Post Japan

「日本再建」をめざす学者の卵が,日本の明日を考えます.

パトロン国家構想案

2010年03月01日 20時49分11秒 | 社会問題
 利潤の追求を目指さない芸術家などには,それを経済的に援助してくれるパトロンが必要である.パトロンにとっては早期投資,芸術家にとっては後ろ盾である.これはつまり,成功している芸術家というのは,パトロンをつけるだけの才能・努力・人間性・プレゼン力があるという事である.

 かのシェイクスピアは,パトロンとなってくれるお金持ちから,莫大な資金援助をしてもらっていた.このシェイクスピアの特筆すべき所は,失敗からの立ち直りにある.いかなる天才でも,失敗はつきものである.シェイクスピアは,新作の劇が失敗に終わった時でも,パトロンから「気にするな.次で挽回しろ」と,次なる資金援助をもらっていた.これは,シェイクスピアのプレゼン能力が非常に秀でていた事を示唆する.劇作家としての才能もさる事ながら,プレゼン能力の才能も持ち合わせていたのである.

 諺に『天は二物を与えず』というのがある.『天は一人の人間に,それほど多くの長所を与えることはしない』という意味である.しかし,現実社会では,二物も三物も才能を持っている人がいる.世の中の成功者というのは,こういう才能を沢山持ち合わせている人々が大勢である.つまり,1つの才能だけでは,世の中で容易には成功し得ないのである.

 ことに日本では,『この道一筋』といった人間国宝のような職人や匠が好まれる.例えば,老舗の寿司職人が実はパティシエの才能もあって,洋菓子を作るのが上手かったとする.この寿司職人がパティシエの才能も活かそうと,洋菓子を販売したら,世間体がそうなるのか予想はつく.なまじ“専門外”の洋菓子を作り始めたばっかりに,「本職の寿司の味が落ちた」とリピーターに言われるであろう.これは,本職の寿司の味が変わらなくても,そう揶揄される風潮なのである.つまり日本人は,“二物の才能を認めたくない”のである.

 しかし,人はクエイトの才能だけでは,成功はできない.説明・説得する能力と,人をひきつける人間性の才能も持ち合わせていなければパトロンがつくはずがないからである.日本の企業では,こういった問題を解決するために,人事異動という制度を採用している.人事異動とは,第2や第3の才能も引き出す事により,より社員の成功可能性を広げ,またお荷物としてリストラの候補にしない様にするための企業の福利厚生の一環である.

 私は,企業で行われている人事異動がもっと大規模に,国家全体の中で流動的に行われるべきであると考えている.言い換えると,国家がパトロンで,国民が芸術家になるべきである.これが私の政界進出の目的の一つである『パトロン国家構想案』である.具体的に言えば,大学までの全教育課程の学費無料化,失業者・既婚女性・高齢者への再就職・転職・副業の支援強化などといった,学歴競争のスタートラインの平等の整備とセーフティネットの充実である.

 政策を実現するに当たっては,財源が必要である.しかし,少子高齢化や停滞した国内経済成長による歳入減と歳出増の現状は,実現を是としない.私は財源がないからこそ,財源を増やしたいと思う.少子高齢化による労働力の低下,景気低迷,そしてろくに資源が無い我が国が歳入を増やす方法が1つだけある.それは“特許”である.特許収入で海外の労働力や資源に頼る事無く財源を確保する.

 「日本は技術大国なんだから,特許制度もしっかりしてるでしょ」と思っているそこのあなた.あなたは本気で,日本が技術大国だと思っているのであろうか.残念だが,私は断言する.これからの日本はもう技術大国とはいえない.例えば,アメリカのトップの大学は,研究成果で特許取得し,その利益を研究費に当てて,学校経営に役立てている.一方,日本はどうであろうか.東京大学ですら特許収入がたいして無い.東大の特許収入額の大学ランキングは,なんと世界で70位以下である.日本の最高レベルの大学ですら70位で,これからの日本も技術大国だなんて笑わせてくれる.

 国内労働力と資源が無い,これからの日本は技術力だけが唯一の希望である.しかし,その未来は,真っ暗闇なのである.先端技術の開発競争にことごとく敗れ,工業製品輸出国としての地位を失い,何の特徴も無い貧乏国へと凋落していく.これは大げさではなく,一歩間違えると,そういう現実が迫っているのである.

 前述した様に,東大の特許収入が世界で70位以下なのは,東大の研究レベルが低いからではない.なぜならば,大学レベルの指標による研究論文の引用回数は,世界の中でもトップクラスで11位であるからである.では,研究は最先端で充実していても,特許料の収入がなぜ少ないのか.それは,研究しても特許をあまり取得していなかったからである.ただ東大は,独立行政法人化されてから,特許料収入を増やそうと,最近になって頑張り始めた.しかし,特許の出願件数は増えたものの,収入は増えず利益が出ていない.利益が出ているのは,特許収入1位の名古屋大学ぐらいである.

