身勝手な主張

日々感じた様々なことを、自分勝手につぶやき主張します。

昨日で岐阜県の今期の初任者研修が事実上終了する

2017年02月22日 | 教員養成・現職教育
2017年2月22日(水)


  ずいぶん前は新たに公立学校の教諭として採用された教員を「新採者」といって、その「新採者」を対象にした研修
「新採研」(「新採者」を対象とした研修という意味であろう)と呼んでいた。現在は『教育公務員特例法』第23条の用
語にあわせて「初任者」とその研修を「初任者研修」と呼んでいる。ここでも、「初任者」「初任者研修」の名称を使うこ
とにする。

  昨日2月21日(火)に岐阜県総合教育センターがおこなう最後の初任者研修が行われた。岐阜市に勤務する初任
者を除く全ての初任者が総合教育センター、西濃・美濃・東濃・飛騨の教育事務所で、TV会議を通しての研修を受け
た。その内容は『平成28年度 初任者研修の手引 岐阜県の教育を支えるために -小・中学校 初任者用 -』による
と、次のとおりであった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 総合教育センター主催の第3回研修  TV会議・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
   9:30~ 9:40 【オリエンテーション】 ・本日の研修について(講座担当者)
   9:40~10:50 【講義・演習】      ・学校における情報モラル教育(学校安全課課長補佐)
  11:00~12:00 【講話】         ・教師としてのキャリアプラン(義務教育総括監)
  13:00~13:50 【講話】         ・学び続ける教師として(教育研修課研修企画監)
  14:00~14:50 【講義・演習】    ・経年研修の意義と受講について(講座担当者)
  15:00~15:50 【実践交流】     ・1年目の成果と2年目の自己課題について(講座担当者)
  16:00        【研修のまとめ】     ・振り返りカード及びアンケートの記入等(各会場担当者)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  この研修内容に、特に特徴があるわけでない。多くの初任者も軽く聞き流していたことであろう。
  この総合教育センター主催の第3回研修でもって、事実上昨年4月から続いた

  校外研修
    総合教育センター  3泊4日の宿泊研修を含め7日
    各事務所       9日(授業研修5日、連携校研修4日)
    各市町村教育委員会 4日
  校内研修・・・・年間180時間以上
     
というかなりハードな初任者研修が終了したことである。県教育委員会も初任者研修は2月までに終了し、3月は初
任者の振り返りの時期としている。
 初任者は法的には1年間は条件付き採用期間で、今年4月1日をもって正規採用になる。岐阜県の場合、自主退
職も含めて正規採用にならない初任者はごく少ない。初任者は、そのことを4月当初から気にすることはないと言え
よう。

  さて私は、岐阜聖徳学園大学教育学部卒業後の2年間の常勤講師を経て2016年度に教諭に採用された(S塾で
一緒だった)Mさんの受ける「初任者研修」について調べてきた。以前にも調べようと思って挫折したこともあったが、
今回はかなり私なりに理解できるようになった。問題点も見えてきた。若干感想を書いておこう。

<校外研修について>
  教育公務員特例法23条で都道府県・政令市および各市町村教育委員会に初任者研修の義務を課して以降、
校外研修の時間は以前に比べて増えた。特に連携校研修4日は新たに設置されたものである。ただ授業研修など、
法制定以前にも実施されていたもので、大きな違いはない。
  3泊4日の宿泊研修(いつから変更されたは調べていないが、以前は4泊5日であった。)についても、従前通りで
特記すべきことはない。
  市町村教育委員会の研修についても、地区を知る視察研修、公的施設や福祉施設での体験研修、講話等が中
心に行われているようである。
  概して校外研修は、事後の学校での復命書の提出・研修報告など事務的なわずらしさを感じる初任者もいるかも
知れないが、初任者はそれほど負担感を感じていないように思える。授業者にあたった初任者は準備が大変であるが、
他の初任者にとっては授業をみたり、大学の同級生と再会したり初任者同志語り合ったりとそれなりに意義を感じて
いるかも知れない。
  研修日数20日が長いのかどうかについては、初任者への負担の面から考える余地があろう。

