インドで作家業

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昭和史に残る最高傑作ドラマ

2017-04-23 21:17:04 | ラッパー子息・音楽ほか芸能
引き続き、「前略おふくろ様」関連記事である。一昨日、第一部26話を見終わったが、感極まってその夜は興奮の余韻で眠れなかった。
前略おふくろ様1 26話

スマホで無料ネットサーフィンできるようになって以来、日本の主に昭和時代のドラマにはまっていたが、十手に余るドラマの中で最高の感激を与えてくれたのが、天才双璧、脚本家倉本聡と俳優ショーケン(萩原健一)のゴールデンコンビによる、同作である。日本テレビドラマ史上最高傑作と絶賛されるのもむべなるかな、インドにいながらにして、四十年も前の、私が二十代前半時放映されたドラマが全編動画で鑑賞可能とは、なんという至福か。しかも、このような金字塔のドラマを見られ、贅沢な時間を満喫させていただき、動画をアップしてくれた人には深い感謝あるのみだ。

すでに第二部に入っているが、のっけからショーケンと桃井かおりのキスシーンがあったりで、波乱の展開、面白くなりそうでわくわくしている。
前略おふくろ様2 1話

それにしても、いい時代に育ったな。ジュリーとショーケン、昭和の最高イケメン二人の最盛期に日本にいれて、よかった。私が日本にいたのは32歳までだが、しみじみ60・70・80年代(87年3月まで)の昭和元禄期に居合わせたのは、幸せだったと思うばかりだ。輝いていた昭和時代は、インドに移住したことで、印画のようにくっきりと切り取られ、私の中に強烈な印象を残している。

あのときは、ほんとあらゆる意味で文化の黄金期、花開いたときで、歌謡界にしろ、俳優界にしろ、すごい芸人たちばかりで、それがゆえにジュリーやショーケンを傲慢に見流す不遜を犯してしまったが、今初老期になって海外で動画が見れるようになって、ジュリーの若いころのソロ動画や、ショーケンのテンプターズ時代や俳優時代の動画を改めてチェックできる至福にあずかって、あまりのすばらしさに意表をつかれ、若いころの私の目は節穴だったと思うばかりだ。

「前略おふくろ様」に見向きもしなかった21歳から23歳の私、まあ、恋愛を謳歌しててわが世の春だったこともあり、ちらっと見たショーケンが訥弁の三枚目役でとんまに見えることに、こんなショーケンきらいだと、外づらだけで判断してしまったわけだが、こんなにもすごいドラマを見逃していたとは、自分はアホだったと思うばかりだ。

とにかく、テレビドラマでここまで大きな感動を賜ったのは初めての経験で、というわけで、自分でもしつこいと思うが、このドラマに関しては口角泡飛ばして絶賛、何度でも強くお薦めする次第である。
前略おふくろ様 第01話

最終回で、三郎の胸中の独白で、かすみちゃん(故坂口良子)と結婚したとして、子供が三人ほどできて、みな大きくなって、親は年老いて、先に俺が死んで、かすみちゃん一人が残されて、独居になって、所帯を持った子供たちは、老母にも若いころ青春があった、悩み・苦しみ、そして、父親の俺と振袖姿で初めてキスをしたこと、そのような青春時代が親にもあったと想像するだろうか、そんなこと思ってもみないんだろうなと考えるシーンで、四十年たった今、坂口良子がもうこの世にいないんだなと思い起こし、妙な符号を覚え、ふとウイキで見た彼女の人生がよみがえった。
不動産会社の花形社員と結婚して女児を設けたまではよかったが、バブルで夫が破産、膨大な借金を肩代わりさせられ、返済するのにがむしゃらに仕事(女優業)に明け暮れた逸話を思い出し、なんとも感慨深い心地にならずにはおれなかったのだ。母坂口良子の病死後(2013年、横行結腸癌および肺炎のため死去)、娘(坂口杏里)はAV界に入ったようで、これまた草葉の陰で彼女が泣いているような気もして、娘は、母にも若いころ華やかな青春があったこと、考えてもみないのだろうなと思ったり。

親は決して、完全じゃない、未熟な人間なのだ。私はそのことを、亡父の伝記小説(車の荒木鬼)や母をモデルにした小説(ゆきのした秘恋)を書いて知った。彼らにも若いころ、青春があったことを。そして、悩み、苦しんだことを。

まあ、このドラマは本当にいろいろ考えさせられる。親子の関係、友人、仕事仲間、そう昭和という時代にはまだ篤い人情が流れていた。倉本聡の脚本はまことにすばらしく、そしてまた純朴な山形出身の板前を天才的に演じこなした名役者ショーケン、もうこのコンビは最高で、とにかくすごいの一言に尽きる(倉本はショーケンにどんな役を演じたいかと尋ね、ニヒルなアウトロー役が多かったので、伝統社会で生きる若者を演じてみたいとショーケンが答え、その希望にのっとって脚本を書いたとのこと、つまりショーケンのために書かれたホンなのだ。後年、倉本はショーケンの狂気に触発されたとかで、日本テレビと喧嘩して、北海道に移住する顛末になる)。
平成の若者にも、ぜひ見ていただきたい名ドラマである。こういうドラマはもう二度と作れないだろう。結局、文明がいくら発達しても変わらないものはあるわけで、親子の関係とか、友情とか、仕事仲間との人間関係、この名作には基本的に大事なことが描かれている。

人間関係が希薄な現代だからこそ、せりふの一つ一つが生き、胸底の奥深くに染み入り、じわーっと感動させられる。スローテンポだが、心地よいスピードで、ほろりとさせられたり、笑わされたり、母を想うせりふに感極まったり(ショーケン演ずる主人公の三郎のみならず、鳶の兄貴・半妻役の故室田日出男も母思いでせりふがぐっとくる)、とにかく、四十年後にインドで「前略おふくろ様」に出遭えた至福に感謝するばかりだ。
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