『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭

ジュリアナから墓場まで・・・。森羅万象を語るブログです。
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[映画『桜田門外ノ変』を観た]

2010-10-26 23:59:24 | 物語の感想
☆う~む、面白かった。

 どこが面白かったかと聞かれたら、パッと答えられないのだが、幕末の激動の序章を、きっちりと、『十三人の刺客(2010)』のような「ケレン」を全く排して、「十八人の刺客」を描いていたのが良かった。

 私は、例え『ダンス・ウィズ・ウルブス』の「バッファロー狩り」のシーンがなくても、あの映画は充分に面白い作品だったと思っていて、

 同じく、この『桜田門外ノ変』も、派手な暗殺襲撃シーンがなかったとしても、他の部分で、随所に静かな起伏が感じられ非常に面白かった。

 造り手も、この物語が、「桜田門外ノ変」自体にあるのではないことも分かっていて、そのクライマックスを前半に持ってきていて、後は、その後の事件に及んだ浪士たちの行く末と、事件以前の、何故、事件に至ったかを交互に描くという、かなり入り組んだ凝った構成になっている。

 だが、ナレーションを大胆に、それでいて自然に使うような親切な語り口で、作品のエピローグで、全ての作品構成因子のピースがかっちりとはまることになる。

   ◇

 話が前後するが、また、私の言っていることが矛盾しているように聞えるかもしれないが、「桜田門外ノ変」自体の描き方も、実にリアルで素晴らしかった。

 いい意味で「まったり」と、雪の降る中での赤い血しぶき舞う殺陣を見せてくれた。

 悪役然としている伊武雅刀演じる井伊直弼も、日本の前途を案じ死んでいく。

 つまり、襲撃した側の水戸脱藩浪士たちも日本の前途を真摯に考え計画を実行し、

 暗殺された井伊直弼も、彼なりのビジョンで政治を行なっていたのだ。

 事件の名前と結果ぐらいしか知らなかった「桜田門外ノ変」の後先を、ドキュメントならざるドキュメント的にクールに見せてくれた力作と言えよう。

 おお! 原作は吉村昭ですかッ!!^^

 もっとも、私、マンガ『風雲児たち 幕末編(みなもと太郎著)』を読んでいたので、登場人物たちに馴染みがあったことが、この作品に思い入れが出来た一因でもある^^

      

   ◇

 ・・・しかし、主人公・関鉄之介(大沢たかお)の愛人が拷問されるシーンは妙に容赦がなかったね。

                                          (2010/10/26)

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4 コメント

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どうも、こんにちは! (もののふ(trekky))
2010-10-28 20:55:17
現在の桜田門からカメラが国会議事堂にムーブしたとき、誰かセンゴクを殺れ!っと聞こえたのは多分私の気のせいです。

いずれも本気で命を懸けている、この違いが開講派が売国派とはならないキモのような気がします。
もののふ(trekky)さんへ♪ (ミッドナイト・蘭)
2010-10-28 21:06:12
なるほど!

>>いずれも本気で命を懸けている、この違いが開港派が売国派とはならないキモのような気がします。

井伊直弼には、確かに「覚悟」が感じられるのですよね。

小沢にも仙石にも言えますが、口先だけでは、国民は白けるだけですよね。

>>現在の桜田門からカメラが国会議事堂にムーブ

あのシーンの解釈は幾通りもの解釈が出来て(左翼的な見方も出来る)、だからこそ、この作品はなかなか優れていると思うのです。

この作品、もののふ(trekky)さんも見てて嬉しいです^^
えぇぇぇ!! (sakurai)
2010-10-31 14:08:47
面白かったでござるか・・。
あたしは見て2分で後悔しました。
個人的ですか、あたしが見たいのはそこじゃない。まったくもって、視点がずれてると思ったのですが、結構それは多くの人が感じたようにも思えましたが。
出演者皆が絶叫調なのに辟易、井伊はステレオタイプの狡猾な奴にしか見えず、斉昭に対するひいきは最高潮で(当たり前か・・)、ただの逃亡劇見せられても・・・でしたわ。
セットは素晴らしかったのですがね。
sakuraiさんへ♪ (ミッドナイト・蘭)
2010-10-31 22:10:45
派手な展開はないですが、面白く見ました。
KLYさんの感想も、私が良いなぁと思う所を反対に捉えているので、なんとも言えず、映画の見方は難しいと感じた次第・・・。
確かに、最初の2分の、世界(アジア)情勢と絡めた描き方は違和感ありましたが、作り手は、この事件にどうしても現代性を持たせたかったのでしょう。
でも、思想性はなかったので、右左、どうとでも取れる流れでした。
井伊直弼は、性格はステレオタイプでしたが、私には、確固たる意図が感じられました。
斉昭に対するひいきがあれば、暗殺組に対しての労いの言葉もあったはずです。
失敗は、事件をしっかりと描くための逃亡劇か、事件のそれぞれの立場の思想性を描くかの方向性が定まらなかった点でしょうか。

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