大竹道哉 日々雑感 兵庫県明石市のピアニスト・ピアノ教師

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ハイフィンガー批判第3回

2017年06月14日 | 音楽教育
第3回 代替案に関する考察 その他
本当の問題は「ハイフィンガーがピアノ演奏に適しているか否か」よりも、「なぜ『ハイフィンガーがピアノ演奏に適しているか否か』が議論されてこなかったのか」なのです。この『二重かぎ括弧』の中には、様々な文言が入りえるでしょう。たとえば、体育で昔よくやった「うさぎ跳び」など。(「なぜ『うさぎ跳びが身体、運動に適しているか否か』が議論されなかったのか」)
とことんまで議論し、どこがよくてどこが悪いのか「科学的、合理的」に検証されないと、きちんとした代替案も作りようがありません。中途半端な批判では、また同じことを繰り返してしまうことになります。
実際、「ハイフィンガーをやめても、ハイフィンガーの悪い、一部分が残っている」ために、うまくいかない例を私は多く見聞きしましています。


指を高く上げなくても、青○のようにロックされ、身動きができない状態を残していたら、鍵盤を離すことが自由にできないので、多彩な音色は望めません。
そもそもハイフィンガーでは
「上から直角に打ちつける=強い打鍵」
「鍵盤から離れにくい指のポジション」=「しっかりしたタッチである」=「正しいタッチ」
というふうにセットになって理解されたと考えられます。
これに対し、代替案は、
「様々な触れ方のできる打鍵」
「鍵盤からの指の離れ方を様々にコントロールする」
ということが言えます。

ハイフィンガーに変わるタッチとしては
手首が揺れないで指だけのスタッカートができる
指先からでも、指の根元からでも手首からでも打鍵できる
を提唱したいと思います。参照

ただ「ハイフィンガーをやめる」だけでなく、タッチの物理的な考察、実践、応用がしっかりとされないと、自信を持って演奏し、生徒に教えていくことはできないはずです。感情的、雰囲気で「これはよくない」と攻撃しても、完成度の高い代替案を確実に持っていなければ、「単なる感情的な攻撃」と何も変わることはありません。
もしこのように、考察がワープしていると、この「結論」そのものは自分にとって使えないもののはずです。


ところで第1回の「追記」で書いた「井口氏の著書」については、少し気になるところがありました。鍵盤上に直角に近く打ち下ろす方法、これをもし、単なる指のある部分の強化訓練の一つとしているとすれば、実際の演奏にそのまま使うかどうかとは別であるかもしれません。すると、「最初の訓練」からどのように次のステップに推移させるか、という疑問が出てきます。
生徒は「とりあえず音符を片手ずつゆっくり弾いて」「先生の許可をもらい」「いわれたとおりに表情をつけていく」
この風景は、岡田暁生氏の著作に詳しく述べられています。
2013・08・08私たちが受けてきたピアノ教育.
つまり、とりあえず片手ずつ「ハイフィンガーで指が鍛えられたら、次のステップに進んでよい」と師匠が生徒に命令するような仕組みだといえます。もっというと、さらに高度な「楽譜の解釈」などはもっと偉い(?)先生のおっしゃることに従う。というしくみなのでしょう。
「ピアノ教育」という社会が、このようなヒエラルキーとともに成り立っている可能性があります。すると、原点に返って「自分の弾くピアノの音は誰のものなのか?」という疑問が出てきます。ある方法について自由に、また科学的に検証する気風が、ピアノ教育界では欠けていた、あるいはなかった。それが本当の問題点であるのではないでしょうか?
私は「ハイフィンガーの問題」は、その事実そのものよりも、背後にできてしまった人間的、社会的な問題のほうが、根が深いと思っています。この問題は本質的に「音楽そのもの」と全く関係ありません。ただ「音楽が使われている」だけの状況です。

もともと「ピアノ音楽」を含む「西洋音楽」は、日本とはまるで関係ないところで育った文化です。ですから「完全な輸入」であったことは間違いありません。すると、その「西洋音楽」を知っている、教えることができるのは「外国の先生」その次に「外国へ行って勉強した先生」ということになります。すると当然最初は「言われたものをそのとおり」として受け取る、ということがはじめにあります。そこで本当はそのときに「自分自身の価値観」を「西洋音楽を勉強する中で身につける」ことをすべきだったのでは、と思います。
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