考察する。

2017-03-26 13:50:21 | Weblog

「騎士団長殺し」を、まだ読んでいない。

今は読む気がしないのだ。

最近のあの人の長編小説は実は俺は、そんなに評価していない。

文章はもちろん読みやすくて含蓄も深いし、楽しめるし、一級品なのだが、

長い小説だと話が必ず、混迷に入り込んでしまうし、大団円もない。

「あの人」の刊行物はここ数年、小説よりも誰かとの対談とか、自伝本的なもののほうが断然、面白いし深みがある。

「悩み相談」的なものも、とてもとても興味深く読めた。

あ、でも小説作品のなかでは、「色彩を持たない・・・」は良かった。短かったし、

何と言うか、ボルヘスとか、ガルシア・マルケスとかあっちの、南米の作家に

影響を受けたフシを感じた。

普遍的な小説を目指しているのだ、ということがありありとわかる感じ。

他の 彼の 近年の長編小説、

「1Q84」とか・・・けっこう、気持ちがすっきりしなかったんだよね。

「カフカ」も・・良かったんだけど・・・・・・最高、とは思えなかった。

「ねじまき鳥」も、BOOK3で、ちょっとないよな・・・・と思ってしまった。


長編は問題あるけど、短編は全部!素晴らしく良い。連作短編とか、とてもとても面白かった。


だから「騎士団長殺し」は、手を出しかねている。

「殺し」という言葉がタイトルに入ってるのにも違和感がある。


とにかく。


その代わりに・・・・という訳ではないのだが、ここ数日、三島を読んでいた。

俺は、いわゆる日本の巨匠・・・・というかその辺のものを全然読んでなくて、

どうも興味が持てなくて。(太宰はちょっと読んだ。面白かった)。

でも最近、仕事で本物の・・・金閣寺の近くを通る事があって(そうよ、アタシは京都に暮らしてるのよ)、

直後に本屋で「金閣寺」を見かけて、

これは運命に誘われている、と浅はかにも思い、

挑戦してみた。三島由紀夫の金字塔、と言われている「金閣寺」。

結果、面白く読めたし、良かった。感心した。心に残った。

しかしアレって、事実を題材にした小説だったのね。知らなかった。

金閣って実際に放火で消失してるんだ・・・・・・・・・・・・・・・。

まあいい。

それで三島に関しては彼のあの死に方がとても凄絶で以前から少し興味があって、

ちょっと資料を漁ったりしていた。

しかし、あれって誰がどう解釈しても、空前絶後の、

超有名作家による「クーデター未遂事件」だ。真っ直ぐな、国家反逆罪だ。

物凄いことをしたものだ・・・・とつくづく思う。

いい、悪い、はこの際考慮せずにおく。

だが凄い。すご過ぎる。頭痛くなりそう。


ところで、冒頭で俺が言及している作家、「あの人」の

三作目の長編小説である大傑作「羊をめぐる冒険」は

1970年11月25日に始まる。

この日は三島があの「クーデター」を決行した日、なのです。(小説内に三島に関する記述は一切ないが。)


その日、俺はまだ4歳で、新宿にいたはず。

戸山ハイツから市ヶ谷まで、全然遠くないっていうか、すごく近いらしいんだよね。

(げげ!今、地図でみたら本当に近い!歩いていける距離だ!)

君はその日、どこにいましたか?

・・・・・・・・・・・・・・まだ産まれてなかった?




コメント
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