ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

イマジン (Imagine)

2008年12月08日 | 名曲


 自己主張の強さや、平和運動などとの関わりから、ジョン・レノンに対して「強硬派」とか「政治的」というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。実際、生前は公安当局にもマークされていたそうですね。あの「9・11」のあとには、政治的な理由から「イマジン」が米国の一部で放送禁止となりました。(なんてナンセンス!)


 ビートルズ解散前後のジョンの言動は、確かに過激さを増し、表現も赤裸々なものになっていました。ビートルズとのきっぱりとした決別もその理由のひとつでしょう。しかし、1971年に発表した「イマジン」では、苦悩の果ての悟りのような、穏やかな境地が感じられます。





 政治、宗教、主義信条と音楽とを、第三者が安易に解釈して結びつけることに、ぼくは一種の危惧を覚えているのですが、確固とした信念に基づいた音楽の持つ力は確かに底知れないものがある、とも思っています。


 「イマジン」という曲、メロディーも歌詞も愛に満ちています。だからこそ、これだけ多くの人に愛され、歌い継がれているんでしょうね。
 ややもすればひとりよがりで過激になりがちだったジョンの主張ですが、この曲では別の角度から平和を見つめ、優しく訴えかけようとしている気がします。
 シンプルなメロディーも、非常に印象深いです。





 ジョンの思想信条について(ぼくは『肯定派』ですね)は別の機会に書くとして、ぼくがジョンから学ぶところ、それはどんな誤解や偏見にもひるまなかったこと、自分を信じて理想とするところを追求し続けたところです。


 ビートルズの中で最も「ロックンロール・スピリッツ」を持っているのがジョンだと思います。それが反骨精神に結びついているのかもしれません。
 ぼくがビートルズの中で一番好きなのが、ジョンなんです。


 今日12月8日はジョンが亡くなった日。
 彼の代表作「イマジン」は、永遠に歌い継がれてゆく歌のひとつだと思います。



ジョン・レノンのアルバム『イマジン』(1971年)    


[歌 詞]
[大 意]
想像してごらん、天国なんてないんだ、と
その気になれば簡単なことさ
ぼくらの足元に地獄はなく、頭上にはただ空があるだけ
想像してごらん 全ての人が今日のために生きている、と

想像してごらん、国境なんてないんだ、と
そんなに難しいことじゃない
殺したり死んだりする理由もなく 宗教さえもない
想像してごらん 全ての人が平和に暮らしている、と

想像してごらん 所有するものなんて何もない、と
果たして君にできるかな
欲をはることや飢える必要もなく 人はみな兄弟なのさ
想像してごらん 全ての人が世界を分かち合っている、と

ぼくを空想家だと思うかもしれない
だけど ぼくだけじゃないはずさ
いつの日か 君もぼくらに加われば
この世界はひとつに結ばれるんだ



◆イマジン 
(Imagine)
  ■歌と演奏
    ジョン・レノン/John Lennon (vocal, piano)
  ■シングル・リリース
    アメリカ1971年10月11日、イギリス1975年10月24日、日本1971年11月10日)
  ■収録アルバム
    イマジン/Imagine (1971年) 
  ■作詞・作曲
    ジョン・レノン/John Lennon
  ■プロデュース
    フィル・スペクター/Phil Spector、ジョン・レノン/John Lennon、オノ・ヨーコ/Yoko Ono
  ■録音メンバー
    ジョン・レノン/John Lennon(vocal, piano)
    クラウス・ヴーアマン/Klaus Voormann(bass)
    アラン・ホワイト/Alan White(drums)
  ■チャート最高位
    1971年週間チャート アメリカ(ビルボード)1位、日本(オリコン)14位
    1975年週間チャート イギリス6位
    1981年週間チャート イギリス1位
    1972年年間チャート 日本98位




コメント (10)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「命を削るピアニスト」の死 | トップ | チューリップ・デート »
最新の画像もっと見る

