インドで作家業

ベンガル湾と犀川をこよなく愛するプリー⇔金沢往還作家、李耶シャンカール(モハンティ三智江)の公式ブログ

作家仲間からの「涅槃ホテル」の書評

2014-12-14 13:08:54 | 私の作品(短編・エッセイ)
社会評論書で人気を博している作家のY氏から、このたび贈呈申し上げた
「涅槃ホテル」(李耶シャンカール、ブイツーソリューション、1200円+税)
の書評が届いたので、ご紹介したい。


「ご著書を読了致しました。
小説には門外漢ですので総評は控えさせて頂きますが、文語密度また文章技術という点においてはやはり一級品なのだと思います。近年のベストセラー書も一通り目を通しておりますけども、それらと比べても全く遜色ありませんし、むしろより優れているのだと思います。閃光的な時代的感性で綴るものにも価値はありますが、蓄積や研鑽に裏打ちされたモハンティさんの作品のように、時間のヤスリに耐え、普遍性を留めることはできないでしょう。

私的解釈ですが今回の作品群に通底するテーマはリビドーではないでしょうか。人間を突き動かすエネルギーとは論理や理性でなく熱情であり(破滅させたりもするのですが)、かつて開高健が「文学の主題とは人間の生命力をどう表現するかである」と語ったとおり、その意味においてはまさに文芸の王道に邁進されているのだと思います。

なお、僕が「言葉」というものに執拗にこだわり評価軸とする事由とは、結局のところ語彙の獲得以外に意識を拡張する方法はないし、言語運用能力を高めること以外に物事を概念化することなどできないからです。その前提において情事小説も社会科学も思想的営為という同心円形式の物語であり、ともに人間精神の豊穣という一点に収斂すると思うのです。

国策化したモボクラシー(衆愚主義)によって民衆の語彙が漸減され、ヴォリュームゾーン(読者の中心層)がとてつもなく劣化した昨今であり、出版各社もそれに合わせ低劣なコンテンツを創らざる得ない状況で作家にとっては苦しい時代ですが、そのような風潮などものともせず今後も書き続けて頂きたいと存じます」


※書きものだけでなく、音楽や語学にも才能を持たれているY氏からは、息子のラップに関しても折々批評を戴くなど、日ごろ大変お世話になっている。小説には門外漢とあるが、開高健に心酔しておられることからも、目利きであることは間違いなく、上記のようなありがたい書評を賜り、幸甚だ。
ジャンル:
小説
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