暗闇でインターホンを押したら、ナメクジを押してしまったこと、あるか?

学生時代に出会ったあいつは言った。「健康であること、そして楽しく生きること。アヒルも人間もな。」まったく、その通りだ。

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そこにいるだけで嬉しい存在なんだなとアヒルおじさんは思った

2017-05-03 21:14:08 | 日記
アヒル村から大阪に出てきた頃の私は右も左もわからぬ田舎の水鳥であったので、梅田の横断歩道を渡るのもやっとの有様であった。

そんな時、大学で出会った同期の沖田(仮名)という男が親切にしてくれ、我々はすぐに仲良くなった。
沖田は色の白い細身の男で、少し病弱で大人しく目立たなかったが、非常に頭が良く、繊細で絵画が得意だった。アヒルの私にも優しくしてくれ、試験の前は何度もノートを貸してくれた。

その頃の大学生は誰も彼も馬鹿でかい声で騒ぎ立てる者が多かったのだが、沖田はいつも静かに喋りかけてくれて、私は彼のそんな穏やかな性格が大好きだった。

しかし、沖田にはどうも神経質すぎる部分があった。
例えば同期に寺岡(仮名)という男がいたのだが、「寺岡は俺の悪口を言っているのだろうか」と突然、不安な顔で私にそんなことをこぼしたりした。
寺岡は沖田と反対に、体格がよく活発で友人も多く、ロックバンドのサークルに入ってギターを弾いているような学生だったが、理不尽に悪口を言うような男ではなかった。

沖田は「俺は暗いから、寺岡みたいなタイプの男には昔から嫌われるんだ。きっと悪く言われているだろう。それにさっき教授とすれ違ったが俺のことを睨んでいたね。大学を病欠しがちだからこのままでは留年するぞと目で伝えてきたんだ。そうに違いない。」
などと、被害妄想に近い愚痴を言いだすこともあった。

実際、その時すれ違った教授は、私のトートバッグに化け猫の妖怪が描かれているのを見て不気味に思いこちらを見ただけなのだろうが、それを説明しても沖田は納得してくれなかった。

そんなある日、沖田は突然こう言いだした。
「そう言えば最近、俺の愚痴ばかり聞いてもらっているね。俺はこの通り、病気を理由に就職活動をしていないわけだけど、みくるくは頑張って就活してるだろう。とてもえらい。聞いてほしいことや愚痴などあれば言ってくれ。」

私は「病気は必ず治るよ!」という趣旨のことを言いたかったが言えなかった。とても軽々しく浅はかな発言に思えたからだ。就活には正直嫌気がさしていたが、そのことについて愚痴を言う気にもなれなかった。病気と闘うほうがつらいに決まっているのだ。

「雨上がりの公園の水たまりに入ったら見事に泥だらけになったんだが、全身茶色になったので、通行人にアイガモに間違えられた。失礼な話だ。」などとどうでもいいことを言ってしまったが、沖田は大いに笑ってくれた。なぜかめちゃくちゃ笑ってくれた。

私はその時、とても不思議な感じがした。目の前で友人が笑ってくれていることに、なんだか急に感謝したくなったのだ。

引っ込み思案で大人しかった私は就職活動も思うように進まず面接ではことごとく落とされ、自分には存在価値はないのか、誰にも求められていないのかと、悩みに悩んでいたが、そんなことはどうでもいいのではないか、最早問題ですらないのではないのかと思った。

好きな人が生きてくれている、笑ってくれているというのは、すごいことなのだ。
沖田は自分のことをすぐ卑下するし、「俺は無職だからね、ニートになるんだ」などとよく言っていた。でも、それがなんなのだろうか。

仕事があること、ないこと、同期や教授に好かれている、嫌われていること、積極的であること、消極的であること、恋人がいること、いないこと、そんなことがその人間の価値を決めるのだろうか。そんなことはない。
絶対ない。

生きていてくれること。それだけで人間には価値がある。生きていてくれたら嬉しい。

できたら幸せにしていてくれたら嬉しい。どうでもいいことでも笑ってくれたらとても嬉しい。ただそれだけのことだった。

「自分は何にもできないからね」それがなんなのだろう。何にもできなくて結構だ。最高だよ。生きてるだけで最高だよ。
だからもし、貴方が「自分は何もできない。人より劣っている。価値がない。生産性のない蛆虫だ。」などと思っているなら、自分にこう言ってほしい。


「だからどうした!!!そんな俺が!私が!最高だよ!!!」


そう言ってほしい。だってそれが真実だからね。そしてそうやって、自分を認めまくっていったら、欠点だと思っていたことが、最高の長所だったってことにも、いきなり気づいてしまうものだからね。
あと、もし好きな人や友人がそばで笑ってくれている時間が少しでもあるのなら、その時間を大切にしてほしい。できたら「君がそばにいてくれて嬉しい!」ということを、伝えられるうちに伝えてほしい。


あとあと、これは余談だが、仕事しなくてもわりとなんとかなる。実際みくるくは諸事情があっていま仕事をしていないけど(ウケる)、なんとかなってるからね。「つらいことをしないと生きていけない」という思い込みがあるなら捨てていいよ。本当に、そうだからね。大事なのは生きること。ただそれだけだからね。

大丈夫。
全部全部、なんとかなるんやで。

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