夕暮菜日記

私的日記、教育、社会、音楽、等々について

遺伝子組換え作物

2009年11月06日 02時24分56秒 | 科学
私は遺伝子組換え作物には、基本的には賛成している。
意外に思われる方もいらっしゃるだろうか?
憲法9条を守りたい人の多くは、遺伝子組換え作物に反対しているからね。
今後、地球人口が増えることは確実である。
また、耕作可能な土地は、どんなに環境対策を施そうとも、しばらくは減り続ける。
そうである以上、少ない耕地面積で、より多くの農作物を収穫する必要があり、そのためには、遺伝子組換え技術は、重要な武器になると考えているからである。
それに遺伝子組換えで、何かとんでもないモンスターが生まれたり、凶悪なウィルスを作ったりしてしまうことは、私には、ほぼありえないと思えるからである。
もちろん、食品としての安全性の試験は十二分に行われなければならない、との前提付きだが。
(それより、使用する農薬を減らすことの方が、安全には、よほど重要と思われる。)

しか~~~しだ。
遺伝子組換え作物に、『今しばらくは』反対!
その理由は、多くの人が言う安全性とは、まったく違う。

例えば、コスモスの花弁の色を決める遺伝子には、2種類ある。
その2種類を、記号『R』と『r』で表そう。
『R』は、赤い色素を作る遺伝子。
『r』は、特に何の色素も作らない遺伝子。
農作物として人間が利用する生物のほとんどは、一つのはたらきをする遺伝子を2組持っている。
父方由来と、母方由来だ。
コスモスも同様である。
ある株が持つ、花弁の色を決定する遺伝子の組み合わせとして考えられるのは『RR』『Rr』『rr』の3通りである。
コスモスの場合、それぞれの組み合わせの結果、花弁の色は、
『RR』…赤
『Rr』…ピンク
『rr』…白    になる。
花の色なら、それだけの話だ。

しかしこれが、小麦に実る種子の収量を決定しる遺伝子だったりするとどうなるか?
例えば、こんな遺伝子を考えてみる。
『A』は、タンパク質Xを作る遺伝子。
『a』は、タンパク質Yを作る遺伝子。
小麦は、タンパク質Xだけを持っていても、タンパク質Yだけをもっていても、特に収量に変化はないものの、、、
タンパク質X、タンパク質Yを、共に持っているときだけ、収量が莫大に増加する、とする。
遺伝子は、2組あるので、遺伝子型としては『AA』『aa』『Aa』の3通りが考えられる。
『AA』…通常の収量
『aa』…通常の収量
『Aa』…莫大な収量    と、なる。
これを雑種強勢という。
これは、自然界では特に珍しい現象ではない。
そして、この結果だけを考えれば、農家としては、当然、遺伝子『Aa』を持った小麦だけを育てたいと考えるだろう。
しかし、ここに問題がある。
世界中の多くの農家、特に発展途上国では、収穫した種子の一部は販売せず、翌年に蒔く種子として利用する。
要は、古来からの伝統的な農業を続けているということ。
こういう農家が1年目に『Aa』を育てて、莫大な収量を得る。
ところが、収穫の一部を翌年、畑に蒔いても前年同様の収穫は得られないのである。
『Aa』と『Aa』を交配してできた種子の遺伝子型と、その比は、
『AA』:『Aa』:『aa』=1:2:1   であるからだ。

さて、某先進国のバイオ企業が、遺伝子『Aa』を持ち、さらに、特定の除草剤に耐性を持つ遺伝子を組み込んだ小麦を開発したとしよう。
この小麦の種子を発展途上国の農家に、除草剤と抱き合わせで販売する。
「草取りの手間もかからず、今まで以上の収穫が見込めますよ」と言って。
この種子を使った農家は、高い収益を上げる。
しかし、同様の収穫を翌年も得るには、同じ企業からまた種子を買わなければならない。
収穫の一部を蒔いても、異なる遺伝子型が混在しているため、同じ収穫は得られないからだ。
これを何年か繰り返すころには、草取りをして、収穫の一部は、翌年の種蒔きにまわす、という伝統農業の技術は廃れてしまう。
国の科学技術が発達しても、遺伝子『Aa』を持った小麦を独自に作ることもできない。
某先進国バイオ企業は、遺伝子『Aa』、及び除草剤耐性遺伝子の特許を取得しているからだ。
多額のパテント料を払うか、種子と除草剤を買い続けるか、しかない。
かくして某先進国の、食糧支配は完成するわけだ。

また、ここには詳しくは書かないけれど、世界各地の伝統農業を守ることは、遺伝子の多様性を守ることにもつながるのだ。
そんなわけで、安全性とは別に、少数の大企業が、世界の食糧を支配することに反対なため、私は遺伝子組み換え作物には反対なのである。
遺伝子の多様性を守ることの大切さが世界のリーダーに認識され、企業の論理から世界の農業を守るルールが完備されるまで。

