身勝手な主張

日々感じた様々なことを、自分勝手につぶやき主張します。

岐阜聖徳学園大学附属小学校の算数教育を検討する1 ~子どもに等分除・包含除の区別を押しつけようとする最低な授業と最低な解説2

2017年05月02日 | 算数教育・初等理科教育
2017年5月2日(火)


小林永児教諭の算数授業とその授業への批判

  前回、

  岐阜聖徳学園大学附属小学校の算数教育を検討する1~子どもに等分除・包含除の区別を押しつけようとする最低な授業と最低な解説1
    (2017年5月1日)

の「はじめ」に続いて、小林永児教諭の算数授業を「授業記録」にしたがって検討してみよう。

  小林教諭は3年生の「わり算の授業」で、本時のねらいを次のように設定している。

・・・・・・・・・・・・・授業のねらい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・具体的な操作を通し、等分除と包含除を乗法と関連づけて、その意味の違いを理解することができる。
等分除と包含除の意味を理解したうえで、その意味の違いを理解することができる。
                                       p65
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  私が太字で示した部分は、間違っている部分である。

  「わり算は乗法の逆演算であり、等分除・包含除の区別は無意味である」

これが私たちの主張である。もともと「等分除」と「包含除」の区別は数学にはなく、算数教育主流派や数学教育協議会等が
生みだした概念であるらしい。 「等分除」と「包含除」の区別は、算数教育主流派によれば、

(等分除)  2×4=8 一つ分=2 、いくつ=4 から 一つ分を求める式  8÷4=2
(包含除)  2×4=8 一つ分=2 、いくつ=4 から いくつを求める式  8÷2=4

とかけ算の順序固定をわり算に持ち込んだ概念である。しかし、式2×4=8は数学としては左辺の積と右辺の積が等しいと言っ
ているだけで、2×4=8が必ずしも(一つ分)×(いくつ)=(全体)を意味するわけでない。また、そもそもトランプ配りを考え
ると、(一つ分)や(いくつ)が不明になる。算数教育が言う「等分除」的な問題で解釈を少し変えるだけで「包含除」的な問題に変
えてしまうことも可能である。小林教諭の授業のねらい「等分除と包含除の意味を理解」が実に馬鹿げたものであるこ
とがわかるであろう。
  「等分除」と「包含除」の区別の無意味さについては、何度もこのブログで書いたので繰り返さない。後でリンク集を載せて
おくので参照にしてほしい。
  私が小林教諭のこの授業のねらいと授業そのものが最低であると評価したのは、「等分除と包含除を乗法と関連づけて」と
いう部分である。
  数学で考えると、

  8÷2=4 に対して2×4=8が唯一対応するわけでない。

「等分除」と「包含除」と言うあほらしいことを考えるから、上のような誤りを冒すのである。このことをはっきりさせる
ために、小林教諭の授業を引用させていただく。読者はこの授業展開をみて、自由な感想・批判等を言われるといい。




『若い教師のための深い学びが生まれる算数授業』p66・67・68・69より引用

 先ほど、「等分除と包含除を乗法と関連づけて」の部分が最低の授業であると言った。小林教諭の言う「包含除」の場合
8÷2=4の正しさを「確かめて見ましょう」という言葉で確かめをしている。そして、確かめとして

    2×4=8

のみをあげている。数学で考えると

    a÷b=cの確かめは次のいずれでもいい
    ①c×b=a ②b×c=a ③a÷c=b


と言うことになる。8÷4=2の確かめとしては、①2×4=8、②4×2=8、③8÷2=4のいずれかになればいいわけである。
小林教諭が①2×4=8のみをとりあげて確かめとしていることは明らかに間違いである。「包含除」というおかしな分類に毒さ
れると、このような過ちをおかすことになる。
  それだけでない。このことと関連するが、小林教諭は2つの文章題を取り上げて確かめの式を念おしするというさらにあほ
らしいこと
をしている。授業を次のように展開している。
  

問題 8個のりんごを2人で同じように分けると1人分は何個になるでしょう(「等分除」)
   8÷2=4     確かめ 4×2=8
問題 8個のりんごを1人に2個ずつ分けると分けると何人に分けられるか(「包含除」)
   8÷2=4     確かめ 2×4=8


  再度確認するが、

   確かめは、いずれの問題でもかけ算で行うならば、4×2=8、2×4=8いずれでもいい

わけである。確かめとは計算が正しいことを確認するものだから、別の方法で計算して矛盾がなければどんな方法でおこなっても
いい。「等分除」と「包含除」というどうでもいいことを持ち出す以前に、このことはあたりまえのことである。数学的思考を重視するな
らば、確かめを固定するような授業は最低である。


  小林教諭の授業について、授業最後のまとめについて一言述べておこう。次回にのべるの鈴木昭裕教授の解説についてのブロ
グでも触れる。
  私は、わり算の問題提示として算数教育主流派のいう「等分除」的な場面、「包含除」的な場面、あるいはおはじきをたて
横に長方形に並べた場合など、わり算のいろいろな場面を提示することは必要だと思う。そして、

  「いろいろな場面があるが、全てわり算になる」

と、直観的に気づかせることが大切である。しかし、小林教諭はわり算で一番大切な部分を

  T「わり算には、一人分を求める文章問題といくつ分を求める文章問題があるけれど、どちらも同じわり算の式で表すことが
できるのですね」


と教師のまとめで言ってしまっている。「等分除」・「包含除」のどうでもいい区別にこだわって、肝心な部分をいい加減に扱っ
ている。この点も私が「最低の授業」と評価した一つの理由である。
  なお、この点に関して鈴木昭裕教授は肯定しているが、私はあほらしい主張だと思っている。この点については、次回に鈴木昭裕
教授の見解を批判しよう。

