インドで作家業

ベンガル湾と犀川をこよなく愛するプリー⇔金沢往還作家、李耶シャンカール(モハンティ三智江)の公式ブログ

撫子戦争・解説

2017-04-23 20:46:17 | E全集(受賞作ほかの全小説作品、2017~)
撫子戦争・解説

 四十代のころ書かれた作品で、移住物と自称する移住をテーマにした作品の一環である。在留邦人、それも企業に派遣された一時滞在者と違い、現地人と結婚し自らの意思で移住を決意した日本人妻という少数のグループ間の相克、友情も含め、対立、嫉妬や羨望の渦巻く複雑な人間関係を描写してみたかったのである。

 主人公のモデルになったのは、ベナレスの某有名日本人宿の女将、K子さんであるが、私個人彼女のことはほとんど知らず、旅行者間のうわさから漏れ聞く人物像に想像を加え、かついくらかは自身も投影して造型したものである。よって、インド人になりきっている貫禄ある世話好きの日本人女将の肖像はまったく自分ではない。私も初期八年間は日本人宿を経営したのだが、からきし貫禄がなくて旅行者に間違えられてばかりいた。こもって書いていることが性にあっている自分には、客商売における接待が苦手で、お愛想笑いができず、お客さんにも妙に愛想のない不思議な人だと言われたものである。

 過去(九十年代初期)、当オディッシャ州には当地プリーに四人(うち一人は日本人夫)、35キロ離れたコナラークに一人、62キロ離れた州都ブバネシュワールに一人と、計六人の日本人配偶者がいた(87年移住した私はそのうちの日本人妻第一号だった)。今は死去したり永久帰国したりで、当地に私一人とコナラークにもう一人残るのみだが、当地は割りと国際結婚者が多く、現地男性と結婚して日本で暮らしている邦人女性も何人かいる。また現地男性が欧米女性と結婚して、海外の当該地に出て行くケースもいくつかある。

 同作は自己体験がいくらか反映されているとはいえ、基本的にはフィクションなので、私小説ではなく、虚構としてお読みいただければと思う。
 日本人妻ものなど、移住をテーマにした習作にはほかにもいくつかあるのだが、「移住」を前面に出したものは、テーマが重いので、安易には取り掛かれない思いもあり、そのうち形になっているもう一作も紹介したい。
ジャンル:
小説
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 撫子戦争5(短編小説) | トップ | 昭和史に残る最高傑作ドラマ »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL