携帯電磁波とミクログリア

<携帯に依存する現代人の脳はその防人の働きに依存>携帯電話と電磁波について、市民の目で研究して行きたい。

11.多発性硬化症電磁波原因仮説に寄せて- 終りに

2009-03-09 14:54:32 | 医学関係者の発言
(11.多発性硬化症電磁波原因仮説に寄せて-終りに)

ここまで書くと、なぜわたしがDr. Kの電磁波論文に関わったかという経緯を述べる必要性があるだろう。それを一言でいえば、わたし自身、小学校時代から音楽の演奏、録音、無線、写真など、趣味が電磁波関係だったこと、また大学に入ってからは病気を物理現象の異常および化学反応の異常として捉える病理学観を持つようになり、それで、昨年初頭に本誌に掲載された教授の論文に関心を持ち、知り合うようになった。以降、教授が書かれた文章を読ませて頂ける機会が持てるようになったわけである。

可能ならば他の一流学術誌と同様に、読者との意見交換がより公に、より活発になり、さらに本誌の価値を高めることを願う。本学を卒業してからずっと学外で基礎医学のみを続けていたわたしから本誌を眺めれば、この間に質の高い論文が数多くあった。総合医学誌として今以上にもっと広く学外に知らしめる、知られる価値の高い学術誌と感じている。

なお、電磁波、特に電波と人体の関係については膨大なテーマであるが、私なりに現在、近年富みに社会問題化してきている電波の人体への影響と疾患との因果関係の有無に限定し、総説論文をまとめているところである。近いうちにそれを本誌に寄稿するつもりである。

終わりに、DR.Kの更なる研究の発展と、質の高い論文が本誌に更に多く発表され、そして本誌のさらなる impact の高揚を卒業生読者の一人として切に願い、稿を結びたい。


10.多発性硬化症電磁波原因仮説に寄せて-国際誌として更に発展してゆく役割

2009-03-09 13:09:07 | 医学関係者の発言
(10.多発性硬化症電磁波原因仮説に寄せて-国際誌として更に発展してゆく役割)
Dr. Kの論文は実は最初に、医学上の仮説を取り上げるという特色ある英文専門誌へ投稿された。しかし査読者からは、わたしもコメントを読んで驚いたが、科学の徒が書いたとは思えないような、全く理解していないどころか、嫉妬、中傷のような査読意見が返って来た。自称専門誌であっても実際にはこのような有り様である。わたしは、この論文を採択し、速やかに発表した本誌の見識を高く評価したい。本誌は海外からも閲覧される国際誌として更に発展してゆく役割を持っていると思う。それには先ず誰よりも学内の先生方が本誌に高い評価をし、質の高い論文を本誌に投稿することが最も効果のあることだと思う。学内の先生方が本誌を最も高く評価しなければ、全ては始まらない。賢察を仰ぐ。

9 .多発性硬化症電磁波原因仮説に寄せて-MSの原因遺伝子について

2009-03-08 12:39:16 | 医学関係者の発言
(9 .多発性硬化症電磁波原因仮説に寄せて-MSの原因遺伝子について)

折しも6月10日の日本経済新聞の夕刊に、国立精神・神経センターがMSの原因遺伝子を発見したという新聞記事が発表された。これは一般にはセンセーショナルなコピーであるが、原著を読んでみると(7)、やはり新聞は発表者の真意をあまり理解していなかった。この遺伝子NR4A2 (Nuclear Receptor subfamily 4, group A, member 2) は、ステロイド甲状腺ホルモン受容体スーパーファミリーに属するオーファン核内受容体をコードする遺伝子であり、ヒトでは第2番染色体長腕上にあり、遺伝子産物である核受容体関連蛋白質1 (nuclear-receptor related 1 protein) は脳と副腎で見つかる。この遺伝子産物は脳では神経細胞の分化、神経細胞でのドーパミン産生を促す。この遺伝子がMS患者の末梢血T細胞で強く up-regulate されていた。発現の増強はDNAマイクロアレイ分析で証明された。実験的には彼らもEAEを用い、中枢神経から採ったT細胞でNR4A2が選択的に up-regulate されていることを見つけた。NR4A2を強制発現させるとインターロイキン17(IL17)とインターフェロンγ(IFNγ)遺伝子のプロモーター活性を増強し、IL17とIFNγを多く産生させた。反対に、siRNA を用いてNR4A2を阻害すると、IL17とIFNγの産生は減り、この動物のT細胞を移植した場合に生じる passive EAE の神経傷害性を減少させたことから、彼らは、NR4A2がMS(EAEだが)での炎症性カスケードを開始する重要な転写因子であり、治療に応用できるかもしれない、と結論しており、新聞での書き方では、この科学的真意を十分に伝えていない。

