中小製造業の生き残りには厳しい経営環境が続いている。最大の要因は、円高に関連して国内生産から海外生産、消費地に近いところでの生産が挙げられる。輸入品の影響も無視できない。
残念ながら、中小企業にとっては海外進出も難しい。さて、どのようにしていかなければならないか。
技術力がある企業同士が国内で競合として生き残りをかけている。従来の事業領域では縮小均衡しかないのではないか。
日頃、そんな気持ちを抱いているが、NHKの2月26日(土)朝の放映で、富山の株式会社能作が紹介された。
株式会社能作は、ホームページを拝見すると、創業が大正5年。鋳造により仏具、茶道具などを造っている。材質は、黄銅、青銅など。2003年から純度100%の錫を材料に加えている。
日頃、顧客に接する中、新たなニーズを掘り起こし、錫の人体に無害な優れた特性を活かし、小皿等の金属食器などを商品化した。特に錫100%の材質は、加工が難しいほど柔らかいという。この特長に着目し、顧客が好きなように手で曲げて使うこともあるという。
新たな材料の特徴を活かした商品化で、新しい事業分野を開発した事例として注目される。
地域で注目されてきたのは、新潟県燕である。江戸時代の和くぎから始まって明治に入り洋くぎの普及で需要減少。煙管(きせる)の生産も葉巻たばこの出現で海外向け金属洋食器の生産に移行。その後、海外製に押され、産業分野を掘り起こし、最近は「ipod」の表面を磨く仕事も請け負っている。このように燕地域は、金属加工の基盤技術を活かしつつ、新分野へ事業展開を行ってきた(以上は、日本経済新聞2010年1月27日記事を参考)。
この2つの事例から中小企業製造業が国内で生き残るには、蓄積されてきた技術を活かしつつ、特長のある新材料の実用化、ニーズの見込める新市場への進出などが不可欠であろう。その際、実用化までは長い年月がかかることは覚悟しなければならない。
自社にとって、どのような新事業・新分野がありそうか。簡単には探せないかも知れない。ヒントは、例えば、「元気なモノづくり中小企業300社」、「戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン)」認定企業などを参考にしていただきたい。
ムゲン経営研究所 中小企業診断士 特級機械技能士 中小製造業の経営革新
田中 義二 tanaka@mgein.com










