きまぐれ日誌

みどり文庫

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三陸大津波の傷跡をたどって ー陸前高田「ちいさいおうち」訪問ー

2012-05-06 23:05:30 | みどり文庫

 ずっと訪れたいと思っていた震災後の三陸海岸。しかしボランティアとして長期に働けるわけでもなく、見学だけのために訪れるのは、迷惑な話!とためらっていました。その壁を打ち破ってくれたのが、陸前高田に誕生した子どもの図書館「ちいさいおうち」。5月の連休を利用して、南は気仙沼から陸前高田、大船渡、釜石、大槌町、山田町、宮古と北上し、それからは電車と代行バスを乗り継いで八戸まで走ってきました。

 釜石の友人が車で案内してくれたので私は車窓にじっと張りついていました。思い切って行ってよかったと思うのは、何もない殺伐とした風景を、この目にしっかと焼き付けてきたことです。堤防を越えた津波が人々や家々を丸呑みにし、すべてをさらっていったというこの非情な現実!がれきの撤去はかなり進んでいたものの、壊され削り取られたコンクリートの残骸に津波の猛威を感じました。防波堤も鉄骨も打ち砕き、窓や壁を一気に突き破った水圧のすさまじさ!大自然のエネルギーを制圧できると思うのは、人間のおごりと思い知らされます。荒涼とした大地に残る道は、通行止めの看板があちこちに立ち、車のナビなど機能しません。建物の目印は何もなく、道ををさまよい走るだけで、絶望感が溢れてきます。今まで映像では感じ取れなかった無力感が込み上げてきました。

  

                        7万本あった松林はなぎ倒され、奇跡の一本松と言われたこの松も、根腐れのため、立ち枯れの運命にある。                                

  一方、被災地を一目見ておきたいと思うカップルや家族連れもチラホラ見かけ、我のみならずと安心もしました。「被災者語り部」というツアーガイドも生まれたようですが、人々が訪れることで、この地にお金が落ち、被災地の現状を理解できるのですから、これもまた復興支援の一つだと思います。

         

             館長はじめ多くの職員が犠牲になった博物館(左)と図書館(右)    隣接する中央公民館と市民体育館

                       

     スーパー「マイヤー」と市役所                               スーパー「マイヤー」の屋上に、多くの人が避難し助かった 

                      

                              全壊の高田市役所                            高田市役所の屋上

 

3.11の直後、壊滅状態の陸前高田を目の前にして、盛岡のNPO法人「うれし野子ども図書室」の理事長、高橋美知子さんは愕然とします。高田は20年来、「子どもと読書」の講師として招かれた所。建物は壊れ、風景も人も一瞬にしてなくなってしまったけれども、子どもたちがひとときでも瓦礫の山を忘れ、震災前の日常に浸るためには、この地に再び「子どもが本と出会う場」を作らなければならないと決意されたそうです。 夢はあっても、夢をかなえるとなると果てしのない道のり。4月から教育委員会や被災地支援団体に働きかけ、幾度もの挫折をのりこえつつ、無我夢中に駆けずり回って前進しつづけました。                     高橋美知子さん

その過程の6月、東京子ども図書館から支援の申し出があり、基本図書の寄贈に加えて、専任司書を職員として採用するなど、資金面でも大きなバックアップとなってくれました。これはもう鬼に金棒!百人力を得たようなものです。

  

高田保健センター横に設置されたトレーラーハウス「ちいさいおうち」。大きさは3.2×10m。約20畳くらい。         隣は高田市立図書館の仮設建物

公益財団法人 「ジャパン・プラットフォーム」と公益財団法人「東日本復興支援財団」が資金を提供してくれた。

7月に図書館設立費用の助成金申請書を提出するかたわら、8月に将来移動可能なトレーラーハウスを図書館にすることを決定。9月には長野市にある「カンバーランドジャパン社」に発注。11月には、V・L・バートンの「ちいさいおうちの物語さながら、コトコトと運ばれてきたレンガ色のかわいい図書館は、2011年11月25日、とうとう陸前高田の竹駒地区に誕生したのです。

       

内装や本棚は、長野のおはなしグループ「おはなし畑」の手によるもので、木の棚、木の机がぬくもりを与えてくれます。そこに吉田さん手作りの案内や掲示物が飾られ、すみずみまで温かみに包まれています。

蔵書は児童書ばかり3000冊。確かな目で選ばれた本がずらーり!本の喜びを授けてくれるものばかりです。

    

        

                                                    筆者(左)と 吉田佳織さん(右)

 職員は大船渡市在住の吉田佳織さん。地元大船渡、一関などで約8年の図書館勤務の経験を持つベテラン図書館員です。自宅もご両親のお店も全壊したとのこと。子どもたちの痛みを十分知りつつ、それには触れずに、一人一人の心に寄り添って明るく接していけるのは、この人の他にはいないでしょう。また子どもと本を結ぶ仕事は、その間に立つ人が一番大事です。吉田さんは、東京子ども図書館の専任図書館員として働き、児童サービスの研修を受けるかたわら、理想の子ども図書館を目指しています。

図書館のある竹駒地区の一角では、桜が満開でした。この地に希望をもたらした「ちいさいおうち」が、いつまでも幸せに暮らせますように!!!と願ってやみません。    

            〒029−0023     岩手県陸前高田市 竹駒町字館44

                           (竹駒コミュニティーセンター隣) 

     陸前高田こども図書館・うれし野こども図書館分室 「ちいさいおうち」

                 開館日/火・水・金・土・日曜日 10:00〜16:00

                          休館日/月・木曜日、祝日、年末年始

 

 さて、ここを訪れる人のために地図を載せますが、これはまさに仮設地図。周りのお店というお店はみんな仮設店舗で、いつ移動するかわかりません。お弁当屋さんもそば屋さんもコンビニも、はては葬儀屋さんまで仮設店舗なのです。

           

その中に、本屋さんがあったのは嬉しいことでした。もちろん。さっそく入って、「想い出の風景」の写真集を4冊買いました。被災前、被災後の姿が並んだ写真集は、今はもう跡形もなく消滅してしまった町や、学校や美しい風景を見せてくれます。信じられない変わり様に、引き裂かれた家族の悲しみを想わずにはいられません。

    

  

         仮設店舗が空き地に立つ光景 (上段左から本屋さん、そば屋さん。下段は左から、弁当やさん、コンビニ、葬儀屋さん)

 

「ちいさいおうち」をご支援いただける方は、下記にお振込みくださいませ。

 ◆ 寄付金/盛岡信用金庫 本店 普通口座 0276287

             NPO法人 うれし野こども図書室 代表 高橋美知子

◆ 賛助金/ 郵便局 口座記号番号 02290−0−56378

                加入者名   NPO法人 うれし野こども図書室

◆ 寄付金/ 郵便局 口座記号番号 00130−9−115393

               加入者名    公益財団法人 東京子ども図書館

               「3.11からの出発」基金へ

 

 

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東京子ども図書館 公益財団法人 トレーラーハウス カンバーランド ジャパン・プラットフォーム 保健センター 市立図書館 教育委員会
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