MID NIGHT-XXX

~眠れない夜のために~

化石の探索

2011-07-16 00:00:00 | Weblog


このブログでも、様々な視点から取り上げたことのある、

俺のお気に入りの曲、

そしてお気に入りのPVでもある「炎の化石」。

ちょうど今と同じくらいの夏の季節に発表された名曲だ。

1998年のツアー「ONE NIGHT STANDS TOUR」前に発売されたベスト・アルバム、

『Collective SOULS ~THE BEST OF BEST~』

の最後を飾る曲として、

すでに発表済みの曲達が並ぶ中、

異質を放つ新曲として、突如俺たちの前に現れた。

そんなタイミングでの新曲発表ということもあり、

当然ライブでは披露されるだろうと思いきや、

オーラス横浜スタジアムにおいてまでも、その欲求が叶うことはなかった。

後のライブ「CASE OF HIMURO」で初披露された時は、

さいたまスーパーアリーナの天井にも届きそうなくらいに吹き出されたファイヤーボールの演出に、

度肝を抜かされたという人も多かったことだろう。

そんな激しさを余所に、後ろに流れる静寂な世界。

そう、そのスクリーンに映し出されたいたのは同曲のPVだったのだ。

なんの混じり気もなく、淡々と流がれてゆくそのPV演出に、

あの時、そこにいた誰もが頷いたのではないだろうか。

「やはり、それでいいよな」、、と。

そこに一切の捻りを必要としない、完成度の高い芸術だからこその演出。

その演出こそが、最高の芸術であるという証し。

最高の芸術に余計なセンスは必要としない、

理にかなったそのシンプルに、誰も異論を唱えなかったことだろう。



そして、そんなPVに関しての裏話が、

"【100152】を巡るとっておきのストーリー"

と題し、

2000年のKING SWING No.42に綴られている。

あの鳥は、、、

あの女性は、、、

そう、まるで化石を採掘するかのごとく、

その作品に隠された秘話を感じ、

改めて、その静寂に溺れてみるのも悪くはないだろう。











LAから大西洋を渡り、ヨーロッパの中央に位置するチェコの古都、

プラハに飛んで行われた撮影。

オール・ロケで3日間、それも早朝から夕暮れ時まで、

ぎっしり詰め込まれたスケジュールの中で、

氷室は美しく且つドラマティックな映像作品を創り上げた。

プラハは2度目という氷室は

「前に来たときにも思ったけど、ここは時間が止まってるよね」

とポツリ。

どこまでもアグレッシヴに進み続け、とどまることをよしとしない氷室にとって、

それはあまりにも異質な空間だったのだろうか・・。

けれどその街並みはこの曲のイメージにはハマりすぎているくらいハマっていた。

撮影中、「炎の化石」のメロディーがカメラの後ろで流れると、

そこは一瞬にして時空を超えた不思議な場所に変る。

プラハの中央駅の構内にある古い時計塔の中。150年前に建てられたという国民劇場の屋上。

ゴシック様式のカテドラル・クトィナーホラーを後ろに望む土手。

全身、黒い衣装に身を包んだ氷室は、そこで古い伝説を今に伝える華麗なSPIRITとなる。

撮影にはLAからラルフたち、いつものクルーがやってきた他、

現地チェコのプロダクション・スタッフも参加した。

ヒロインにはチェコのモデル、クローディー。

そしてこのビデオの名脇役であるレイヴンもチェコの出身だ。

http://en.wikipedia.org/wiki/Raven

このレイヴンはとてもナーヴァスな上に狂暴にもなる鳥だということで、

撮影にはかなり神経を使った。氷室がレイヴンを腕に乗せて歌うシーンを撮影した時には、

周りは静まりかえり、氷室も「出来るだけ動かないように」という指示をうけて、

緊張感漂う中でのシューティングとなった。



                      KYOSUKE HIMURO PRIVATE MAGAZINE
                       WINTER 2000 No.42『KING SWING』より抜粋









           http://blog.goo.ne.jp/midnight_xxx/









          

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