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ドラッグ天国殺人事件・解説(あとがきに代えて)

2017-05-23 19:54:05 | E全集(受賞作ほかの全小説作品、2017~)

ドラッグ天国殺人事件・解説

 ネット紙・銀座新聞ニュースに2009年11月より連載された娯楽小説で、好評を博したものである。著者にとっては希少なミステリー作品でもあり、十枚前後という短めの章ごとに主格が変わる趣向もなかなか面白く、楽しめるのではないかと思う。
 しかし、一見殺人ミステリーの装いをとっているが、実は裏のテーマは、欧米人女性ツーリストに体を売っているビーチボーイのことを書きたかったのであり(貧困家庭で育った美少年たちの搾取の実態)、そういう意味では人間(かつ社会)ドラマのつもりでいた。
 なお、タイトルの「ドラッグ天国殺人事件」についても、一言付記しておきたい。
 ドラッグへヴンとは日本でよくドラッグ天国と訳されるが、実際のヘヴンの意味は天国でなく、ヘイヴン(Haven)、隠れ処(避難所)という意味で、オリジナルの題は「ドラッグヘイヴンの迷宮」だったのだが、それだと、いまいちキャッチ力が弱いため、同紙主幹の意向もあって、日本人にとってはわかりやすい、現在のタイトルに変えられたものである。
 また、ネット紙では、6章と9章はカットされていたのだが、拙ブログに再掲載するにあたって、オリジナルをそのまま活かす形式にさせてもらった。
 6を挿入すると、中盤で犯人の名がほのめかされてしまい、ネタバレの危惧もあったのだが、フランスが舞台の被害者の母親が主格の章はどうしても挿入したく、復活させたわけである。また、最後の被害者の日記の章だが、銀座新聞ニュース主幹には、8で終えたほうが全編引き締まってよいと諭され、ジョーンの独白で連載終了したのだが、蛇足とわかっても作中登場する被害者の日記(二刑事マックの推理)をラストにどうしても入れたく、こちらも復活させた次第である。
 以下、銀座新聞ニュース紙連載終了にあたっての「あとがき」もそのまま掲げておく。

著者からのあとがき(銀座新聞ニュース載)
 「ドラッグ天国殺人事件」完結にあたって、ひとつ付け加えさせていただきたいことがある。筆者が日本に帰国中の2009年12月2日、拙作の舞台ともなった西インドの有名リゾート地ゴア、南のコルバビーチで、ロシア人女性強姦事件が発生した。
 なんと、容疑者の名前はジョーン・フェルナンデス(35歳)。作中の犯人と同姓同名で、偶然の一致にはさすがに唖然とさせられた。実際の事件のジョーンは州議選に敗北したものの、地元ではわりと名の知れた政治家だったらしい。
 被害者のロシア女性(25歳)は、5つ星ホテルに勤務していたとかで、深夜ジョーンに食事に誘われたとき飲み物に刺激物を混ぜられ、帰途の車中で暴行されたようだ。被害者には13カ所もの傷があったとされるが、ジョーンは合意の上だったことを主張、仮釈放を勝ち取った。
 近年、ゴアではレイプ事件が頻発しており、先般1月26日も9歳のロシア人少女強姦事件が北のアランボールビーチで発生した。ドラッグ犯罪都市として悪名高いゴア、レイプリゾートの汚名を着せられないか危ぶまれており、観光上大打撃であることはいうまでもない。
 ちなみに、拙作も、実際の事件(2008年2月発生した15歳のイギリス少女、スカーレット・キリングの強姦殺人事件)をヒントに、創作したものである。


↑当時(2010年1月)のあとがきにあるように、同作は2008年2月18日実際にゴアで発生した15歳の英国人少女強姦殺人事件が基になっている。なお、この事件の詳細については、拙ブログに過去掲載した記事(ゴアのレイプ殺人事件、2008年3月19日・記の、ベスト10にしばしばランクインされる人気記事)をご一読いただきたい。現実の事件とフィクションの違いがわかって、興味深いはずだ。
ジャンル:
小説
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