MSが遺伝子異常症ならば、MSは先天性の遺伝病であり、常染色体劣性遺伝や優性遺伝など明確な遺伝形式をとり、「保因者」もいるはずである。そうではなく、NR4A2の発現は乳癌でのHER2にも似て、治療に有効で大いに意義がある一方、HER2遺伝子が乳癌の原因遺伝子だと言う人は決していないように、MSの原因遺伝子が存在するならば、それは未だ不明と言うしかないと思う。


8 .MSの原因究明には病理解剖学という古典的な正攻法」が最良かつ最速な研究法

2009-03-07 15:45:53 | 医学関係者の発言
(8 .多発性硬化症電磁波原因仮説に寄せて-MSの原因究明には「病理解剖学という古典的な正攻法」が最良かつ最速な研究法)

このように、モデル動物により得られた結果をヒトの病態に外挿する時は、そのモデル動物が本当にヒトでの病態を表しているのか慎重に考えないと、動物での所見がヒトと同じであると誤解してしまう。動物実験研究者は誰しもそうであってほしい気持ちはわかるが、彼らの陥り易い pitfall である。異なる病態のモデル動物で得られた結果により誤った結論に達することではMSの原因究明には程遠い。したがって、これからのMSの研究は、Dr. Kが解剖組織学、電気生理学、生化学、免疫学等、様々な基礎知識を駆使して作り上げた仮説を元に、今一度原点に立ち返ってMSの貴重な剖検組織を病理形態学的に調べ直す必要がある。つまり、最先端の課題だからこそ「病理解剖学という古典的な正攻法」が最良かつ最速な研究法だと思う。


7.多発性硬化症電磁波原因仮説に寄せて-EAEとMS

2009-03-05 17:44:23 | 医学関係者の発言
(7.多発性硬化症電磁波原因仮説に寄せて-EAEとMS)

電磁波のことを抜きにしても、現在のMSのモデル動物に実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE: experimental autoimmune encephalomyelitis)が用いられ、EAE動物での実験結果が、ヒトの多発性硬化症に外挿されてしまっている。EAEはワクチン後脳炎(ADEM: acute disseminated encephalomyelitis)のモデルであり、決してMSのモデルではない。「炎症」と「脱髄」という現象が3つの病気に共通だったというだけで、しかもADEMは患者数が少ないこともあり、EAEはいつの間にかMSのモデルだと殆どの研究者が誤解するようになっただけである。さらにEAE動物を用いた治療薬のスクリーニングにより見つかった薬が、MSにも「ごく低頻度で」有効だった(つまり殆どは無効だった)ということもあり、EAEをMSのモデルだと誤解する人がさらに増えた。加えてEAE発症動物のヘルパーT細胞を用いて別の動物にEAEを起こすことができたという (Passive EAE) 1960年の研究が、MSがT細胞性自己免疫疾患であるという誤解を生んだ。EAEの研究でMSの研究が進歩したとすれば、EAEとMSは如何に異なるかを明らかにできたというパラドキシカルな進歩である。MS患者ではB細胞が大きく関与しているのに、EAEではそれが反映されていない。MS患者ではB細胞も含んだ長期的な免疫反応が、特異抗原なしに起きていることをEAEでどう説明できようか。

6.多発性硬化症電磁波原因仮説に寄せて- 「MSは自己免疫疾患ではない」

2009-03-04 18:39:34 | 医学関係者の発言
(6.多発性硬化症電磁波原因仮説に寄せて- 「MSは自己免疫疾患ではない」)

Dr.Kの仮説は電磁波の影響という斬新な論説だけでもその価値があるが、さらにもう一つの重要な見所を盛り込んでいる。それは「自己免疫 autoimmunity」という現象を再考している点である。日焼けや熱傷を受けた皮膚の表面が剥がれることや、癌化した細胞が自然に排除されることを自己免疫とは呼ばない。これは、「変化を受けた自己 altered self」に対する「正常な」免疫だと思う。もし、多発性硬化症で反応している物が、電磁波によって変性した自己抗原だとすれば、これを排除しようとして作用する免疫は自己免疫ではない。即ち、この過程が事実ならば「MSは自己免疫疾患ではない」と言えるのである。

