キッチン・トランスレーターつれづれ日記

つれづれなるままに日々のよしなしごとを綴ります。本、風景や花や料理、愛犬の写真などをご紹介。

三夕

2016-10-11 15:07:17 | 季節
             

            甥の結婚式や孫の運動会、楽しい行事が一段落して、ふと気づくと、

            秋も深まり、肌寒くなってきました。

              夕月夜心もしのに白露の置くこの庭にこおろぎ鳴くも    湯原王

            虫の音が聞こえてくると、日本人は万葉の昔も今も同じく、秋の夜

            の静けさに、この歌のようにしみじみとした気持ちになるようです。

             

            万葉の時代や平安初期の古今和歌集の頃には、秋といえば、夜を詠む

            のが定番だったらしいのですが、枕草子で「秋は夕暮れ」とされた頃

            からでしょうか、秋は夕暮れが一番風情があるとされるようになり、今

            に至っているようです。新古今和歌集に秋の夕暮れを詠った有名な

            三首「三夕」があります。

              寂しさはその色としもなかりけり槇立つ山の秋の夕暮れ    寂蓮法師

              心なき身にもあはれは知られけり鴫立つ沢の秋の夕暮れ   西行法師

              見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮れ     藤原定家

            どれも秋の夕方の寂しさを詠った歌です。特に上の二首には仏教的な

            無常観が色濃く感じられ、現代の人間にはちょっとそぐわないかもし

            れません。            

            

            夕日に薄の穂が揺れているのを見て、今の私に一番ぴったり来るのは

            「故郷の空」の歌詞です。

               夕空晴れて秋風吹き、月影落ちて鈴虫なく

               思へば通し故郷の空 ああ我が父母いかにおはす

            「誰かさんと誰かさんが麦畑、、」なんて言うコミカルな歌を、こんなしっとり

            した情景の歌に変えるなんて、日本人の持つセンチメンタリズムでしょうか。

            

        茜色に染まった空の下で森も町も闇の中に沈んでいく、懐かしく美しい秋の夕暮れです。   
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