その昔、回転寿司屋のリニューアル記念で開催された、
1日限り、全品100円、カニの味噌汁無料サービスというイベントに参加したことがある。
リニューアルをきっかけに、
回る寿司ではない、ワンランク上の寿司店としての再出発を試みたその店では、
通常、100円の皿はメインとはしていなく、
その殆どが300円~600円くらいの皿で占められていた。
店も近所にあり、その味も美味しかったので、
俺の大好物、大トロや、特大ボタン海老等の高額ネタを中心に食べようと、
連れと共に、そのイベントへと向かった。
しかし、店に着いて見えたのは、物凄い行列とそんな輩を仕切る警備員達。
それでも、普段からパチンコ屋の新規開店並びで鍛えていた俺達は、
なんの躊躇もせず、その行列の最後尾にへと付いた。
季節は冬。
鋭利な風が頬に突き刺さる。
並び当初こそ、陽は射していたものの、
辺りは次第に暗くなり、
警備員が持つ赤色のフラッシュだけが激しく、、そして、虚しく点滅していた。
そして、そのフラッシュが、より激しさを見せる2時間弱の並びの末に、
やっと店内へと案内され、
至福の時を迎えようとしたのだが…、
あれだけ楽しみにしていた寿司がまったく美味しく感じられず、
食自体が進まないという違和感を感じてしまう。
無論、連れも同じ気持ち。
決してネタが悪いとかそういう話ではない、その予想外の展開に戸惑う二人。
そう、
寒空の下で、長時間並んだことにより、
体力を消耗し、その味覚を感じることの出来る最高レベル、
つまりは、最善の体調で食すことが出来なかったことによる弊害が起こってしまったのだ。
食とは何か。
我々日本人の多くは、生きる為だけに食べ物を食するわけではない。
その多くは、人間の三大欲でもある、"食欲" から繋がる、
"味覚" というものを満足させる為にあるといえるだろう。
美味しい物を食べれば、、、いや、
美味しいと感じることの出来る物を食べることが出来れば、
それが「欲を満たす」という、
ワンランク上の至福に繋がるのだということ。
いかに食べ物を美味しく感じることが出来る体調が重要であるのか。
逆に言えば、
その体調のシボミとを引き換えに、美味しいものを食べたとしても、
それはまさに、
本末転倒、プラマイゼロという馬鹿げた話に繋がってしまうのである。
話は変わって、
年末の氷室ライヴ武道館会場購入者限定で貰える、
Blu-ray『SPECIAL GIGS THE BORDERLESS FROM BOφWY TO HIMURO』のポスター特典。
そう、
長時間並んだ末、
そのメインディッシュである氷室ライヴを、
最高の体力で楽しめるのかという問いを、
それぞれがしてみるのも、間違いではないだろう。
重要なのは、ライヴを楽しめたという結果論ではなく、
並びが無ければもっと楽しめたかもしれないという、、
すなわち、最高の状態で参加し、
結果として楽しめたというその延長線上に、
本物の最高があるのだという話だ。
一切の悔いを残さないようにする為の自分への戒めこそが、
終演後に本当の至福を味わえるのだということを、分かって欲しい。
貴方はそれでも、
ポスター特典の為に並びますか?
目的とは何か。
今一度、その意味を考えてみてはいかがだろうか。
そう、
この記事の目的とは何かの…
一切は考えずに。
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