影、闇、陰、偽、嘘・・・秘密、、、真実。
そんな全ての暗が溶け込んでいる曲、
氷室京介の新しいユニット、
GOSPELS OF JUDAS の 『Play Within A Play』。
森雪之丞氏が作詞し、
Y.T.氏が作曲した、
心に絡みつくような嗜癖(しへき)なる作品。
さらりと歌った氷室の歌声は、
その世界観を緻密なまでに表現していて、
氷室京介でなければ映しだせない、
まさにボーカリストとしての幅を誇示した1曲と言えるだろう。
そんな傑作に触れる。
この曲を聴き、
物凄い世界観だなと感じるのは当たり前の人。
人の本質に迫っているなと感じるのは、人を良く知る人。
ただそこに心地良さを感じるのは、悟りの世捨て人。
そして、その歌から目を背けたくなるのは・・・
・・ペテンと呼ばれる人。
しかし、そこにある鏡を見れば、
誰もが皆、ペテン師だということに気付いてしまう。
ならば、目を背けずに向かい合えば、
その嘘は真実となる。
そう、人は皆、演じ続けながら人生を終えるのだ。
ただ快楽に繋がっているだけの迷路の中で、
どんな比喩を並べるか、
それが人生ゲームなのだから。
ある時に、ある人は言った。
「カリスマと呼ばれる人は演じ続けなければならない」と。
が、この曲を聴けば、
その言葉こそがフェイクだということに気付くだろう。
カリスマと呼ばれる人は、演じ続けるのではなく、
カリスマというダンスを踊れる高みにいるのだということを。
「お前は何を踊れるんだい?」
そんな問いかけを鏡に向かってしてみても、
答えなんてあるわけがない。
そう、
もう演じる術が無いことも、、
まやかしさえも消え去ってしまったことも、、
全てが知れてしまった、
今の自分には。
演じることができない道化師は、
・・・ただの亡霊だ。
ならば、狂気のダンスを踊ればいい。
そう、
揺れ狂う走馬灯とともに、
その、異国の月影の下で。