5.多発性硬化症電磁波原因仮説に寄せて- 耳に近付ける携帯電話

2009-03-04 17:53:34 | 医学関係者の発言
(5.多発性硬化症電磁波原因仮説に寄せて- 耳に近付ける携帯電話)
Dr.Kが本誌の総説で述べた電磁波は、現在著しく普及した携帯電話の電波である。携帯電話の電波の周波数は約900MHzと約2000MHz、PHSも約1900MHzである。一方、電子レンジは約2400MHzであるが、アメリカでは900MHzの電子レンジもある。即ち、携帯電話の電波は物を温める作用もある(周波数が高いほど強い。なお3000MHzは赤外線)ということである。電子レンジはドアに電磁遮蔽がしてあるので(完全に遮蔽すると何も見えないので穴開きになっている)、出力は高くても(500W)離れていれば良いが、携帯電話は耳に押し付けて使う(離せば聞こえない)。影響はあるはずである。そこにDr.Kは注目し、携帯電話の電磁波がグリア細胞を活性型に変える事実を証明し、東京医科大 本誌65巻1号(5)に発表した。グリア細胞の一般的知識については著者が本誌65巻4号に解説した(6)ので、合わせて理解を深められたい。また、日本では携帯電話、PHSの出力は抑えられているが、欧米ではもっと高出力である。日本で影響が少ないから、という理由はDr.Kの仮説を覆す根拠にならない。


4.多発性硬化症電磁波原因仮説に寄せて-身体に接する電磁波の強さ

2009-03-03 17:45:12 | 医学関係者の発言
(Dr.Kは多発性硬化症(MS)の原因に電磁波が関与しているのではないかという仮説を発表した。-身体に接する電磁波の強さ)



一方、電波は周波数が異なるだけに過ぎないのに、全くヒトの作った電磁波であり、進化の段階で生物(ヒトも)が一度もさらされたことのない新種の電磁波である。これは、その便利さから世界中に普及した。遠くまで飛ぶ性質は周波数が低いほど強いが、そういう意味ではなく、反対に近くにしか飛ばない超高周波でも体に接して用いられれば、その作用は、高い空中アンテナから大電力で発せられる電波よりもずっと身体への作用は強い。

3.多発性硬化症電磁波原因仮説に寄せて-生物は常識的な強さの音・光・放射線には適応している

2009-03-02 14:26:21 | 医学関係者の発言
Dr. Kは 3.多発性硬化症電磁波原因仮説に寄せて-「生物は常識的な強さの音・光・放射線には適応している」を展開した。

もちろんヒトを含め、あらゆる生物はその時々の、その置かれた環境に適するように適応する。進化論では自然淘汰という言葉が一人歩きしているが、生物は適応しなければ直ちに絶滅するものではない。それは氷河期等のように極端な環境変化でのみ生じ、多くの場合は生物は置かれた環境に適応してゆく。ヒトも含め、生物にとっては地道な周囲環境への適応が最も大切なことである。生物の進化についてのわたしの考え方は毎年1編ずつ書いているので、参照して頂けると幸いである。どうして進化の話と関連するかと言えば、電磁波のうち、音と光と放射線は生物が発生した時からあったと考えられ、確かに過大に作用すれば音は音響外傷、光はDNAのチミン残基の重合化、放射線はDNAの損傷をきたすが、生物は常に、普遍的に作用している程度の強さの音・光・放射線にはさらされたまま進化してきた。個々の生物についての作用の詳細は割愛するが、「生物は常識的な強さの音・光・放射線には適応している」と言っても良いと思う。


2.多発性硬化症電磁波原因仮説に寄せてーデジタル変調した電波は完全に人工物

2009-03-01 13:27:57 | 医学関係者の発言
(Dr. Kの論文 2.多発性硬化症電磁波原因仮説に寄せて ーデジタル変調した電波は完全に人工物)



近年、携帯電話を主体に、いわば人工的な電磁波に暴露されることが身近になってきている。電磁波は波長の違いにより、周波数の低い順から音、超音波、電波、光、放射線と分けられる(周波数が0なら電気は直流、音は無振動)。ただこれは周波数の違いだけであり、全て連続のものである。例えば電波と光の間に明瞭な違いがあるわけではない。電波の周波数を高くしてゆくと、次第に光になってゆく。また、ヒトの耳に聞こえるのが音、ヒトの目に見えるのが光とヒトが(勝手に)定義しただけであり、犬にとってはヒトの超音波が普通の「音」である。なお、ヒトの鼓膜と声帯は無関係な組織なのに、自分の出す声の周波数が、なぜ自分の耳で聴こえる周波数の範囲内にあるのか、つまりなぜ自分の声が自分に聞こえるのか、わたしは未だに理由がわからない。進化の過程で、過去に自分の聴こえない周波数帯域の声を出せる生物がいたのだろうか。

このうち、音、超音波、光、放射線は自然にもあるが、「電波」は自然にはない。電波としての性質の違いではないが、デジタル変調した電波は完全に人工物である。

1.多発性硬化症電磁波原因仮説に寄せてーMSの原因に電磁波が関与している

2009-02-28 15:28:18 | 医学関係者の発言
Dr.Kは多発性硬化症(MS)の原因に電磁波が関与しているのではないかという仮説を発表した。
Dr.Mは(1.多発性硬化症電磁波原因仮説に寄せてーMSの原因に電磁波が関与している)をコメントした。