  最後に、若い先生方がこの小林教諭の「わり算」の授業を絶対まねしないよう望んでいる。この授業は、算数教育にとって有害である。

(つづく)


(リンク)
  算数教育主流派のいう「等分除」「包含除」の概念は、かけ算には(一つ分)×(いくつ)=(全部)という式の順序が唯一決まっている
という間違った主張
からきているが、かけ算の順序問題については

  問題の多い小学校2年生の算数教材 (2016年3月27日)

にあるリンクを参考にしてほしい。
  また、

  小学校3年生の算数 (2016年4月23日)

のリンクからか、以下のリンク先が「等分除」「包含除」について述べた私のブログである。

  松本幸夫氏の「3×5vs5×3の問題」を読んで2 ~等分除・包含除の区分の無意味さ (2015年1月13日)
  算数教科書(大日本図書)は一体どうなっているの? ~無意味な等分除と包含除の区別 (2015年5月24日)
   「等分除」「包含除」という算数教育「学」の妖怪 (2015年8月30日)
   「等分除」「包含除」という算数教育「学」の妖怪2 ~大日本図書『たのしい算数3』より (2015年8月31日)






(追記)

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何の段の九九を使って求めますか? (積分定数)
2017-05-02 06:38:12
割り算の確かめ算を等分除と包含除でかえないとならないなら、話題になった「何の段の九九を使って求めますか?」との関係はややこしくなりますね。
http://blog.esuteru.com/archives/7684307.html
21÷7が等分除の文章題から出てきた式なら、
□×7=21の□を求める割り算で、これは7の段を使って7×3=21で3と求めて、確かめ算は3×7=21,とするのでしょうかね?

大日本図書のサイトには、36個のシュークリームを6人で分ける問題で、「□×6の式で,6の段の乗法九九を使い」と書いてありましたが、アホらしさに気づいたのか削除したようです。
http://8254.teacup.com/kakezannojunjo/bbs/t69/22

秋田大学の杜威氏も確かめ算は等分除と包含除で帰るべきと言っていましたが、削除されているようです。
http://8254.teacup.com/kakezannojunjo/bbs/t69/4

等分除と包含除の区別は、掛け算の1つ分といくつ分の区別であって、その区別は不可能だと思うけど、仮に区別が可能であったとして、児童がそれを区別するメリットって何なのでしょうね?

「どちらも同じ割り算というのはすでに算数を学んだ大人の発想。子供は抽象思考が苦手で、どちらも同じ割り算だとは認識できない」と言うのもよく聞くけど、一方で子供に等分除と包含除の区別させることに四苦八苦している様子で、おかしいと思わないのでしょうかね?

 子供も大人もそんな区別なんかしていなくて,区別に拘っているのは、算数教育界の人たちだけですがね。

 算数教育界の人は、裸の王様が素晴らしい服を着ているように見えるのか、裸だと気づいているけどそんなこと言ったら四面楚歌になるので周りに合わせているのか、「王様の服は素晴らしいぞ」と吹聴した手前後に引けなくなってしまったのか、どれでしょうね?
訂正 (積分定数)
2017-05-02 06:39:20
確かめ算は等分除と包含除で帰るべき

帰るべき → 変えるべき
等分除と包含除の統合 (積分定数)
2017-05-02 06:51:56
一方で、等分除と包含除を同じ割り算として統合する、という授業もあるあるらしい。

教える側も何をさせたいのか分からなくなって混乱しているのではなかろうか?
https://www.google.co.jp/search?q=%E7%AD%89%E5%88%86%E9%99%A4+%E5%8C%85%E5%90%AB%E9%99%A4+%E5%AD%90%E4%BE%9B%E3%81%AF%E5%90%8C%E3%81%98%E5%89%B2%E3%82%8A%E7%AE%97%E3%81%A8%E8%AA%8D%E8%AD%98%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%AA%E3%81%84&oq=%E7%AD%89%E5%88%86%E9%99%A4%E3%80%80%E5%8C%85%E5%90%AB%E9%99%A4%E3%80%80%E5%AD%90%E4%BE%9B%E3%81%AF%E5%90%8C%E3%81%98%E5%89%B2%E3%82%8A%E7%AE%97%E3%81%A8%E8%AA%8D%E8%AD%98%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%AA%E3%81%84&aqs=chrome..69i57.16090j0j4&sourceid=chrome&ie=UTF-8#q=%E7%AD%89%E5%88%86%E9%99%A4+%E5%8C%85%E5%90%AB%E9%99%A4+%E7%B5%B1%E5%90%88%E3%80%80%E6%8C%87%E5%B0%8E%E6%A1%88
「積分定数」氏へ (Y.H)
2017-05-02 07:57:04
 等分除と包含除の区別は、もともとかけ算の順序問題(一つ分)×(いくつ)=(全体)のみが唯一正しいということから生じたものです。この小林教諭の授業は、そうした算数教育「学」者の主張を正直に授業実践をしたものだと思います。だから、確かめ算をかけ算の順序にこだわった式で書かせるというふうにになっています。
 また、本来子どもが気づかなければならない「このような場合もわり算でできる」ということを最後に教師のひと言で片付けていることも問題です。元々「包含除」と「等分除」が違うものであると認識させておいて、今度は「同じわり算です」と言ってもすんなり理解できるものでありません。
 
 私立ですが、教員養成系教育学部の附属小学校教員ととんでもない算数教育研究者とのあほらしい共同研究・・・算数授業の一端を資料で示してみました。

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