「下請けの罠「顧客志向」が視野を狭める」と題して、5月20日(金)朝日新聞に一橋大学商学部長の沼上幹先生の記事が見に留まった。
私なりに要約すると、優れた技術を持っていながら利益を出せない下請企業は、顧客の言い分を尊重する顧客志向、新市場未開拓の待ちの姿勢で、顧客を選べられない点などを指摘している。
バブル崩壊までの高度成長時期までは、下請企業は待っていても仕事が入ってきた。営業担当者をおく必要もなかったよき時代が長く続いた。需要が供給を上回っていた時代である。
今日の下請企業が厳しい経営環境に置かれているのは、需要と供給の関係が逆転したことに起因する。その要因は、量産工場が海外へ移転、外国製品の国内流通、国内の人口減に伴う需要の減少である。
技術的優位性を考えてみると中国企業などにも最新の高性能工作機械が導入され、技術格差が日本企業と少なくなっている。ノウハウの蓄積の効果はそれほど大きいものではないと推察する。
さて、話しを国内下請企業に戻す。なぜ顧客志向か。「無理難題、厳しい値引きに安易に屈する」沼上先生は指摘しているが、その背景にあるのは需要が少ないところにある。日本企業同士が競争関係にある。客を選べないのは、仕事が無いから。無理難題を聞くのは、受注ができないからである。
結局、少ない発注案件をいかによい条件で受注するか。それには、自社の顧客の期待に応えられる強みを顧客にみえるように積極的に開示することである。公開企業はIR情報を発信する。下請企業はもっと、自社の外から見えない裏の強み、深層の強み、製品の陰に隠れている強み、ノウハウなどを開示し、受注を拡大すること。経済産業省、中小企業基盤整備機構が推進している「魅了発信レポート」を作成し、自社のホームページで開示されることを期待する。
6月から化粧品の量産設備の設計・製作に強みを持っているS社に対し、魅力発信レポート作成の支援が計画されている。
ムゲン経営研究所 中小企業診断士 特級機械技能士 中小製造業の経営革新
田中 義二 tanaka@mgein.com










