。

いったい何事でしょうね。


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1 コメント

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Unknown (物書きの末席にいる者)
2008-12-03 15:27:08
いろいろと気になったことがあるので再びコメントさせてください。

まず、「ムーブ!の疑問。図書館に同性愛の本?」の件です。
木村弁護士の最後の意見、「今回言われている書物を読んだが、有害なものではない、少女漫画と変わらない」というのはさすがに間違いだと思います。
前にも書きましたがボーイズラブにもソフトなものもハードなものもあります。
たとえば、堺市の図書館が200冊以上購入しているプランタン文庫は、

http://www.printemps.jp/servlet/Satellite/p/bookdetail/1183380430121

このようなものです。
弁護士さんの意見は、ボーイズラブは全部ポルノと言っている人とかわりません。狭すぎます。
とはいえ、弁護士さんの見解を責める気も、それを掲載したブログに文句を言いたいわけではありません。

結局、今回の問題の鍵は、ボーイズラブの範囲が広すぎることだと思いました。ソフトなものもハードなものも全部ボーイズラブですから、最初に図書館の問題をあげた議員さんはハードなもの、弁護士さんはソフトなものを見たのだと思います。

いわゆる男性向けのものは、過激な内容ならば18禁となりますが、ボーイズラブはいくら過激でも18禁にはなりません。上のリンクの本も18禁ではなく、実際に現在でも未成年に貸し出しを行っています。あまりに過激なボーイズラブの年齢制限が甘いためにこうなったように思えます。少なくともいわゆる男性向けと同じように内容を吟味して年齢制限をつければこのようなことはなかったと思います。
ちなみに多くの本屋では自主的に未成年にこのような本を販売することを規制しています。
そんな状況ですから、いくら有害図書に指定されていないから、と図書館が言ったところで反対する者は減らないと思います。

>図書館側の「青少年への提供はしない」という決定は見直されたようですが、「BL本は閉架へ」「今後は収集・保存しない」という措置はそのままです。

これはそのままだと思います。
なぜならこれを許可すると、以後は男性向けの本も平等に購入しなければならないからです。
前にも書きましたが、ボーイズラブを有害図書ではないとして置くのならば、以後は有害図書ではない性をテーマとした男性向けの本もリクエストに応えてもらえるのですね、との要望は拒否されました。
さすがにいたる所で話題になっているので、露骨にボーイズラブだけ有害図書に指定されていないものを購入する、ということは出来ないでしょう。また、双方を解禁した場合は、話題になっていることですし、性をテーマとした本のリクエストが山のように入るでしょう。

私が予想する今回の事件の結末は、ボーイズラブが厳しい基準で有害図書に指定される、といったところです。某少年誌に掲載されていた漫画なども有害図書として葬られたわけですから……。

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