インドで作家業

ベンガル湾と犀川をこよなく愛するプリー⇔金沢往還作家、李耶シャンカール(モハンティ三智江)の公式ブログ

ヘルシー無卵ココナッツクッキー

2011-11-24 21:20:58 | 食・健康
インドは椰子の楽園だ。そのせいで、ココナッツはフル利用される。夏になれば椰子水は愛飲され、椰子の実は料理や菓子に用いられ、花からはトディといわれる蒸留酒もとれ、それら食用のみならず、整髪油、体に塗る油ほか、椰子の葉は家を葺くのにも用いられる。

わが安宿ラブ&ライフにも、椰子の木がたくさん植わっている。
天然の獲れたてのココナッツウオーターはほんのり甘みがあっておいしいし、脱水症状や胃炎にもきく。夏になると、青い実をなたでぱかりと割って、毎朝堪能している私だ。成熟して固い茶色の実になると、カレーや菓子などの食用に用いられる。
オリッサ州にはピティといわれるローカルケーキがあるが、油で揚げた小麦粉の生地の中身に、椰子蜜グドで絡めたココナッツジャムが入っており、美味だ。

ココナッツ風味はインドならではの味覚なのだ。
カレーがぷうんと香ばしいココナッツ風味でポピュラーなのは、椰子のパラダイス、南のケララ州。しかし、北の人たちは、髪油を料理に使って臭いと、敬遠する。

ココナッツの香りと風味が大好きな私、最近、市販のココナッツクッキーで美味な製品を見つけてほくほく。
菜食主義者の多いインドではエッグレス(無卵)製品も多いが、このビスコット・イタリア、インターナショナル・テイストとパッケージにキャッチの入ったDIVSSクッキーも、エッグレス。
ケーキもエッグレスがあるが、ヴェジタリアンのほうがおいしいこともあるのだ。
とくにパウンドケーキはエッグレスのほうがおいしい。
卵を使えない分、ドライフルーツやナッツをたっぷり使って、趣向を凝らすせいだ。

というわけで、ハリドワール、北インドの聖地産のこのエッグレス・ココナッツクッキーは、市販とも思えぬおいしさで、私をとりこにしてしまった。
300グラムでボリュームたっぷり、プラスチックケース入りでしけないように配慮が凝らされて、お得な55ルピー(約90円)だ(インドの物価は日本の7-8分の1だが、酒類や衣服、家電は高め、インフレ率二桁近いので、デフレの日本のほうが安い製品もある)。
Shakti Bhog Ltd(宇宙のエネルギー食会社)という社名どおり、超おいしくて力のつくクッキー、日本にクッキーは数あれど、ココナッツ風味においてはインドにかなわないかもしれない。

今もかじりながら、これを書いてる私、読者の方々におすそ分けできないのが、残念だ。

インドにお住まいの方は、ぜひお試しあれ!

*追記/西の浜のしゃれたケーキ屋さん・モンギニスの、特製手製チョコクッキーも、甲乙つけがたいおいしさ。カカオやナッツがちりばめられたこってりチョコクッキーは、ココナッツクッキーの量は半分だが、40ルピーと高め。モンギニスのウオルナッツパウンドケーキも優れもの。胡桃やレーズンの入った、椰子蜜ブラウンシュガー味の芳しいケーキで、チョコクッキーと併せて食べると、一段とおいしい。来月はクリスマスシーズン、今年はなんのケーキにしようかな。わが子息は、クリームケーキよりパウンドケーキがお気に入りだが、一切れ20ルピーもするピュアチョコクリームケーキはさすがに美味だ。
一足早いケーキの話でした。






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ベンガル湾季節便り/宵の明星対木星

2011-11-24 21:17:31 | 季節・自然
西のビーチ祭りのおこぼれ、東のリゾートホテル主催のささやかな舞踏ステージを堪能した後、波打ち際まで出た。
すでに夜の緒に入った渚は、海風がやや肌寒く感ぜられ、冷たいうしおに足を浸すことがためらわれた。そのまま手前で立ち尽くし、つと空を仰ぐと、西寄りの低空に星が一粒、瞬いていた。長いこと、木星と金星を取り違えていたが、今度は間違いなく宵の明星だと思った。
かなり離れた東寄りの高いところに、ひときわ明るくきらめいているのが、木星だ。二つの星を目撃、確認できた幸運に感激。

東側にいるせいか、金星より木星のほうがやや明るく見える。金星はその名のとおりこんじきに輝いているが、木星は白光だ。なにはともあれ、郷里の友人の教示で、やっと二つの星の違いを確認でき、うれしかった。
何度も二星を見比べながら、浜をゆっくり後にした。

