身勝手な主張

日々感じた様々なことを、自分勝手につぶやき主張します。

数学の用語や記号のあいまいさ ~そのときどきで使い分けよう

2017年07月17日 | 数学・数学教育
2017年7月17日(月)


  ずいぶん前に「積分定数」氏のTwitterだったと思うが、ある算数教育「学」者の次のような主張が簡単に紹介されていた。
孫引きになるが、引用しておこう。

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なお、「自然数」の定義についておもしろいことを発見した。高校までの数学の教科書では「1以上の整数」となっており、
私はそう信じていた。実際いくつかの数学事典でもそうなのだが、大阪書籍の「新数学事典」では、まず「1以上の整数」とした
上で、「しかし、0を含めることが多い」とある。基本中の基本の概念が統一されていないのにはビックリしたが、・・・(以下略)
   『ネットワークのソフィストたち』p163 (孫引き)
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  この算数教育「学」者は何かの機会に自然数に0を含めて定義されていることを初めて知った、それで驚いたとの感想を述べて
いる。「自然数に0を含める定義か0を含めない定義のどちらかに統一できないのか」とまでは、この算数教育「学」者は主張して
いないようである。この人もそうであったように、0を自然数に含めて定義する場合があることを知らない算数教育「学」者や学校
・塾で数学を教えている先生が少なからずいるのであろう。はっきり覚えていないが、ネット上のどこかで別の人が「自然数に0を
含める定義か0を含めない定義のどちらかに統一できないのか」との主張をみたことがあったとの記憶がある。間違いであったなら
ご容赦していただくとして、こうした考えに対して一言疑問を呈しておこう。
  結論から言えば0の扱いで自然数の定義をどちらかに統一することは、あまり意味がない。解析学などではべき級数を扱
う関係もあって、数列を0番目から始める場合が多い。0を自然数に含め、0番目から始めると等差数列の一般項は
 
  a_n=a+nd ・・・・a:初項 、n:項数 d:公差

と簡明に表現できる利点もある。一方、素因数分解等を扱うような場合は0を自然数にすると都合が悪い場合も多く出てくる。
自然数の中に0を含めるかどうかは、その都度明確に定義して論じていけばいいと思う。
  「自然数」以上に用語に曖昧さがあるのは、「関数」である。このブログでも何度も述べたが、

  xを一つ決めるとyが一つ決まる場合を、yはXの関数という

と言う意味では、

  陰関数、多価関数、複素関数・・・は「関数」でない

ことになる。また、「関数」と「写像」との区別も曖昧である。普通、例えば集合Mの2項演算で

  関数 f:M×M→(実数) または 複素数
  写像 f:M×M→N(集合)

と使い分けているが、それも絶対的なものではない。上の流儀にしたがうと解析学の「逆関数定理」は「逆写像定義」のほう
がふさわしいかも知れないが、一般には「逆関数定理」と呼ばれている。このように、「関数」の用語は様々に使われている。
  では、数学の用語はいい加減かというと、決してそうでない。「関数」について厳密に取り扱わなければならないときは、は
じめに「関数」が厳密に定義される。数学は必要なときには、一部無定義用語を除いて厳密に定義された用語のもとに論じら
れる。

  用語とともに、数学で使う記号も必ずしも統一されているわけでない。例えば私のブログでもベクトルaとベクトルbの内積
の記号は,

a・b(高校数学) , (a,b) , <a,b>

とその都度適当に使い分けてきた。それぞれの記号には便利さがあるからである。ただし、私は高校数学について書くときは
別としてa・bはあまり使わなかった。
  記号だけでなく、数学記号の筆順も正しい書き方、標準的な書き方があるわけでない。最近の算数教科書には、+、-、
×、÷の筆順や分数の表示方法の順などが掲載されているが、もちろんしたがう必要がない。私は分数などの書き順は
その都度使い分けているが、それでも適当である。

  数学の発展の歴史の中で分野別に別々に発展してきた面もあって、統一的な用語が使われているわけでない。微分幾何
学と微分位相幾何学では「埋め込み」「はめ込み」の定義が違っていることは、二つの学問領域が別々に発展してきたから
である。確かにこの例のように定義が違うことにはわずらしさがある。しかし、厳密に論じなければならないときには、その
都度「用語」の定義が与えられる。また、記号についても説明がある。
  算数教育「学」者や学校の数学の先生方の中には、数学用語の使い方や数学記号の筆順を必要以上に気にする人がいる。
そして、中には児童・生徒そして大学生までに自己の流儀を強制しようとする人がいる。こうなると、問題である。

  それほど多いわけでないが、数学の用語や記号のあいまいさについて、特に気にする必要はないであろう。 



(追記)

