6月26日にWOWOWプライムで放送された、
"氷室京介 WOWOW SPECIAL -DOCUMENT OF LAST GIGS-" を観た。
当方は参戦しなかった、4月23日の京セラドームでのMCで、
ある歌の歌詞を引用して、氷室はこう言った。
『35年間、不器用だけれどしらけずにやってきた』。
以前から、ネットより得た情報で、そんなMCがあったことは承知していたが、
実は、それ一片だけが全てなのではなく、
その言葉の確信にも繋がるであろう話の続きがあるのだと、
今般のスペシャル番組で知ることとなったのだ。
『でも最後はちょっとしらけちゃったところは正直あるんだけど…』。
"不器用だけれどしらけずに" の意味するもう一つの真理。
そう、器用だからこそ、しらけてしまうという、矛盾にも似た理。
器用な人間というのは、様々なことが見えてしまう。
故に、細かい。細部に拘る。
他人よりも先が見えるが故に全てをスマートにこなそうとする。
しかし他人様に対して目の前の出来事にイチイチ高等な要求をしてしまえば、
いずれは衝突が起きてしまうというのはその通りだろう。
スペックの異なる者達が集合する、それが人間社会の理でもあるわけなのだから。
いつの日か繰り返される衝突から、
自分は不器用な人間なのじゃないかと間違った悟りを覚え始めたとしても、
しかしそれでも、、それでもしらけずに生きたとしても、
己の中にある本能、、、本性は、こう訴えつづけるのだ。
"それではない" 、、、と。
やがて時が経ち、頂きに辿り着いた末に空事から解放されたとき、
或いは蓄積された偽りの悟りは、
大きなまでの虚無感、、、しらけにへと形を変えるのではないだろうか。
奇しくも今回のナレーターを務めた古舘伊知郎氏は、
先日配信されたネット記事で、こんなことを語っていた。
「ニュース番組が抱えている放送コード、報道用語。
予定調和をやめて、もっと平易でカジュアルなニュースショーができないかと
12年やってきたけど、壁を打破できなかった。負け犬の遠ぼえなんで、
そこはしっかと自覚しようと。敗北を抱きしめて。」
http://www.asahi.com/articles/ASJ5T05Y6J5SUCVL031.html
"敗北だった12年間" と自身のキャリアをそう振り返った古舘氏だったが、
突き詰めればそれだって、自分の中にあった理想像が、
数を利する大きな社会には勝てなかったということであり、
或いは氷室と同じように、
そこにしらけムードがあったと言うのはその通りなのではないだろうか。
5月23日、オーラス東京ドーム公演がスタートする前のナレーションで、
同氏はこうも語った。
「さあ、全てを引き受けるぞ」。
5万5千人という満員のオーディエンスを迎え入れた、
キャリア最後のステージに向かう、一人の男の感奮を現わしたであろう言葉は、
或いは、古舘氏自身もまた全てを引き受けてきたように、
氷室京介の代弁者としての思いが、
自分自身への重ね合わせとして、その言葉を発したのかも知れないだろう。
全てを引き受けてきた氷室京介。
精神が追い詰められても、、前のめりに倒れそうになっても、
魂でステージに立ち続けた不屈の男。
突き詰めればそれは、誰かに求められ引き受けたことだけではないからこそ、、
自分の為に生ききった人生だったからこそ、
"やりきった" ということなのではないだろうか。
そう、
己の中に在り続けた自問自答の高波が、
決してしらけることを許さなかったということに他ならぬのではないだろうか。
5月23日、東京ドームLAST GIGS終了後、
氷室は、作詞家の松井五郎氏に、
"やりきったよ" と、笑顔で言ったそうだ。
それは自問自答し続けた苦難の時から解放された末の、
最後にあった答え、、
氷室京介自身が、数十年をかけて導き出した、
自分への応えを現わしていたのかもしれない。
https://www.facebook.com/goro.matsui
※当方が参加した東京ドーム公演でも『不器用だけれどしらけずに』とは言っていますが、
その後に続く話は京セラドームのみで言った話です。御了承ください。
7月1日(金) より全国劇場で上映開始!!!
DOCUMENT OF KYOSUKE HIMURO "POSTSCRIPT" -劇場版-
http://kyosukehimuro-postscript.jp/
https://twitter.com/HIMURO_COM/status/747310822729228288
※セブンイレブンで購入出来るチケットは座席指定が出来ないチケットです。御注意ください。
7月23日(土) 20:00~ Coming Sooon.....
氷室京介 WOWOW SPECIAL -LAST GIGS AT TOKYO DOME-
http://www.wowow.co.jp/music/himuro/