
昔、一人の王様がいました。王は大軍を所有していました。連隊と騎兵
に要する費用は十分に経済的なもので、そのため王自身誇りに思ってい
ました。ある日、王の胸におのれの軍力がたしかなものであるかどうか
との憂慮が兆し、調べることにしました。総長は町の外れの広大なフ
ィールドに全軍一括にとりまとめるため、行動命令を与えました。指定
された日数、王は国防省の方陣の間を見て周りました。各部署とも訪問
し、胸が誇らしさでいっぱいになりました。馬にまたがっての視察の
際、一匹の七つの足を持った動物が連隊に入り込み、動き回るのを目撃
しました。それを見た王さまの驚きはかぎりないものでした。彼はその
動物を殺すことに決めました。しかしながら、七足の動物は突然逃げ去
りました。王はあわてて馬にまたがり、できるだけすばやく疾駆させ、
後を追いました。二キロ走った後で、動物が止まり、一匹の巨大な怪物
に変身しました。王は驚き、立ち止まりました。怪物は王を殺して、食
べてしまいました。

大臣たちは八日間王を探し回りましたが、どんな痕跡も見つけることが
出来ませんでした。それで、王の息子を、代わりに王位に正式就任させ
ました。
何日かして、新王の胸に、父王の死に関する事柄を知りたいとの特別な
関心が生まれました。真実を知りたいあまり、思案深げになりました。
大臣たちに、知っていることはなんであろうと教えるよう頼みました。
大臣たちがすべての事柄を告げた後、新王が言いました。
「もしそれが真実なら、私の心境は穏やかでない。怪物を殺さないこと
には、安堵の息をつくことはできない」
とこのようにのたまい、七足の怪物を探し求め、馬にまたがりました。
しばらく行った途上で、前と同じ七足の動物に行き当たりました。それ
は外観を変えて一匹の巨大な怪物に変身すると、王に向かって膨れ上が
りました。王は命乞いのどんな手段も見いだせず、神様に守護を求めま
した。神は祈りを聞き届けて、怪物に立ち向かう戦略を教えるために、
天使を送りました。
天使は王に言いました。
「やつはものすごく強豪の怪物です。もし体から一滴でも血が絞り出さ
れ地に落ちたなら、もう一匹の怪物がそこから突然生じ、あなたを殺し
てしまうでしょう。でも、恐れることはありません」
と、王に二個の矢じりを与えながら付け加えました。
「この矢で怪物の両目を突けば、地に落ち死に果てるでしょう」
とこのように申して、消えました。

天使から勇気をもらった王は、怪物求めて進みました。熱戦が始まりま
した。何時間か戦い続けた後、王は矢を放ち怪物の両眼を突きました。
怪物は倒れ、死にいたりました。怪物が死んだのを見て、王の喜びは尽
きることを知りませんでした。彼は自分のつるぎの助力を借りて、首を
切断、矢の尖った先端に吊るして宮殿に持ち帰りました。王の宮殿はそ
れはそれは巨大なものでした。なんと12000室もの部屋がありました。
王はそのうちのひとつの空き部屋に首を置いて、錠をかけました。鍵を
母妃に渡し、言いました。
「いつなんどき、だれであろうと、部屋の戸を開けてはなりません」
あの部屋に何を隠したのか、そのことについては母に一切申しませんで
した。息子の値打ち物の富が隠されているのを見たくて、母の胸はじり
じりしました。それで、ある朝、何が入っているか見たさのあまり、つ
いにドアを開けてしまいました。しかし、何も見つけることは出来ませ
んでした。なぜって、息子は首を部屋の奥の隅の方に投げ隠しておいた
ためです。ドアを開け放しておいた後、誰のものとも知れぬ笑いが突然
湧き上がりました。次に、
「母妃よ、あなたの息子に気をつけなさい」
との声が聞こえました。さらに続けて言うことには、
「なぜなら、彼は怪物だからです。やつは私とあなたの夫を殺したのと
同様に、あなたをも殺すでしょう。もし、命が惜しかったら、宮殿から
遠ざけなさい」
王妃はその言葉を聞いて尋ねました。
「おまえはだれ。どうして、そんなことを言うの」
首は答えました。
「あなたは大変健康を害しているようですね、雌虎のミルクを飲めば病
気はよくなるでしょう。が、ミルクは息子が持ってこなければなりませ
ん」