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2.Facebook投稿から  ~かけ算の順序強制問題
・・・・・・・・・・・7月16日8時頃投稿・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  2020年度から実施される算数の指導要領に関する「小学校学習指導要領解説 算数編」は、何度読んでもひどい内
容だと思いました。特に2年生の「乗法」について書かれた文章は、あきれて物が言えません。

http://blog.goo.ne.jp/mh0920-yh/e/7b5b25aeab4e5489cadffbb72e2a9ba4 

  ネット上で知ったことですが、ある情報科学専攻の学者が文科省に対して執筆者の名前の公表を求めたとありました。私
も文責を明らかにするためにも、執筆者の名前の公表を求めたいと思います。
 東京新聞・中日新聞にも取り上げられたかけざんの順序強制問題・・・
「1皿に5個ずつ入ったみかんの4皿分の個数を求めよ」に対して、かけ算で
   5×4=20 
   4×5=20
のどちらでもいいと、文科省は明言しています。当然だと思います。そうであるならば、あの「小学校学習指導要領解説 算
数編」の「乗法」の文章は、何なのでしょう。あほな算数教育「学」者の跳ね上がりの文章なのでしょうか?いずれにせよ、
この文章の執筆者は直接わからないと思いますが、解説全体の協力者は後に公表されるでしょう。
 「小学校学習指導要領解説 算数編」、とにかく現職の小学校の先生は、こんなひどい内容のものを参考にしてはいけない
と思います。(かけ算の順序の問題以外も、数学や教育面から見ておかしな部分が多くあります。)また、かけ算の順序に関し
てテスト等で×になったら、保護者は担任の先生や教育委員会に積極的に問い合わせましょう。同時に、その答案をネット上
に積極的にアップしましょう。そうすることで、担任の先生や教育委員会には「テスト等でかけ算の順序で×にすることが問題
である」ことを知ってもらうことにしましょう。
  ただし、担任の先生をこの問題で責めてもあまり意味があると思いません。この問題で一番悪いのは、「かけ算には順序
がある」と信じてやまない算数の教科書を執筆しているあほな算数教育「学」者にあるからです。
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市川伸一氏ですね (積分定数)
2017-07-16 14:18:49
http://8254.teacup.com/kakezannojunjo/bbs/t58/73

統一されていないことに驚いたと言うことで、統一すべきとまでは言っていないのですが、統一されていないことを知らなかったというのは、これまでどんな勉強をしてきたのか、と思ってしまいます。
「積分定数」氏へ (Y.H)
2017-07-16 14:26:41
 ネット上の別の所にあった文に「統一すべき」とあったきおくがあって、そちらとごちゃごちゃになってしまったのかも知れません。
 いずれにしても出典がわかったので、本文を書き換えておきます。
 ありがとうございました。
ネットワークのソフィストた (積分定数)
2017-07-16 14:28:20
そんな市川氏が、用語の説明を入試問題に出したらどうか、などと言っているのだから呆れます。
http://8254.teacup.com/kakezannojunjo/bbs/t58/70
> 私の主張(提案)は、「今の高校までの数学では、問題を解くことばかりやっているようだが、記述式の数学テストを一部導入したらどうか」ということです。
 私が提案している記述式問題というのは、「何々を求めよ」「何々を証明せよ」という通常の問題と異なり、概念、意味、事例、用途など(要するに、数学的用語や定理、公式などに関してもっている知識)を言語的に表現させようという問題です。

http://8254.teacup.com/kakezannojunjo/bbs/t58/67-73
「積分定数」氏へ (Y.H)
2017-07-16 14:59:18
>概念、意味、事例、用途など(要するに、数学的用語や定理、公式などに関してもっている知識)を言語的に表現させようという問題です

  そうしたテストだとその人が今まで学んできた数学の総合的な学力がわかりますね。公式の丸暗記では通用しませんし、ある事項についてあやふやな理解ではすぐわかってしまうし・・・・・。
  算数教育「学」者の書いた文を見ていると、その人の数学としての学びの程度が文科系出身の私にもわかってしまいます。(私は文科系出身だったから、自由に先入観なく数学の学習ができたのかも知れません。)
Unknown (積分定数)
2017-07-16 15:37:41
>そうしたテストだとその人が今まで学んできた数学の総合的な学力がわかりますね。公式の丸暗記では通用しませんし、ある事項についてあやふやな理解ではすぐわかってしまうし・・・

これは採点する側にも相当の力が要求されるし、試験を受ける側も「何を書けば採点官は満足するか?」を考えることになって良くないと思います。

例えば「関数とは何か?」と問われたときに、私は集合論での定義、定義域Aと定義域Bがあったときに、AとBの直積の部分集合である条件を満たすもの、というのが一番スッキリしていますが、採点官は数教協流の「ブラックボックス」を望んでいるのかも知れません。

ベクトルも、空間ベクトル限定なのか、数列や関数まで含めた抽象的ベクトルの概念を採点官は理解しているだろうか?

あるいは、「ベクトルとは芳香性を持った大きさであり、・・・」で、壮大な文化論か何かを論じたらどうなるのか?

アンケートやコンクールの類いならまだしも、客観的に理解度を測るべき入試で出すのはまずいと思います。

通常の数学の問題でも工夫次第で公式の暗記では対応できない出題は可能なのだから、そうすればいいだけだと思います。
「積分定数」氏へ (Y.H)
2017-07-16 16:04:28
 市川氏本人は入試にはそのような出題がいいとおもっているかもしれませんが、それこそ「アンケートやコンクールの類いならまだしも」だと思います。「積分定数」氏の言われるように、今度は採点の面で出題者の学力が試されることになります。申し訳ないけれど、提案している市川氏には無理でしょうね。
 名古屋大学は50年ぐらい前から、数学の大学入試で公式集を配布しています。現実に公式の暗記に頼らない入試がずっと以前から行われてきたわけですから、「通常の数学の問題でも工夫次第で公式の暗記では対応できない出題は可能」だと思います。

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