キッチン・トランスレーターつれづれ日記

つれづれなるままに日々のよしなしごとを綴ります。本、風景や花や料理、愛犬の写真などをご紹介。

コージー・ミステリーはいかが?

2015-08-29 10:24:42 | 
アガサ・レーズンの困った料理―英国ちいさな村の謎〈1〉 (コージーブックス)
M.C. Beaton,羽田 詩津子
原書房

           世の中には無数の本があります。和洋の古典、哲学書、ドキュメンタリー、

           実用書、辞書類、そして小説。その小説だって、大衆文学と純文学とか、

           いろんなふうにジャンル分けされますが、そのうちの1つに推理小説とい

           うのがあります。そしてそれも、本格物とかハードボイルドとかサスペン

           とかいろいろに分けられ、その端っこにコージー・ミステリーなんていう

           のがあります。「お気楽ミステリー」とも言えるでしょうか。主人公はたい

           ていすてきな女性で、男に苦労しながらも、カフェかレストランを経営し

           て、元気に生きている。結末はハッピーエンドと決まっているので、深遠

           な思想も人生について考えさせられるような深さも一切なし。途中に出

           てくる美味しそうな食べ物やお菓子を想像しながら、お気楽に暇つぶし

           ができます。レシピ付きというのも結構あります。
           
アガサ・レーズンの完璧な裏庭 (コージーブックス)
M.C. Beaton,羽田 詩津子
原書房

          M.C.ビートンの「アガサ・レーズン・シリーズ」もその仲間ですが、ヒロイン

          がかなり風変わり。ロンドンのスラム街に生まれ、刻苦勉励、悪戦苦闘

          して広告会社を立ち上げ、辣腕をふるいます。やがて長年憧れていたコッ

          ツウォルズに家を買い、悠々自適の田園生活を送ろうとするのですが、

          口が悪く、押しが強く、わがまま、時にかなり下品。土地の人々の間に

          溶けこむのは容易ではありません。でも広告業界で長年培った行動力

          を発揮して徐々に馴染んできます。

            

          数年前訪れたコッツウォルズ地方のはちみつ色の家並みです。イギリス

          の都会の人も、やはり晩年はこういう美しいのんびりしたところに住みた

          いと思うのでしょうね。日本なら、さしずめ軽井沢とか那須とか?ヒロイ

          ンのアガサは怖いもの知らずのおばちゃんですが、貴族や上流階級の

          人たちの前に出ると、自分が労働者階級の出だということを意識して、

          妙に自信がなくなるという場面が頻繁に出てきます。イギリスには、未

          だにそういう階級意識が厳然としてあることも教えられます。

アガサ・レーズンと貴族館の死 (コージーブックス)
M.C. Beaton,羽田 詩津子
原書房

         ともあれ、羽田詩津子さんの上手な訳のお陰げでもありますが、アガサが時々

         切れた時の口きたない啖呵が楽しく、気分が沈んだ時に読むとスカッとします。

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