10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (まり)
2008-12-08 20:52:47
ジョンは理屈じゃなく生理的に大好きです♪
彼の歌はシンプルな中にも深い哲学や人間への愛があります。
イマジンはジョンが一番望んでいたことなのでしょうね!
返信する
平和 (心☆)
2008-12-08 21:14:59
平和を 訴えてる歌としては 最高の歌だと思います。

優しいメロディー だけど 心に深く伝わります。
返信する
Unknown (ジェイ)
2008-12-08 22:01:12
そうか。。今日はジョンの命日でしたね。
私もMINAGIさんと同じく彼の思想信条肯定派です。
ビートルズの時はジョージが一番好きでしたが、解散後の音楽はジョンが一番好きです。
今の時代、ご存命ならどんな歌を歌っただろうか。。と時々思う事があります。
なんとも。。世界は惜しい方を余りに早く無くしたものです。
返信する
まりさん (MINAGI)
2008-12-08 22:13:00
ジョンはビートルズの中で一番ヤンチャだったけど、一番内省的じゃないですかね~
尖がったロックンロール・スピリットの中には哲学、ユーモア、皮肉がくるまれていて、そう、「人間の愛」が感じられるんですよね~
イマジンはジョンの人生観なのでしょうね。
返信する
心☆さん (MINAGI)
2008-12-08 22:15:08
こちらでは初めまして~(^^)
シンプル・イズ・ベスト、なんて言いますが、この曲なんてその最たるものでしょうね。
歌詞もメロディーも心に響きます。
映画「キリング・フィールド」のラスト・シーンに使われてましたっけ。
返信する
ジェイさん (MINAGI)
2008-12-08 22:20:09
ぼくも当初はジョージが好きでしたが、徐々にジョンにシフトしてゆきました(^^)。
一時期はとても攻撃的なオブラートにくるんだ平和思想でしたが、彼の暴力に屈しない生き方が好きです。
今だと、どうでしょう、優しいメロディーに包んだ攻撃的で哲学的で思索的で文学的な歌詞を歌ってたるんじゃないか、と勝手に想像してます~
亡くなってそろそろ30年かぁ 時間の経つのがとても早く感じられますね~
返信する
すてきな詩 (azu)
2008-12-08 23:44:38
中学の英語の授業でジョンの歌を覚えたように記憶してます・・・遥か昔

その時の感動を今も覚えています

いつまでも歌い続けられていることに幸せに感じます
早すぎた死ですよね・・・

今も私たちにメッセージを送ってくれているジョンに感謝です

PS:テンプレ変わりましたね~!
返信する
azuさん (MINAGI)
2008-12-09 19:13:36
不良の代名詞のように言われていたロック・ミュージシャンの歌が学校の授業に取り上げられるなんて、1960年代では考えられなかったことですよね。
あ、遥か昔なんですか。では仲間かもしれん(^^;)
40歳での死はたしかに早すぎですよね。
でもジョンの持つスピリットのエネルギーは年々凄みを増しているような気がします。
だからこそ死後30年近く経つのに、未だに多くの人に影響を与え続けられているんでしょうね。

あ、テンプレはクリスマス仕様です~ 雰囲気出てる?
返信する
こんぶわんわ。 (Nob)
2008-12-09 21:23:22
そうでした。 
このところ、やけにあちこちでジョンの記事を見かけると思っていたんですよ。
もう30年近く経つんですね。 ニュースを見てビックリしたのがついこの間の事のようです。
最近は、ジョンがこの詞を書いた頃以上に身近なところで世の中が殺伐としている気がします。
今、彼がいたらどんな曲を書いていたでしょうね。
返信する
Nobさん (MINAGI)
2008-12-09 22:23:24
婚盤和~
そうそう、あの日から28年が経ってしまったんですね~
翌朝の新聞見て、ビックリしすぎて事件の記事にあまりピンとこなかったのを覚えてます。
Nobさんの言う通りですね。世の中がどんどん殺伐として病んできているような・・・。
こんな時ジョンならひるむことなくメッセージ性に満ちた歌を歌うんじゃないでしょうか メロディーは優しいような気がします。
返信する

コメントを投稿

名曲」カテゴリの最新記事