misty green and blue

Life is like an onion...

PARIS HAUTE COUTURE

2016-05-05 | fashion


19世紀後半、パリ・クチュール組合(La Chambre Syndicale de la Couture Parisienne)の承認する数少ないブランドのみが顧客の注文によりデザイナー主導で縫製される一点物の高級仕立服―オートクチュールが誕生した
単なるオーダーメイドとは異なり、デザイナーがデザインしたものを顧客の体に合わせて仕立る“デザイナー主導”型の服作りは、顧客にとって“デザインを買う”こと即ち“芸術作品を買う”ことを意味し、デザイナーの社会的地位の向上に大きく貢献した

組合の様々な規定―例えば、1年に2度のコレクションの開催、コレクションの数、アトリエの常駐スタッフの数、専属マネキンの数などをクリアした加盟店はメゾン(maison)と呼ばれ、生地の選定から縫製まで一貫して行なうアトリエを持つ
オートクチュールは、最高の服飾素材を用いた熟練した職人の手仕事による高級仕立服であるため非常に高価であり、シンプルなスーツ1着でさえ300万円を下らないのが相場、そのため顧客は世界中で500人くらいと言われている、王侯貴族や有名女優、世界各国のファーストレディ達である 
VALENTINOはJacqueline Lee Bouvier Kennedy Onassis、GIVENCHYはAudrey Hepburn、Yves Saint LaurentはCatherine Deneuve、Emanuel UngaroはAnouk Aiméeなどが名を連ねている


ファッションに関心のある人ならば、オートクチュールやプレタポルテ(高級既製服)という言葉を少なからず耳にしたことがあるだろう
私もそのうちのひとりである
昨日、夢のまた夢であるオートクチュール―世界に一つしかない芸術作品をひと目拝もうと『PARIS オートクチュール ~世界に一つだけの服~』展を開催中の三菱一号館美術館に足を運んだ

8つの章で構成されたこの展覧会は、パリで人気を博したファッション展(2013)の再構成であり、19世紀後半~現代までのオートクチュールの歴史を網羅した一大ファッション史であり、パリ・モードの殿堂 ガリエラ宮パリ市立モード美術館所蔵の選りすぐりの作品であることが、最大の見どころである

世界最高峰の職人技による刺繍、羽根細工、コサージュなどが施されたドレスや小物、デザイン画や写真など約130点が一堂に会するさまは、圧巻だった
まさしく芸術作品と呼ぶに相応しい、その見事な出来栄えにただただ嘆息するより他なかった

何よりも私を感動させたのは―思わず2度見、2度見してしまったのは、モードの中心が徐々にプレタポルテに移行する「第5章:技巧を凝らすテーラリングと50年代のファッション写真 1950」の章で展示されていたAlexander McQueenによるGIVENCHYのパンツ(パンタロン)スーツ(1999秋冬コレクション)だった
金属と螺鈿のボタンを用い、後身頃の長い裾にリボンの縁取り及び前身頃の裾に絹の機械刺繍が施されたアシンメトリー系グレンチェックのジャケットの、その絶妙な美しさに思わず目を奪われ、しばし立ち尽くしてしまう自分がいた.....

そのテーラリングの美しさ、芸術的な職人技はやはり群を抜く
エレガントの中に潜むジェンダーレスかつスタイリッシュな美は成程、GIVENCHYの期待に応えるものだった
共に陳列されていたBALENCIAGA、Pierre Cardin、Christian Diorのテーラードスーツやアンサンブルが霞んでしまう程、その存在感は大きかった

生前の彼の作品を拝めることは不可能なことと諦めていただけに、感慨もひとしおだった
この思いがけない“出会い”に半ば興奮、涙が出そうになるのを必死で堪えた.....



出口にほど近い一角にPCを使って投票できる人気投票アンケートが設けられていた

彼の作品はなかった
限られた作品の中での投票にやや躊躇はしたが、記念にするべく?参加することにした

私が投票したのは「第7章:オートクチュールと60年代の再生 1960」の章に展示されていたRaf SimonsによるChristian Diorの花形を散りばめた絹とナイロン製のテールカット系黒のイヴニングドレス(2014春夏コレクション)だった

テーラリングが美しいこのドレス、彼もまたテーラードのスタイルが得意と知り、なんとなく嬉しかった


最新の画像もっと見る

コメントを投稿