インドで作家業

ベンガル湾と犀川をこよなく愛するプリー⇔金沢往還作家、李耶シャンカール(モハンティ三智江)の公式ブログ

金沢ライフを振り返って

2016-04-25 15:37:05 | 
金沢での生活の端々がちらりと脳裏をよぎる日々、四ヶ月という初の日本長期滞在を終えて戻ったが、三十年居住している移住地なのですぐ順応し、また日常の懈怠が戻りつつある。
熱帯地なので、心も体も緩む感じで、寒くて緊張していた金沢と違い、心身が伸びやかに広がっていくようである。住居の広さいかんも、精神に関係してくるのだろう。

かといって、海外生活を謳歌しているのとは程遠く、実は飽き飽きしていたといったほうがよい。だから、金沢での長期滞在はいい気分転換になったし、活字飢餓も癒せてよかったのである。難は冬で寒かったこと。狭い一室のみのマンションで心身ともに縮かんでいた感じ。しかも、家族と離れての独居、厳しい一面もあったが、学ぶことは多かったと思う。
犀川の近くなので、雄壮な川と上流の彼方に聳える雪山、春にかけては土手の桜並木と、環境のすばらしさも堪能できた。

整備された広大な緑地が河原に広がり、散歩にはもってこい。寒さが厳しくなると、さすがに冷たい川風が吹き付ける河原に降りるのは億劫になったが、それでも、極力外出して橋の上からの絶景を楽しんだものだ。

120日余の滞在で200冊以上読破したが、小説・エッセイではまったのは五木寛之、なかにし礼、石原慎太郎、西村賢太はじめ、古井由吉、色川武大、水上勉、吉行淳之介、川端康成、車谷長吉、玄有宗久、宮本輝、渡辺淳一、伊集院静、白川道、田中英光、津村節子、瀬戸内寂聴、高樹のぶ子、山田詠美、桜庭一樹、桐野夏生、DHローレンス、町田康、荒川洋治(母校藤島高校の先輩で詩人かつ文芸評論家)、窪川誠二郎(水上勉の私生児)、高田浩(石川県大聖寺生まれの自然愛好エッセイスト)、清川妙、下重暁子、井上雪(金沢在住のローカル作家だったが故人)、精神世界書では斉藤一人、日野原重明、ロンダ・バーン、思いつくままに順不同で挙げてみたが、雑食で終盤は新着図書や写真集も手にとったりした。

泉野図書館付設の喫茶室・なでしこカフェで、図書室から拝借してきた写真集や興味ある評論集(三島由紀夫の「豊饒の海」論など)を180円のホットをちびちびやりながら二時間内にぺらぺら見終えて返すのがほぼ日課と化していた。あえて借りるまでもないが、ちょっとめくってみたいという図書を拝借し、喫茶室に持ち込むのである。

その後で本命を借りて、地方紙二紙をざっと読んで戻ってくるのが常だった。
上菊橋を行き帰りに経由するので、絶景を眺めながらの散歩がてらの図書館通いで、金沢生活のリズムともなっていた。

当地に戻ってきて、日課は海辺への散歩に戻ったが、平地と比べて歩きにくいし、散歩時間も半減、その分ヨガで補っているが、やっぱり片道三十分くらい歩かないと、歩いた気がしない。大体一時間三十分くらいで一万歩(7.5Km)というから、それくらいが望ましいのだろうが、金沢ウオーキングは往復一時間で三十分足りないけど、河原に出てぶらぶらするともあったから、そうすると一万歩くらいになるだろうか。

当地では往復三十分で全然足りないなあ。
悪路で狭い道に車やオート三輪、バイク・自転車があふれているので、メイン道路を歩く気にはならないし。
そう考えると、やはり、川辺の遊歩道というのは理想的だ。平坦な舗道というのは足にも優しいし。

私は大のウオーキング党。
若いときから二、三時間の気ままな逍遥に身を任せてきたが(目的のない、ぼんやり物思いにふける散歩)、金沢は道路が美しく整備されているので歩きやすかった。夫も高血圧のため、早朝のウオーキングを日課としているが、犀川緑地の遊歩道にはきっと満足するだろう。

金沢の古書店、香林坊のhttp://www.oyoyoshorin.jp/%E5%BA%97%E8%88%97%E3%81%AE%E3%81%94%E6%A1%88%E5%86%85/109ビル裏のせせらぎ通りの尽きる角のオヨヨ書林(変わった店名は小林信彦「オヨヨ」シリーズから)で買って持ち帰った二冊(「私の宇野千代」(瀬戸内寂聴)、「赤目四十八瀧心中未遂」(車谷長吉)は、東京のブックオフで求めた文庫十冊より面白かったことも付け加えておこう。

*以下はオヨヨ書林についてのネットページ(店の写真入り)から。
店舗はもともと大正時代に鉄工所として使われていたレトロな建物を改装したもの。約100平方メートルの店内は、高い吹き抜けの開放的な空間に高さ3メートルの本棚が設置されています。建物の外観はさすがに年季が入った印象だが、一歩店内に足を踏み入れると柱や梁は黒系のシックな色調に塗り替えられ、落ち着きと開放感あふれる雰囲気。
営業時間は11時~19時。年中無休。〒 920-0865 石川県金沢市長町 1-6-11 tel/fax:076-255-0619 文芸書、思想、社会科学、絵本など扱っているが、今のところジャンルとしては、文芸・思想・詩などがメイン、タテマチ店のほうはアート系が充実。


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