数日後、息子の王は朝、思案げな顔でジャングルにふらつき向かってい
ました。そのジャングルには、どうもうな虎の夫婦が棲んでいました。
突然、王はジャングルで一匹の雌虎が、二匹の子とともに、日差しの下
で飛び跳ねているのを目撃しました。王はあわてて木の上に登り、雌虎
の乳のおでき目指して矢を放ちました。雌虎の乳に出来たおできは、何
日も大変な痛みを与えてきたのです。矢が当たって、おできが吹き飛ん
だので、雌虎は痛みから解放されほっとしました。彼女は木の上から見
下ろしている情け深い王が地に下りたのを見て、言いました。
「こんなにお情けをかけてもらったお礼に、何かお望みの助けが必要で
したら、なんなりとお申し付けください」
王は言いました。
「なあに、たいしたことではない。体を壊している母の健康を回復する
ために、少しだけおまえのミルクをくれないか」
雌虎はすぐに与え、王はなべ一杯に満たされたミルクのほか、純体毛も
与えられました。虎は言いました。
「もし、いつなんどき災難が降りかかっても、この毛を日差しの下にさ
らせば、恩恵がもたらされるでしょう」

王は宮殿に戻りました。虎のミルクを目にした母は、おのれの息子が間
違いなく怪物であると確信しました。王の不在時、母は首のある部屋に
行ってすべてを話しました。首は、
「もし王が怪物でなかったら、どうしてどうもうな虎に近づいてミルク
を持ってこれようか。だから、今すぐ殺す必要がある」
とのたまって、母妃を納得させました。
母妃はどうすべきかわからなかったので、首が策略を与えました。
「後刻、王がご機嫌伺いにやってきたら、体調がいかにも悪いふりをし
て倒れこみなさい。雌虎のミルクは何の効用もなかったと告げて、遠く
離れた一番高い丘に一人の王女が住んでおり、もし彼女が来て私にふれ
てくれれば、完全に健康を回復するでしょうと、言いなさい。その丘は
大変に危険に満ちた場所で、王がそこに行けば、間違いなく死に直面す
るでしょう」
夜、王は母妃のそばに来て、
「体調はいかがですか」と尋ねました。
母妃は首が指示した言葉どおり、王女について伝えました。王は同情心
に駆られ、
「王女は必ずおそばにお連れします。州外に出てでも見つけます」
と誓約しました。

翌日の朝、王は丘のとりでの視察に出かけました。いっしょに、雌虎の
例の毛も沢山持って行きました。太陽が出ているとき、王は日差しの下
に置き、まもなく、雌虎とその子二匹が駆け現れました。雌虎は尋ねま
した。
「なんのお役に立てましょうか」
王はすべてを話しました。遠く離れた高地のとりでから王女を連れてく
る必要があることを伝えました。雌虎は答えました。
「そこは大変危険に満ちた場所です。大勢の人がトライしましたが、誰
一人として到着できませんでした」
王は答えました。
「母は死にかけているのだ、そこに行かねばなるまい」
と申して進みました。雌虎は王の悲しみに耐えることが出来ず、そばに
行って告げました。
「私の背にまたがってください、そこにお連れしましょう」
いざ出発と相成り、とりでのそばにたどり着きました。

