最近は、コンピューター・グラフィックスの進化と共に、
以前よりも低コストで表現出来る事や、その利便性等も手伝って、
様々な「あり得ないシーン」が、CGによって描写されている。
テレビ、或いはユーチューブ等でそれらしきビックリ動画を見ても、
どうせCGだろ?と、まずは疑い在り気で、
その作品に触れようとするのは、
いかにも現代に身を置く者の思考でもあるだろう。
1999年にリリースされた、氷室京介、バラードの名曲、
『ダイヤモンド・ダスト』のミュージックビデオ。
同MVに出てくるシーンで、
氷室が柵も何もない、高いビルの端に座り、
同歌を口ずさむ一コマがある。
さて、そのシーン。
皆さんはどうジャッジするだろうか。
以下、1999年のKING SWINGで綴られていた、
それに関する記事を紹介。
Marcus Nispel
氷室とは「SLEEPLESS NIGHT~眠れない夜のために~」に続き2作目のディレクション・ワークとなる。
撮影の前日、氷室とスタッフはマーカスのオフィスへと向かう。
もちろん撮影ミーティング、当日の確認のためだ。
「ベルリン天使の詩」「真夜中のカウボーイ」…そんな具体的なフィルムのエッセンスを話しながら、
氷室の役割についてマーカスが話す。
氷室が注目しつづけていたディレクターであると同時に、
2作目であることの信頼関係と、そして作品に対する情熱が伝わる。
それは撮影当日、数十メートルのビル・バルコニーに座る氷室のシーンにも具体的に現れている。
ささやかなセイフティーのみで彼はマーカスの指示に何の躊躇もみせない。
走りまわるアシスタント達。ダウンタウンの住人からすべてのスタッフを終日ガードする男たち。
そして街中の天使。
早朝、太陽が昇り始める時刻から日没までその撮影は続き、
そのカットを氷室は確認する。
「ダイアモンド・ダスト」はもうひとつの映像の中でもオン・エアされることが決まっていた。
CXドラマ「氷の世界」。
二つの映像世界を持つ「ダイヤモンド・ダスト」。
そのことが当初から氷室の頭にあったのかどうかはわからない。
けれども独立した世界観の中で、「ダイヤモンド・ダスト」は、
それぞれの「ダイヤモンド・ダスト」として僕達の胸を打つ。
~KING SWING 2000 No.42より一部抜粋
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/06/9bcdc7d8dcfe145f679cfd3e0c6af51b.png)
そう、なんと、あのシーンはCGではなく、
氷室京介自身がそこに座ってみせた、
まさに、
"度胸と気合の男、氷室京介"
を魅せたワンシーンだったのだ。
世の中には高所恐怖症という人が存在するが、
たとえそういった特異な性質を担がされている人でなくとも、
あれを真似出来るか?と言われれば、
中々躊躇してしまうのが現実ではないだろうか。
ましてや、大スターの氷室京介がそれを遣って退けたというのだから驚きなのだ。
万が一落下した場合に備えての莫大な金額の保険金は掛けてあったのか、
或いは、不測の事故に備えていた、
"ささやかなセイフティー"とは、
どの程度の物であったのか等の詳細は不明ではあるが、
いずれにしてもあのシーンはCGではかったという実話は、
驚きと同時に、なにか氷室京介 "らしさ" のような、
驚きとは対極の場所にある "納得" という、
そんな二つの感情を同時に憶えたことだろう。
氷室京介の裏の顔は誰も知らない。
ましてや、そんな顔で、
得意げに語ることなどもない。
そう、
語らない氷室こそが、
自分自身を語っている、、、
そんな盲目にも近い感覚を覚えるエピソードであった。
※氷室がそれをやったからと言って、決して真似はしないでください。
万が一落下して大怪我、或いは死亡しても当ブログは一切の責任は負いません。
御了承ください。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/64/ef272af831e794c8c11ed5cfdfe58974.gif)
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