箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

一生残る言葉

2016年10月17日 19時57分01秒 | 教育・子育てあれこれ

教師の言葉が生徒を勇気づけることがあります。

もちろん、生徒と教師の間に信頼関係があればの話ですが。

生徒は、時として、不安に押しつぶされそうな心境になることがあります。

たとえば、以前に、3000人の吹奏楽で、豊能地区合同バンドを代表して、ソロでトランペットを吹く吹奏楽部の生徒がいました。

会場の京セラドームのスタンドには、内野席、バックネット裏を、ほぼ埋め尽くす観客がいます。

吹奏楽関係者や観客が、たった一人の演奏に注目し、聴きいるのです。

ソロ演奏する当事者の生徒が受けるプレッシャーは、はかり知れません。

その時、教師の言葉が生徒の背中を押しました。

その言葉は、
「ここに立つということは、あなたにその力があるということだよ」

この言葉をもらった生徒は、自分のもてる力を精一杯出そうと思いました。そして、本番では、よどみのない音をみごとに出してくれました。

これは実話です。おそらく、ソロを吹ききった生徒には、この教師の言葉がずっと残っていくでしょう。

また、私が以前、別の学校で中学生の弁論大会に出ようかどうかを迷っていた生徒に対して、次の言葉を言いました。

「『できる』と言った時点で、自分の可能性は広がるんや」。

その子は、出場を決め、本番ではみごとに、スピーチをして、聴く人をひきつけました。

生徒の心に届き、響く言葉は、相手のことをよく理解していなければ発することができないものです。

何年かたって、その生徒と再会したとき、「あのときの、先生のあの言葉は、一生忘れることはない」と言ってもらえることがあります。

そんなとき、自分もこの子のために、少しは役にたつことができたのかも、と小さな喜びを感じるのです。

(写真と本文の内容は関係ありません。)