雌虎が言いました。
「とりでに着くと、三つの巨大なドアを通過します。最後に、王女のそ
ばまでたどり着いたものは誰であろうと、連れ帰ることにいたしましょ
う。一番目のドアは大きな鉄の戸です。おので打ち壊してください、ド
アは開きます。三番目のドアには、偽牛がいます。牛の周りを怪物が動
き回っています。偽牛のそばに虎の乳毛を落としてください、そうしな
ければ、怪物があなたを殺してしまいます。三番目のドアのうちには、
まさにその王女がいます。もし最初にあなたを目にすれば、彼女は喜ぶ
でしょう。で、接見後、お連れ帰りてください、怪物を殺す機会はまた
別にもうけましょう」
王はこれらすべてを聞いて、大変怖くなり、雌虎に助力を請いました。
虎は、快く受け入れました。王は虎の奇跡のパワーによって、鉄のドア
の中に入れました。王はおので打ち破り、損傷を食らったドアは真っ二
つに割れ、ドア番は、王が開けたと思って入室を許可しました。虎の子
の二匹のうちの一匹が言いました。
「二番目のドアには偽牛がいるので、乳毛の助けを借りれば、怪物は邪
魔できないでしょう。事態を注意してよく見てください。そして、二番
目のドアを通過し、進んでください」
もうひとりの子虎が言いました。
「虎の奇跡のパワーによって、王女の目には、王が非常に美しい太陽と
映ることでしょう。三番目のドアは、入室のため放たれるはずです」
みなが各自の仕事に打ち込んでいました。王は王女の美しさの虜とな
り、おのれの妻にしたいと願いました。
万事首尾よく運び、雌虎と二匹の子は森に帰りました。

数日後、王は王女を宮殿に連れ帰りました。王は母にすべての顛末を語
りました。あの丘には大変な危険に満ちています。もし雌虎と二匹の子
の助けがなかったら、どうしてそこにたどり着くことが出来たでしょ
う。最初に怪物の首を切断したこと、神の使いのエンジェルが助けてく
れたこと、でなかったら、彼もまた父王のような最後を遂げていたこと
でしょう。
すべての事柄について語り尽くしました。母妃は一部始終を耳にして驚
きました。ついドアを開けてしまった際、首が語ったことについても、
告げました。首の指示どおりにして、息子をどんな危険に立ち向かわせ
たか、今となってはとくと悟りました。
神さまと、雌虎と二匹の子に篤い御礼を申した後、母は息子を抱擁し、
号泣しました。まもなく、王と王女は結婚し、末永く幸福に暮らしたと
のことです。

※出典/カシュミーロ・ロコター
(カシミール地方の民話<オリヤ語>)
著者/フルロラー・ナーヨコ
に要する費用は十分に経済的なもので、そのため王自身誇りに思ってい
ました。ある日、王の胸におのれの軍力がたしかなものであるかどうか
との憂慮が兆し、調べることにしました。総長は町の外れの広大なフ
ィールドに全軍一括にとりまとめるため、行動命令を与えました。指定
された日数、王は国防省の方陣の間を見て周りました。各部署とも訪問
し、胸が誇らしさでいっぱいになりました。馬にまたがっての視察の
際、一匹の七つの足を持った動物が連隊に入り込み、動き回るのを目撃
しました。それを見た王さまの驚きはかぎりないものでした。彼はその
動物を殺すことに決めました。しかしながら、七足の動物は突然逃げ去
りました。王はあわてて馬にまたがり、できるだけすばやく疾駆させ、
後を追いました。二キロ走った後で、動物が止まり、一匹の巨大な怪物
に変身しました。王は驚き、立ち止まりました。怪物は王を殺して、食
べてしまいました。

大臣たちは八日間王を探し回りましたが、どんな痕跡も見つけることが
出来ませんでした。それで、王の息子を、代わりに王位に正式就任させ
ました。
何日かして、新王の胸に、父王の死に関する事柄を知りたいとの特別な
関心が生まれました。真実を知りたいあまり、思案深げになりました。
大臣たちに、知っていることはなんであろうと教えるよう頼みました。
大臣たちがすべての事柄を告げた後、新王が言いました。
「もしそれが真実なら、私の心境は穏やかでない。怪物を殺さないこと
には、安堵の息をつくことはできない」
とこのようにのたまい、七足の怪物を探し求め、馬にまたがりました。
しばらく行った途上で、前と同じ七足の動物に行き当たりました。それ
は外観を変えて一匹の巨大な怪物に変身すると、王に向かって膨れ上が
りました。王は命乞いのどんな手段も見いだせず、神様に守護を求めま
した。神は祈りを聞き届けて、怪物に立ち向かう戦略を教えるために、
天使を送りました。
天使は王に言いました。
「やつはものすごく強豪の怪物です。もし体から一滴でも血が絞り出さ
れ地に落ちたなら、もう一匹の怪物がそこから突然生じ、あなたを殺し
てしまうでしょう。でも、恐れることはありません」
と、王に二個の矢じりを与えながら付け加えました。
「この矢で怪物の両目を突けば、地に落ち死に果てるでしょう」
とこのように申して、消えました。