ビーチ祭りの立て看板が、道のそこかしこに立っていた。
仕事が一段落したら、西の浜に遠出、鑑賞するつもりだ。
少年の踊り子が展開する曲芸舞踏ともいうべき、ゴッティエ・プオ(一人の息子)を、ついさっき東側でも鑑賞して、一足先に祭りの緒をかじった気になった今日の散歩は有意義だった。

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ベンガル湾季節便り/落日に映える舞踏

2011-11-24 20:45:59 | 季節・自然
冬季で夕日が壮麗なので、今月から極力日没前に家を出るようにしているが、今日もちょうど切れのいいところで仕事が終わったため、五時前にいそいそ向かった。
ベランダから見上げたとき、入日は雲に隠れていたが、海に近づくころには、顔を出して、臙脂の大円の頭に雲がふた筋かかって、風趣ある趣になっていた。すぐ真上の空には色づいた筋雲が棚引いている。

浜の中ほどに小さなステージが設けられ、人が群がっているのを目撃した私は、波打ち際には降りずに、そちらのほうに向かった。
緋毛氈の敷かれた砂上の仮ステージでは、舞踏が披露されていた。
外人ということで、関係者に最前列の席に招かれた。
プラスチックチェアに腰を下ろして、鑑賞。
出し物は、「ゴッティエ・プオ」(一人の息子)だと気づく。

背後の五つ星ホテル、ホリデーリゾート主宰らしく、ホテル名を入れた赤青緑黄の三角旗がステージの四つ角に立っていた。
舞い手は7-12歳ころの女装した少年六名である。
衣装は当地の古典舞踏オディッシーと変わらず、ステップも同じだが、踊りの技能よりも、曲芸に重きを置く舞踏で、ヨガの難ポーズや、スクラムを組んで難しい型を作ることから、しなやかで強靭な少年が舞い手なのである。

古典舞踏だと、退屈に思う向きもあるので、そういう意味でも、ゴッティエ・プオは人気。
朱とピンクと黄金(こがね)の色鮮やかな舞い衣装で着飾った、眉の太い浅黒い踊り子たちは、軽快にステップを踏んで、大車輪や180度開脚などのさまざまなポーズを、リズミカルな歌に合わせて披露する。
脇に三人の伴奏隊が控え、ボーカルが太鼓とアコーディオンに合わせて「タタタタ、アタタ」と合いの手が入った軽快な歌声を響かせる中、踊り子たちは次々に曲芸を披露していった。小柄な一番年下の少年がポーズを決められずに途中でやめてしまった失態が二度ほどあったのも、微笑ましかった。踊りの技巧はみなつたないが、メインは曲芸なので、誰も気にしない。

「タタタ」の合いの手が差し迫って大きくなると、いよいよ難しい型に入ることがわかる。チャクラアサナといわれるブリッジポーズをとる二人の腹の上に乗っかる一番幼い6、7歳の少年、危なっかしげな足元ながらどうにか立って、クリシュナ神が笛を吹くポーズをとった。両脇に寝転がった二人が足を屈曲回転、両足を中央の二人の腹につけ、ばっちり決まった。拍手大喝采。

見事な型を作る少年舞踏家の肩越しに、朱鷺色の夕日が覗く。
ムード満点だ。
さすがに小学生の子供だけにエネルギーにあふれており、かれこれ一時間近く芸を披露しているにもかかわらず、疲れ知らずだ。人間ブリッジの合間に、「ムー・オディア」(私はオリッサ人)という演目も披露したが、胸に手をやって大またで回転歩きする、誇らしげな振りつけが愛らしかった。オリッサ民であることにプライドをもった意味合いの楽しい歌なのだ。

日が落ちて、背景は薄藍から藤色、紫とグラーデション模様の空あいになる。
淡い紫紺の宵に、踊り子たちの色鮮やかな衣装がシルエットを帯びて、くっきり浮かび上がる。

ちょうど西の浜ではビーチ祭りが開催中で、浜が途切れる端をきらびやかに彩っていた。
徐々に夜は降りて、深い紫のバックグラウンドに美しい型を組む少年踊り子たち、見事な芸に拍手が鳴り止まなかった。

それにしても、東の浜でのこうした催しは初めてだ。
ビーチ祭りというと、西のホテル街のお祭りと相場が決まっていて、東のホテル街はいつもほされているだけに、今後東のほうでも、このような催しが広がることを期待したい。ホリデーリゾートのせめてものささやかな抵抗だったのかもしれない。
メインのホテル街は向こうで、こちとらは、昔は外人旅行者向けの静かな浜だったのだ。しかし、近年はローカル旅行者が東にも入り込んで、隆盛を誇っている。
とはいえ、西はホテル街の目の前に、海岸が開けるので、インド人旅行者のお気に入りだ。レストランや土産物屋も列を成しており、インフラが整っているのだ。

渚の遊歩ついでに、踊りを堪能できた私は、得した気分で、浜を後にした。
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