<校内研修について>  
  問題の多いのは、校内研修180時間である。
  まず、「初任者は学校の中で校長を中心としたチームで育てる」というメンター制について。これは「チーム学校」
と発想を同一にするように思えるが、十分に検討できなかった。校長のリーダーシップのもとのチーム学校という発
想自体が非現実的で、初任者のいる多くの学校でうまく機能しているとは思えない。メンター制自身の問題点の他に、
学校の教員が忙しすぎるということもあろう。(教員の忙しさを解消するという「チーム学校」には、疑問の点が多い)
いずれも、きちんと検証する必要がある。
  岐阜県では初任者の指導方式として、チーム方式と一人方式の2方式が採られている。チーム方式は初任者指
導を専任におこなう拠点校指導教員(教諭)が数校の数名の初任者の指導を担当する。一人方式は、非常勤講師(多
くは、校長・教頭退職者)がその学校の一人の初任者を指導する。Mさんは、一人方式であった。問題になるのは、
やはり指導者と初任者との人間関係である。「合う、合わない」ということが起こるのは当然であり、特に一通り学校
での教育を経験している常勤講師経験者は自分なりの教育観を持っているだけに、初任者指導教員と考え方が違うこ
とはあり得る。この場合、もちろん指導教員の指導に従う必要がないが、本質的な違いでないなら合わせるということ
になるだろう。当然、指導教員の指導は、思ったように通じなくなる。常勤講師経験者であるMさんが実際にどのよう
な校内研種を受けていたのか、また実際にどんな気持ちで校内研修を受けていたかは知るよしもない。しかし、一般
的に校内研修には人間関係や教育観の違い等による様々な問題を内在している。現職教育を専門とする教育学者
の研究に期待したい。
  初任者の負担を考えると、年間180時間・週6時間は多すぎる。岐阜県教職員組合もこの点について、県教育委
員会に要望を出している。時間に追われるような研修は、効果が薄い。

<初任者研修全体について>
  教育公務員特例法第23条は、初任者に研修受講の義務を課したものでない。都道県・政令市教育委員会や市
町村教育委員会に初任者研修の実施の義務を課したものである。したがって、初任者として研修を受けさせる範囲は、
事実上都道県・政令市教育委員会が決めることになる。岐阜県のような常勤講師経験者も一律に直採者(新卒で採用
された教諭)と同様な初任者研修を課すことには疑問がある。何年も常勤講師をやっていたら、「今更、初任者研修? 
やっていられない」と言う気持ちになっても仕方がない。静岡県のように、1年以上教諭・常勤講師経験者を初任者研
修の対象から外す処置をとっている。
岐阜県教育委員会も、考えるべきである。

<岐阜市での初任者研修>
  中核市である岐阜市は県教育委員会から現職教員の「研修権」を移譲されている。したがって、岐阜市では初任
者研修に限らず12年目研修など研修全般について、岐阜市教育研究所が中心となって研修計画をたて、実施してい
る。
  校内研修については、県教育委員会実施のものと大差がないだろうと思われる。校外研修については、岐阜市教
育委員会が20日間を一貫した計画で実施しているようである。宿泊研修も県教育委員会の国立乗鞍青少年交流の家
での3泊4日でなく、岐阜市の施設で2泊3日で実施される。総合教育センターの3日のTV会議による研修も、教育事務
所主催の9日間の研修も全て別日程である。岐阜市の初任者が、管轄である岐阜教育事務所に所属する他の市町村の
初任者と一緒に県教育委員会の実施する研修を受けることはない。
  岐阜市での初任者研修については若干触れたが、資料も少なく私自身が全体像を把握している訳でない。岐阜県
には中核市が岐阜市しかないので本格的に調べることは可能である。しかし、Mさんは岐阜教育事務所管内の市町村
に配属された初任者であるが、岐阜市と関係がないこともあったのか、一通りしか調べなかった。この点は、誤りたい。


  以上、Mさんも含めて2016年度の初任者が受ける研修が事実上終了するタイミングで、このブログを書いてみた。
最後に長くなるが、初任者研修関係の私のブログにリンクを張っておこう。