天使から勇気をもらった王は、怪物求めて進みました。熱戦が始まりま
した。何時間か戦い続けた後、王は矢を放ち怪物の両眼を突きました。
怪物は倒れ、死にいたりました。怪物が死んだのを見て、王の喜びは尽
きることを知りませんでした。彼は自分のつるぎの助力を借りて、首を
切断、矢の尖った先端に吊るして宮殿に持ち帰りました。王の宮殿はそ
れはそれは巨大なものでした。なんと12000室もの部屋がありました。
王はそのうちのひとつの空き部屋に首を置いて、錠をかけました。鍵を
母妃に渡し、言いました。
「いつなんどき、だれであろうと、部屋の戸を開けてはなりません」
あの部屋に何を隠したのか、そのことについては母に一切申しませんで
した。息子の値打ち物の富が隠されているのを見たくて、母の胸はじり
じりしました。それで、ある朝、何が入っているか見たさのあまり、つ
いにドアを開けてしまいました。しかし、何も見つけることは出来ませ
んでした。なぜって、息子は首を部屋の奥の隅の方に投げ隠しておいた
ためです。ドアを開け放しておいた後、誰のものとも知れぬ笑いが突然
湧き上がりました。次に、
「母妃よ、あなたの息子に気をつけなさい」
との声が聞こえました。さらに続けて言うことには、
「なぜなら、彼は怪物だからです。やつは私とあなたの夫を殺したのと
同様に、あなたをも殺すでしょう。もし、命が惜しかったら、宮殿から
遠ざけなさい」
王妃はその言葉を聞いて尋ねました。
「おまえはだれ。どうして、そんなことを言うの」
首は答えました。
「あなたは大変健康を害しているようですね、雌虎のミルクを飲めば病
気はよくなるでしょう。が、ミルクは息子が持ってこなければなりませ
ん」

数日後、息子の王は朝、思案げな顔でジャングルにふらつき向かってい
ました。そのジャングルには、どうもうな虎の夫婦が棲んでいました。
突然、王はジャングルで一匹の雌虎が、二匹の子とともに、日差しの下
で飛び跳ねているのを目撃しました。王はあわてて木の上に登り、雌虎
の乳のおでき目指して矢を放ちました。雌虎の乳に出来たおできは、何
日も大変な痛みを与えてきたのです。矢が当たって、おできが吹き飛ん
だので、雌虎は痛みから解放されほっとしました。彼女は木の上から見
下ろしている情け深い王が地に下りたのを見て、言いました。
「こんなにお情けをかけてもらったお礼に、何かお望みの助けが必要で
したら、なんなりとお申し付けください」
王は言いました。
「なあに、たいしたことではない。体を壊している母の健康を回復する
ために、少しだけおまえのミルクをくれないか」
雌虎はすぐに与え、王はなべ一杯に満たされたミルクのほか、純体毛も
与えられました。虎は言いました。
「もし、いつなんどき災難が降りかかっても、この毛を日差しの下にさ
らせば、恩恵がもたらされるでしょう」

王は宮殿に戻りました。虎のミルクを目にした母は、おのれの息子が間
違いなく怪物であると確信しました。王の不在時、母は首のある部屋に
行ってすべてを話しました。首は、
「もし王が怪物でなかったら、どうしてどうもうな虎に近づいてミルク
を持ってこれようか。だから、今すぐ殺す必要がある」
とのたまって、母妃を納得させました。
母妃はどうすべきかわからなかったので、首が策略を与えました。
「後刻、王がご機嫌伺いにやってきたら、体調がいかにも悪いふりをし
て倒れこみなさい。雌虎のミルクは何の効用もなかったと告げて、遠く
離れた一番高い丘に一人の王女が住んでおり、もし彼女が来て私にふれ
てくれれば、完全に健康を回復するでしょうと、言いなさい。その丘は
大変に危険に満ちた場所で、王がそこに行けば、間違いなく死に直面す
るでしょう」
夜、王は母妃のそばに来て、
「体調はいかがですか」と尋ねました。
母妃は首が指示した言葉どおり、王女について伝えました。王は同情心
に駆られ、
「王女は必ずおそばにお連れします。州外に出てでも見つけます」
と誓約しました。