 では,どうして他大学では,特許で利益が出ないのであろうか.非常に独断と偏見で意地悪な私見を述べさせてもらえれば,特許庁の体質に問題がある.特許庁の役人達は,特許の仕組みをわざと複雑にしている.その理由は,官僚が一度作った組織を簡単に潰さないからである.なぜなら,天下り先として使えるからである.外郭団体は,特許庁関係団体で4つ,所轄の公益法人で7つ,また発明協会は支部が全国に47もある.大切な天下り先を存続させるために,無くてもいい仕事を生み出すから,日本の特許はややこしくて,お金もかかる.2008年になって,批判を感じ始めた特許庁は,6万6000円もした商標の登録料もほぼ半額にして,更新登録料も改善したがまだまだ甘い.私ならば,登録料など無料化しても良いと思う.登録料なんてものは,税収UPという金の成る木を作った本人が金を出して負担するのであるから,詐欺みたいなものである.

 特許の本来の目的は,弱い立場の発明者の権利を法律で守る事である.なぜなら,中小企業は,自分たちが死ぬ思いで開発した技術を大企業に真似られたら,対抗のしようが無い.それを防ぐために特許はあるのである.そして海外では,ベンチャーが一つの特許をきっかけに大成功して,一大企業へと成長することがある.だから,ベンチャーは特許取得に熱心なのである.しかし,日本の特許は複雑で費用がかかるため,中小企業はほとんど登録していない.日本だけが世界とは全く逆の状況で,日本の特許の9割が大企業によって取得されている.なぜならば,日本の投資家は,株価の指標として特許出願数に注目しているからである.だから,日本のメーカーは,必要以上に特許を分割して,株価維持対策をしている.日本の特許出願数は,世界第2位であるが,株価対策のためだけの役に立たない特許がたくさん煩雑している.未利用特許数は,全体の半分以上で,海外よりも非常に多い.

 確かに日本には,優秀な研究者や技術者がいる.しかし,国や企業には,彼らの能力を活用するシステムが無い.世界中が知的財産を押さえようと,法の整備を急いでいる.これはつまり,各国が特許審査のスピードを早めているのである.しかし,日本だけがこの流れに取り残されている.このままでは,『技術大国ニッポン』が見せ掛けの張子の虎になってしまう.



正論かましてよかですか?

少子化によって労働力の減少する日本が世界で生き残るには,知的財産が鍵となる.
そのためには,研究者が研究をしやすくなる環境を整備するべきなのである.
国家が国民のパトロンとなって,国民が能力を発揮できる国家制度の構築,そして日本の中小企業が再び世界に対抗する技術を手に入れるための特許制度改革を遂行すべきである.



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Dr, N
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記事を読ましていただきました.
まぁ,同意できる部分と,どうだろうなぁと思う部分がありました.

多分,全体を通して言いたい事は,
「日本は資源がなくて,技術に依存する必要があり,
そのためには知識階級の保護または,知識の獲得の整備が必要である.」
という事かと思います.

個人的には賛成なのですが,
現在の日本国民全体としては,少なくとも平均値くらいは,「とにかくできるだけ頑張らないで生きていきたい」と考えている人が多いのではないかと思います.
そのような人達にとって,このような議論は最も避けたい所でしょう.
話の中にも出てきましたが,「二物の才能を認めたくない」以上に,
日本人は,「出る杭を認めたくない」のだと思います.

別論になりますが,特許や商標の登録料や申請料が高いのは,
確かに天下りの影響もあるのですが,
無料にしてしまうと,思いつきで片っ端から申請してしまう状態になってしまい,本当に必要としている人が申請できなくなるからという背景だったと思われます.

それから,岡田外相も言っていましたが,日本は観光立国になるようです.
だからといって技術立国を捨てるという意味ではないとは思いますが・・・.

ところで,これは私の持論ですが,結局,世間の制度が自分にとってよくなるように待つよりも,自分自身で与えられた運命の中で,なんらかの花を開かせる才能を獲得する能力がサバイバル能力ではないかと思います.
どうして,こう思ったかと言うと,きっと総理大臣になった所で,日本を自分が思ったように動かせる事はできないでしょう.権力が増大になった分,それに対する抗力が余計に大きくなってしまうだろうからです.
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少子高齢化 パティシエ 名古屋大学 金の成る木 独立行政法人 セーフティネット リピーター 日本の企業
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