福田の雑記帖

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医療事故調査の新制度(1) 謝罪会見等の白衣姿は失礼である

2015年11月16日 07時34分27秒 | 医療、医学
 10年越しの論議ののち医療事故調査制度がまとまり10月から始まった。
 医療事故調の新制度は、ざっと言って、(1)調査対象は予期せぬ死亡事故に限定、(2)調査を始めるかは医療機関が判断、(3)調査結果の書面による説明は義務化されず、などと医療側に優位に見えるが、この制度は責任追及のためではなく、再発防止に主眼が置いた制度である。新制度の発足としては私はまずいい制度だと思う。

 最近医療に関する不祥事が多く、新聞TVなどで病院管理者が謝罪する場面に遭遇する。最近話題になった代表的例は、東京女子医大で鎮静剤の不適切投与、群馬大学の腹腔鏡手術、国立国際医療センターの造影剤脊髄腔注入事件などがある。
 
 これらの場合、病院管理関連者たちが記者会見を開いてメディアを前に内容を公表、内容によっては謝罪する。そこでいつも気になるのが会見の場での医師たちの白衣姿である。私は、医師にとって白衣は診察するときの作業衣だと思っている。学生時代に白衣姿で院外に出てはいけない、白衣は不潔である、と指導された。

 私は謝罪などの会見の場には白衣で出るのをやめるべきと思う。あくまで白衣は作業衣であり、医師の正装ではない。作業衣を来てフォーマルな場に臨むのは、社会人として失礼だと思う。公式な会見では背広にネクタイというフォーマルな服装でお願いしたい。そうでないと伝わるべき内容も軽くなる。メディアを前にしての会見は決してメディア対策ではない。メディアを介して社会へ向けてメッセージの発信である。それを作業衣のまま行うというのは社会に対して失礼である。

 医師の白衣姿は時代と共に変わってきている。いわゆる古典的な白衣、今でも中年以降の医師に汎用されている。次に登場したのはベン・ケーシースタイルと呼ばれた上半身だけの半袖の白衣。ベン・ケーシーと言われても今の世代の人には通じないだろうが、簡単に言えば床屋さんスタイルに似たタイプ。次はその発展型というか、色調はいろいろあってもはや白衣とは言えないが、一見パジャマ風のタイプ、などに変わってきた。白衣は診療するときの作業衣であることを考えると、この変化は医師の業務の機能性向上から見ても納得できる変化である。

 私は原則として白衣は着用しない。かつて大学にいた頃は診療よりも実験室にこもる方が長かった。実験室では白衣を必ず着用した。血液とかで汚れるし、逆に汚れた手を拭く手ぬぐい代わりでもあった。白衣は2着用意し、診療時には着替えた。
 中通総合病院では、白衣を着用しなかった。通年半袖のYシャツ姿である。通常の内科の診察では白衣を必要とするほど汚れることはないし、汚れが予想される状況ではガウンを着た。

 人は外見で判断される。患者から見た医師像は、マンガ的に表現すると、白衣、聴診器、額帯鏡であろうが、私は白衣はまとわりついて嫌だったから用いなかった。
 現在の病院に赴任した当初、白衣を着なかったことで一悶着あった。

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