「多発性硬化症やある種の神経変性疾患は強い電磁気暴露により発症する」
http://blog.goo.ne.jp/admin.php?fid=editentry&eid=de2d6ea127ad569486ee869ba9481f35

研究をする際には、もちろん仮説を立てて検証するという方法に従うが、客観的事実と証明された事項も含めて、仮説を総説にできるまで体系的に構築することは容易ではない。本論文は、編集後記にM先生が書かれた通り、非常に exciting な論文である。これまで約150年間、いろんな説が挙げられてきたが、いずれも決定打がなく原因不明のままであった神経難病の原因解明に近づく breakthrough 的仮説といえる。
(to continued)

多発性硬化症電磁波原因仮説に寄せて(Dr.Kの論文)

2009-02-28 15:13:44 | 医学関係者の発言
Dr.Kの論文に寄せてDr.Tがご意見をお寄せくださった。
「多発性硬化症やある種の神経変性疾患は強い電磁気暴露により発症する」
当ブログ
http://blog.goo.ne.jp/admin.php?fid=editentry&eid=de2d6ea127ad569486ee869ba9481f35
をご覧ください。

磁気刺激療法とセロトニンの関係

2009-02-26 16:06:12 | 市民の発言
セロトニンやノルアドレナリンなどの脳内の神経伝達物質の働きが悪くなり、それによってうつ病が起こるといわれています。“セロトニン”と“ノルアドレナリン”は脳の中で、意欲や活力などを伝達する働きをしているため、この働きが悪くなると憂うつ感などを引き起こしてうつ病の症状があらわれるようになります。そのため、治療でこの脳内神経伝達物質のバランスの乱れを修正することで、うつ病を改善できるのです。

セロトニンの機能と磁気刺激療法の機能に類似したものがあるのだろうか。
「こころの薬箱」:セロトニンの機能をわかりやすく説明して下さっています。
(国際医療福祉大学)
セロトニン
http://utsu.jp/04.html




基礎知識ー局所SARと全身平均SAR

2009-02-24 12:47:10 | 市民のための知識
局所SARとは、人体が電磁波にさらされることによって、任意の10g当たりの組織に6分間に吸収されるエネルギー量の平均値をいいます。この値は携帯電話の機種によって違います。携帯電話に適用される防護基準:2W/kg

全身平均SARは体の各部位のSAR値を全身で平均した値である。
0.08W/kg


http://blog.goo.ne.jp/admin.php?fid=editentry&eid=8ad3e9a035a7685667bfe6d478698bb0

基礎知識ー比吸収率(SAR)

2009-02-24 12:08:26 | 市民のための知識
http://blog.goo.ne.jp/microglia_society/e/f73d929ca96d9d1e2780f7b8755136ea

「電磁波被爆のこわさ」と題して,電磁波を浴びると脳腫瘍,白血病,
ガンなどが危惧されるようになりました。そして電磁波過敏症という病気があるともいわれ始めました。電磁波が健康上問題があるのではないかと騒がれ始めたきっかけは,実は携帯電話です.そして今や生活を便利にする最先端商品が,生体をおびやかす元凶として扱われようとしています.
 脳腫瘍,白血病やガンなどの事例は決して作り話ではなく,調査に基づいて報告されています.しかし,原因である電磁波と結果である病気との因果関係や,そのメカここズムについては,まだまだ研究途上にあるといわざるを得ないのが現状です.
単位質量に吸収される(毎秒あたりの)エネルギそのような中で,手をつけられるところから手をつけようと動き出したのがSARです.
比吸収率(SAR)の単位は‘W/kgがまたは“mW/g”で,なんともなじみの薄い単位です.単位の解説書にもまだ登場していません.
 単位の元(ディメンジョン)からわかるように「単位質量に吸収される仕事率(ワット)」です.普通語でいえば「単位質量に吸収される(毎秒あたりの)土ネルギ」ということです.
 値が大きいと吸収が多く,小さければ吸収しにくいという指標になります.
 英語では‘Specific Absorption Rateですが,日本語では「比吸収率」です.
 「エスエーアール」と呼んだり「サー」と呼んだりしています.
 SARという言葉はもはや解説なしでも使われ始めている術語です.すでに法制化された文書,諸規格書,解説書が出まわっており,また講演会も催されています.したがってSARだけを集中して勉強しようとすれば資料には事欠かない状況にあります. (携帯電話と比吸収率”SAR")