みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

「ケアの社会学」上野千鶴子~[at あっと]1号から連載はじまる。

2005-10-06 14:51:36 | ジェンダー/上野千鶴子
昨日、上野千鶴子さんから、本が届いた。

クォータリー[at あっと]1号(太田出版/950円)。


創刊準備「0号」には、上野さんの、ロングインタビュー
「生き延びるための思想」が巻頭に掲載されていた。
「死ぬための思想ではなく、生き延びるための思想を」
ということばに、感動し、共感した。
「生き延びるための思想」[atあっと]0号はこちらから(5/24付)

昨日届いた「1号」からは、「ケアの社会学」の連載が始まった。

さいしょの紹介からして、刺激的だ。
不朽の論考『家父長制と資本制』から15年。
ここに、上野千鶴子待望の、壮大なスケールをもった大型連載がスタートする。
テーマは「ケア」--近年ようやくその真剣を検討が始まった。
新しい社会領域を拓き、代替的な社会的ビジョンをも提示する可能性を持つ言葉だ。
この、誰もが身近で切実な「ケアする権利」「ケアされる権利」をめぐり、著者の、
真の意味でのラディカルな分析=思考が始まる
--ケアに関心を持つ全読者、必読の連載!


では、「なぜケアを語るのか?」
「序章 ケアとは何か?」は、ここから始まる。

  「本論は、ケアを主題として設定することで、ケアが問題として登場し、社会的に配置され、新しい社会領域を切りひらき、代替的な社会的ビジョンを提示する可能性について論じることを意図している・・・・・・」([at あっと]1号、P19から引用)

これだけ読んでも、この「ケアの社会学」の連載が、
先を見通した壮大な構想の始まりだとわかり、
「早く先が読みたいよ」と、ワクワクする。
論考はさらに、
「2 ケアとは何か?」「3 ケアの定義」
「4 ケアワークとは何か」「5 ケアの概念化」
「6 ケアの人権アプローチ」へと続く。
わたしが共感した「ケアの定義」と、
「ケアの人権アプローチ」について、
少しだけ、本文を引用して紹介しよう。


  「3 ケアの定義」
わたしはここで、メアリー・デイリーが編集したILO刊行の“Care Work”[Daly 2001]の寄稿者たちが用いている「ケア」の定義を採用する。・・・・・
 デイリーによれば、これまでのところ、「もっとも妥当性のある」「ケア」の定義とは以下のようなものである。
 「依存的な存在である成人または子どもの身体的かつ情緒的な要求を、それが担われ、遂行される規範的・経済的・社会的枠組みのもとにおいて、満たすことにかかわる行為と関係」[Daly 2001:37]。(P21)

  「6 ケアの人権アプローチ」
 ・・・・・したがって、ケアへの人権アプローチとは、規範的アプローチの一種ではあるが、次の二つの重要な意義を持つ。
 第一に、それはケアを脱自然化する効果を持つ。つまり、ケアが「自然の情」でも「母性本能」でもなく、社会的権利として立てられるべき構築物であることを明らかにする。第二に、それは一定の社会的条件を明示することで、ケアの社会的再配置についてのビジョンを提示する働きをする。
 さてまえおきが長くなったが、ケアへの人権アプローチによれば、ケアの権利とは以下の4つの権利の集合から成り立っている。
(1)ケアする権利
(2)ケアされる権利
(3)ケアすることを強制されない権利
(4)ケアされることを強制されない権利
 以上の人権アプローチは、デイリーらの基本的立場に修正を加えたものである。デイリーらはケアの権利を、まず「ケアする権利」と「ケアされる権利」とに分解する。ケアをケアの与え手と受け手の相互作用として定義する彼女たちの立場からは、この権利の双方向性は納得できるものだが、これに彼女たちは「ケアを強制されない権利」を付け加える。だが、相互作用としての双務性を考慮にいれるならば、強制性の有無を基準に、「ケアされることを強制されない権利」をつけ加えなければ論理的には一貫性と網羅性を欠くことになる。(4)には「不適切なケアを受けることを強制されない権利」を含めることもできる。・・・・・・」(P25)
  「ケアを相互行為としてとらえる立場は、以上のようにケアの権利をもまた、その与え手と受け手の二重性もしかも能動性と受動性の両義性においてとらえることを可能にする。本論が以上の定義と基本的前提を採用することを、冒頭にあきらかにしておきたい。」(P29)


この章の「ケアの人権アプローチの四象限」の図は、
画期的で、とても興味深い。

女性、子ども、高齢者、障がい者、外国人など
「依存的な存在である成人または子どもの」
「身体的・情緒的な要求が、担われ満たされる」とき、
ケアの現場で、それぞれ4つの次元で、
どのような権利侵害が起きるのか?起きているのか?
それをどうしたら制度として解消できるのか?
わたしが関心のある「自治」の現場にあてはめても、
複雑な問題を整理し解くための、重要なカギとなるだろう。

また、わたしじしんの個人的な
記憶と経験にあてはめても、
思索を深めるため糸口になりそうだ。

この先を知りたい方、もっと詳しく読みたい方は、
ぜひ実物を手にとってお読みください。
お問い合わせは、03-3359-6262太田出版へ。
『at』2号は、12月下旬発売予定。

 
赤花コスモスの画像もお楽しみください。
  

  

  



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