翌日の朝、王は丘のとりでの視察に出かけました。いっしょに、雌虎の
例の毛も沢山持って行きました。太陽が出ているとき、王は日差しの下
に置き、まもなく、雌虎とその子二匹が駆け現れました。雌虎は尋ねま
した。
「なんのお役に立てましょうか」
王はすべてを話しました。遠く離れた高地のとりでから王女を連れてく
る必要があることを伝えました。雌虎は答えました。
「そこは大変危険に満ちた場所です。大勢の人がトライしましたが、誰
一人として到着できませんでした」
王は答えました。
「母は死にかけているのだ、そこに行かねばなるまい」
と申して進みました。雌虎は王の悲しみに耐えることが出来ず、そばに
行って告げました。
「私の背にまたがってください、そこにお連れしましょう」
いざ出発と相成り、とりでのそばにたどり着きました。

雌虎が言いました。
「とりでに着くと、三つの巨大なドアを通過します。最後に、王女のそ
ばまでたどり着いたものは誰であろうと、連れ帰ることにいたしましょ
う。一番目のドアは大きな鉄の戸です。おので打ち壊してください、ド
アは開きます。三番目のドアには、偽牛がいます。牛の周りを怪物が動
き回っています。偽牛のそばに虎の乳毛を落としてください、そうしな
ければ、怪物があなたを殺してしまいます。三番目のドアのうちには、
まさにその王女がいます。もし最初にあなたを目にすれば、彼女は喜ぶ
でしょう。で、接見後、お連れ帰りてください、怪物を殺す機会はまた
別にもうけましょう」
王はこれらすべてを聞いて、大変怖くなり、雌虎に助力を請いました。
虎は、快く受け入れました。王は虎の奇跡のパワーによって、鉄のドア
の中に入れました。王はおので打ち破り、損傷を食らったドアは真っ二
つに割れ、ドア番は、王が開けたと思って入室を許可しました。虎の子
の二匹のうちの一匹が言いました。
「二番目のドアには偽牛がいるので、乳毛の助けを借りれば、怪物は邪
魔できないでしょう。事態を注意してよく見てください。そして、二番
目のドアを通過し、進んでください」
もうひとりの子虎が言いました。
「虎の奇跡のパワーによって、王女の目には、王が非常に美しい太陽と
映ることでしょう。三番目のドアは、入室のため放たれるはずです」
みなが各自の仕事に打ち込んでいました。王は王女の美しさの虜とな
り、おのれの妻にしたいと願いました。
万事首尾よく運び、雌虎と二匹の子は森に帰りました。

数日後、王は王女を宮殿に連れ帰りました。王は母にすべての顛末を語
りました。あの丘には大変な危険に満ちています。もし雌虎と二匹の子
の助けがなかったら、どうしてそこにたどり着くことが出来たでしょ
う。最初に怪物の首を切断したこと、神の使いのエンジェルが助けてく
れたこと、でなかったら、彼もまた父王のような最後を遂げていたこと
でしょう。
すべての事柄について語り尽くしました。母妃は一部始終を耳にして驚
きました。ついドアを開けてしまった際、首が語ったことについても、
告げました。首の指示どおりにして、息子をどんな危険に立ち向かわせ
たか、今となってはとくと悟りました。
神さまと、雌虎と二匹の子に篤い御礼を申した後、母は息子を抱擁し、
号泣しました。まもなく、王と王女は結婚し、末永く幸福に暮らしたと
のことです。

※出典/カシュミーロ・ロコター
(カシミール地方の民話<オリヤ語>)
著者/フルロラー・ナーヨコ











