MID NIGHT-XXX

~眠れない夜のために~

アイデンティティー・クライシス

2012-04-12 00:00:00 | Weblog


氷室京介最高の作詞にしてBOφWY最強のアルバム『JUST A HERO』。

ある時に氷室は語った。


『JUST~』の詞もあの頃だから書けたんだよね。

やっぱりその時々の空気や自分の精神状態や生きてるエネルギーみたいなモノが

いつも入ってなきゃいけないと思うし、

だから今、『JUST~』と同じアプローチのモノを自分で書けたとしても

以前とはぜんぜん違うモノになると思うし。

少なくともこのアルバムのような詞を全曲は書けないよ、今のオレには。

変わっていくことが義務感みたくなったらそれもイヤだけど、

その都度自信を持って変化するのはイイよね。


   ~「月刊カドカワ 1991年 4月号より一部抜粋」




そんなアルバムの中にある1曲、「JUSTY」。

この曲は、氷室と布袋氏とのタッグの曲の中で、

最高峰に位置する1曲と言っても過言ではない。

これほどまでに、

氷室以外の作詞でも駄目、

布袋氏以外のメロディーでも駄目、

その2つを言いきってしまえるような1曲も無いだろう。

そして、その世界観を揺るぎないモノとしたのが、氷室京介の声、、

ボーカルではないだろうか。


BOφWYの曲をカラオケ等で歌うことはよくあるだろうけれど、

他のBOφWYをどんなに上手く歌いあげても、

このJUSTYほど「何か違うな・・」と、

首を傾げてしまう曲もないのではないだろうか。

「ボナンザグラム片手に ちょっと気取ってほほえみ

 ぬれたままの唇で スマック for GOOD NIGHT」


の後の、

『最初から BABY IT'S ALRIGHT』に注目してもらいたい。

何か、メロディーとは言えぬような、そこはかとないメロディー。

"はすっぱ"にして"巧妙"なメロディー。

しかもそれを数回繰り返すというのだから、

このセンスを凡人が成立させるのは到底無理な話だろう。

そう、これを、氷室以外の人間が歌っても、

「氷室京介を気取ってるお前には出来ないよ。」

などという、失笑を憶えるだけだということ。

それくらい、JUSTYの世界感は氷室京介でなくては醸しだせない、、、

JUSTYはボーカルを選ぶ1曲、、いや、

氷室京介でなければ成立しない1曲と言えるのだ。

それを逆に言えば、

よくぞ布袋氏はこのメロディーを作ったな、という賞賛にも繋がるのはもちろんのこと、

さらに逆を言えば、

そんなメロディーを氷室が成立させてしまうのは流石だな、、

と言った話に戻るのも真理なのである。


それぞれのセンスの全開を魅せつけた、頂上アタックのごとく、

歌詞、メロディー、ボーカル、そしてアレンジと四拍子そろったこの曲は、

氷室京介「MIDNIGHT EVE」にも引けを取らぬ、

不朽のコラボレーションと言えるのではないだろうか。

※words:松井五郎氏 music:氷室京介 produced & bass:美久月千晴氏


氷室京介が歌う曲は、

氷室京介でなければ成立しない。

そう、以前にも言ったように、

氷室の声という、代替出来ない楽器が一つ足りないのだから当然の話なのである。

更には、昨日も語ったように、

その独特のセンス、すなわち、稀有の歌詞を作ったのが氷室である以上、

そこにあるアイデンティティーを口真似したところで、

そのセンスの本当を知っているのは氷室京介ただ一人であるのだから、

「類例無き、その世界観」

を表現出来ないのは当然なのだ。

それはイコール、

その世界観を感受出来るのも、

限られた人のみだということもまた当然の話なのである。



そう、


アルバム『ジャスト・ア・ヒーロー』とは、



センシティビティの優れた者達だけが招待された、



アヴァンギャルドな世界であったのだから。












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