ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

木枠とアルミ

2014年07月21日 | Weblog~雑記

 【Live Information】



 先日出演したライブハウスは、繁華街ではなく、昔からの住宅地区の中を通る道路沿いにある。
 出番までぶらりとあたりを歩いてみたが、昭和の雰囲気を残した民家や洋館が点在していて、「住宅地区」というより「町内」と言ったほうがしっくりくる。


 そんな中で、今や誰も住んでいそうにない、二階建ての古い長屋を見つけた。
 瓦屋根、木枠の窓、しっくいの壁。
 妙に心惹かれるものがあった。

 
 


 ぼくの父は司法書士で、小さい事務所を開いていた。そのため昔は郵便局だった建物を事務所兼住宅として使っていた。わが家だけでなく、みんなまだまだ代々受け継いだ古びた民家に暮らしているのが当たり前の時代だった。けれど、高度成長の波に乗って新興住宅地があちこちに造成されつつもあった。
 そんな中で、遊びに行った友達の家が改築や新築したばかりのものだったりすると、やっぱりうらやましくて仕方がなかった。なかでも「アルミサッシ」は、新しくてきれいな家の象徴として、いつの間にかぼくの脳内に刻み込まれていた。


 今のぼくは、全ての窓にアルミサッシが入っている家に住むことができているけれど、木枠の窓のある古びた家を見るといろんなことを思い出す。
 近所の駄菓子屋。蚊取線香と蚊帳。割烹着を着た近所のおばちゃん。黒いダイヤル式の電話。買い物カゴを持って行く買い物。父にめちゃくちゃに怒られたこと。夏のセミ取り。部屋の窓から見える、家の裏にあった割烹旅館の宴会風景。学校の帰りに遊びに行った友達の家。白黒テレビ・・・。


 年を取ったせいで感じる単なるノスタルジーなのかな。
 いや、もちろんそれもある。けれど、それだけじゃない。
 便利なのが悪いわけじゃない。でも、アナログだからこそ感じられる温かみの良さが、この年になってようやくわかるようになったんだと思う。


 きれいなアルミサッシも悪くない。でも、ペンキの剥げかけたガタつく木枠の窓の方がぼくの心にいろんなことを感じさせてくれる。


 


 いずれは人口密度の低い、田舎の地方都市の木枠の窓のある家に引っ込んで暮らしたい。
 




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コメント
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