(注意)
  最近の初任者研修等について、県教育委員会関係者が分析した論文

   井藤栄一「初任者研修の現状と今後の在り方について
    : 新規の初任者研修『スタートアップ・プラン』方式に焦点を当てて

      [岐阜大学カリキュラム開発研究] vol.[32] no.[1] p.[1]-[11] 2015-09

を参照にしていただきたい。初任者のアンケート結果等の記載がある。


初任者研修へのリンク

<スタートアップ・プラン、初任者研修全般>
岐阜県の初任者研修(スタートアップ・プラン)再び (2016年5月30日)
岐阜県の教員採用試験、初任者に関する資料(2016年6月18日)
教員採用選考試験や初任者研修などは、岐阜県教育委員会の行政行為 ~批判的に見てみよう(2016年7月6日)
初任者研修と中核都市岐阜市 (2016年7月7日)

<校外研修>
教員採用試験から新規採用、そして初任者研修へ2  ~初任者研修の概要 (4月12日)
岐阜県での小・中学校の初任者研修(校外研修について) ~一部訂正とお詫び (5月1日)
岐阜県の初任者研修(校外研修について)2 ~各教育事務所主催の校外研修(5月6日)
岐阜県の初任者研修(校外研修について)3 ~国立乗鞍青少年交流の家での宿泊研修(5月8日)
岐阜県の初任者研修(校外研修について)4 ~各市町村教育委員会主催の初任者研修(5月9日)
岐阜県における初任者研修についての雑感 ~および追加資料(5月10日)
教育事務所主催の初任者研修の補足 ~連携校研修(5月19日)

<校内研修>
岐阜県の初任者研修(校内研修)1 ~校内研修の時間と内容について(5月15日)
岐阜県の初任者研修(校内研修)2 ~校内研修実施のための指導教員および校内の研修体制(5月16日)
岐阜県の初任者研修(校内研修)3 ~初任者研修実施校の校長・拠点校指導教員・指導教員等の研修(5月17日)
岐阜県の初任者研修(校内研修)4 ~初任者研修の問題点 (5月18日)





(追記)

1. 2月21日のページごとのアクセス
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昨日も多くのアクセスをいただいた。
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  4位のブログは、「算数教育・初等理科教育」のカテゴリーの記事である。

   昨日も、訪問者数739IPと大変多くのアクセスをいただいた。感謝したい。 


2.昨日の一風景
  昨日21日は、北方町のアピタに寄ってから岐阜ふれあい会館の放送大学岐阜学習センターに入った。Mさんが
初任者研修でいないことは知っていたが、帰りはMさんの勤務校の前をとおった。岐阜ふれあい会館の駐車場に入っ
たのは12時過ぎぐらいであったが、今日はいつもの駐車場は空いていた。しばらくスマートフォーンを確認してから、
2階の学習センターに向かった。
  昼食後に、12時30分頃から15時30分過ぎまで視聴覚室でDVD3巻を見て自習した。そして、16時頃に駐車場
にいって、大事な電話を待つために4時30分過ぎまでいた。総合教育センターの正面の向かいに駐車してあったのでふ
とそちらを見ると、まだ初任者研修が続いているようであった。
  家に着いたのは、18時であった。
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2 コメント

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東京都版「チーム学校」 (TaKu)
2017-03-07 20:32:32
東京都版「チーム学校」というのがあり、掲示板で触れたので、お知らせしておきます。
http://8254.teacup.com/kakezannojunjo/bbs/t21/2745
「TaKu」氏へ  東京都版「チーム学校」 (Y.H)
2017-03-07 21:19:56
紹介、ありがとうございます。
検討してみます。

 ざっと見て「チーム学校」の発想には、教員を校長をトップとして副校長(教頭)→主幹教諭→主任教諭→教諭とピラミッド構造にわけ、校長の指導を徹底しようという意図が見られます。本来ならば、指導において主幹教諭や主任教諭も全て同じ教諭ですから、指導に従う義務はありません。しかし、「チーム学校」は校長をトップに、主幹教諭・主任教諭をミドルリーダーにして、指導の面でもこれらミドルリーダに従わせようとするものです。教員の自由な自主的な教育活動を抑えてしまう危険な面を持っていると思います。
 「チーム学校」の考え方には、それ以外にも危険な面が有り、多くの人に関心を持ってほしいと思います。

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