私がチョイチョイおじゃましている、そして当ブログにチョイチョイコメントを下さっている『つちねこさんのブログ』で、遺伝子組換えについて論じているのに、インスパイアされ、こんな記事を書いてしまった。
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4 コメント

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Unknown (つちねこ)
2009-11-06 07:36:44
おはようございます♪
僕のところの記事、読んでくださってありがとうございました~。
あれに反応してくれる人が、果たして何人いるんだろうか…
と思ってたんですが、
良かった、緑虫さんが食いついてくれて♪

…で、緑虫さんの視点は、とても重要だと思います。
大豆に関して言えば、モンサントの寡占化は相当に進んでるんじゃないでしょうか?
農業という産業がヒトの命に直結するものである以上、
そのチカラを一握りのニンゲンや国に握られるのは、
とても危険なことだと思います。
倫理的な立場(宗教でなく)にたったルール作りが急がれる所以だと思います。

ただ、その一方で、だからこそ、各国(途上国も含めて)が技術を磨かなければいけないのも確かだと思うんです。
現在の科学技術の産業化の構造において、パテントは強力無比な武器です。
パテントの寡占化は、そのまま産業の寡占化につながります。
それを阻止するためにも、各国は、少なくとも研究をやめるべきではないと思うんです。
ルールができるまで産業化を待つべきでは合ったとしても、研究を止めてしまうのは…。
(緑虫さんはお分かりのことと思いますが。)

農産物については、もう、このような状況になってしまいました。
革新的な次の技術が生まれるまでは、アメリカの一国支配が続くでしょう。
次に危惧しているのは、iPS細胞です。
日本は、すでに及び腰になりかかってますが…、医療技術の寡占化は…?

産業による支配関係は、『熱くない』戦争です。
残念ですが、国家の枠組みを『超える』意味でのメンタリティは、まだそれほど一般的ではなく、それだけに、国家単位でのヘゲモニー確立のための活動は、『まとめるもの』が不在の現在は、極めて活発だと思います。
そういうイミで、『アメリカ』という国は、『極めて優秀な国』です。
重要なポイントを嗅ぎ分ける嗅覚と、大胆にチカラを集中する戦略性、コトを強力に推し進めるロジックとエゴイズム…。

…ですが、長期的な視点に立てば、とても危険なことをやってしまう国でもあります。
相手の土俵に立つのは、危険なことだと思うんですが、
それでも、何とかしないと…と思ってしまうんです。
…まぁ、僕は既に研究職ではないんですけどね…(笑)
つちねこさん、コメントありがとうございます! (緑虫)
2009-11-07 15:41:03
私がせっかく『某先進国のバイオ企業』とぼかしたのに、『アメリカのモンサント社』とばらしてしまいましたね(笑)。
そう、遺伝子組換えの研究は必要なんですよね。
ただ、利潤につながるところだけ、つながりそうなところだけ、研究費が注ぎ込まれるところが問題なのですが。
遺伝子組換えも、原子力発電も、反対する人たちに、基礎知識がないことは本当に残念です。
今後、少しずつこんな記事も書いていきたいと思います。
私がウソなど書いてしまったときは、ご指摘いただけたらありがたいです。
Unknown (ナン)
2009-11-08 09:48:03
緑虫さん、こんにちは
緑虫さんの解説は、とても分かりやすかったです。
遺伝子型『AA』『aa』『Aa』のことは、なるほどと、目からうろこという感じでした。
少数の大企業が、世界の食糧を支配することになるという事も納得できました。
反対する人に基礎知識がないというのは、本当にその通りでした。
私もその一人でしたから。
難しい事は分かりませんが、科学に対する無知がもっともっと重大な問題を考える機会を奪っている、と言いますか、考えるきっかけすらないことが大きな問題なのだと思いました。
これからも、つちねこさんと共に共通の話題で記事を書いて戴けると、お二人の記事を読みながらより、理解が深まるなと思った私です。

ナンさん、コメントありがとございます!! (緑虫)
2009-11-08 20:05:48
嬉しいコメントありがとうございます!
ナンさんは、つちねこさんのブログで、ときどき拝見しております。
ブログも拝見しました。
私、アートセラピーなるものを学んでいましたが、その中で、絵本、お伽噺、ファンタジーなどについても少し学びました。
Komorebi House、 実現を祈っております。

>反対する人に基礎知識がないというのは、本当にその通りでした。
>私もその一人でしたから。

知識を持たないまま雰囲気で賛成したり、反対したりするのでなく、
「知識がないからわかりません」と言うことこそ、科学的だと思うのです。
今後も私のブログが、何か考えるきっかけになれば、こんな嬉しいことはありません。

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