銅版画制作の日々

ゆっくりと更新して行きます。TB・コメントのお返しが遅くなると思いますが、宜しくお願い致します。

シリアの花嫁◇The Surian Bride

2009-03-29 | 映画:ミニシアター

 もう二度と帰れない。
               それでも私はこの境界を越える。

3月27日、上映最終日に京都シネマへ・・・・。ようやく鑑賞できました。「キャラメル」同様、この作品も中東のお話。地図を見ると、レバノンのベイルートは本当に近いです。

 ←ゴラン高原の場所はシリアとイスラエルの国境に位置する。クリックすると大きくなります。

物語

イスラエル占領下のゴラン高原、マジュダルシャムス村。今日は村の娘モナが、親戚にあたるシリアの人気俳優タレルに嫁いで行く日。モナは純白のドレスを手に、結婚式の準備のため、姉のアマルとともに村の美容院へと向かう。

妹の結婚式に出席するため、海外にいた兄たちも帰ってくる。長男のハテムはロシア人女性と結婚してロシアに渡ったため勘当の身だ。妻と息子を連れて8年ぶりの帰郷となる。次男のマルワンは商売をしているイタリアから戻って来た。

 

モナの父親のハメッドは親シリア派で、ずっと政治運動をしてきた硬派だ。そのため、イスラエル警察から睨まれていた。今日はシリア新大統領を支持するデモが行われる。長女アマルは、父を結婚式に出席させるため、デモに参加しないよう頼むが聞き入れない。

ゴラン高原、国連事務所、国際赤十字のスタッフであるジャンヌが、今日のモナの結婚式について同僚と話している。

花嫁は“境界線”を越えたらシリア国籍が確定し、イスラエルへの入国は不可能になる。そう越えたら最後なのだと・・・・・。

ウェディングドレスのモナは人々の祝福を受けるが、悲しげな顔をしている。モナはアマルに結婚への不安を打ち明ける。たとえうまくゆかなくても、もう村には帰れない。アマルは妹にやさしく励ますのだった。

そんな中、ハテム一家が実家に到着。息子の8年ぶりの帰郷に母は感涙にむせび、家族は再会の喜びでいっぱいだ。父ハメッドを除いては・・・・・。

村では花嫁側だけのパーティが盛大に始まった。花婿側は“境界線”の向こうにいるため、こうした形になる。

宴が終わると、いよいよモナは祝福されながら家を出発!モナ一家は“境界線”に到着。

ところがそこへ、父を連れ戻そうとイスラエル警察がやって来た。


状況を理解して欲しいと話す父の訴えを聞こうとしない警察。

その時、長男ハテムの助けで、渋々で警察は、今回は見逃すと。

父は娘の見送りをすることが許される。

 


“境界線”を今まさに越えようとするモナ。

いよいよモナの手続きが行われることに。手続きを行う係官も到着し、彼女の通行証にイスラエルの出国印が押される。

国際赤十字のジャンヌがモナの通行証を持ってシリア側へ行くが、ここで思わぬトラブルが発生する。


出国印を見たシリア側は、入国が認められないと言う。何で?


ジャンヌはモナの入国が認められないことを、イスラエル側に伝える。電話で問い合わせるも、休日のためどうにもならず・・・・・。

ジャンヌは行ったり来たりを繰り返し、何とか手を尽くすが・・・・。

果たして花嫁モナは、無事に境界線を越えて嫁げるのだろうか??

 

国、宗教、伝統、しきたりなど、あらゆる境界にはばまれ、もがいていた。そんなモナは決意を胸に“境界線”へと向かう。家族愛、未来へ踏み出そうとする姉妹の姿が印象的である。姉アマルも進学という道を選択。

次男マルワンが帰国した際、提示したパスポートに記されていたのは、彼の国がない、つまり無国籍だということは気になっていた。本作はゴラン高原のマジュダルシャムス村のイスラムの少数派とされるドゥルーズ派の一家の結婚式の一日に焦点があてられている。もともとシリア領だったこの地、1967年の第三次中東戦争でイスラエルが占領したそうで、この地域の多くの人たちはその結果、“無国籍者”となってしまった。そのため、新たに引かれた“境界線”の向こう側にいる肉親との行き来きさえも不可能にされているのである。

パスポートは身分証明の大事な書類だけれど。紙切れひとつの判断で、人の人生が振り回されるのは、何と悲しいことだろう。ジャンヌの必死な努力も報われず、腹立たしさをヒシヒシと感じる。


カメラマン アリクとモナは、シリア側にいる新郎タレルを見つめている。

結婚するために、境界線の向こうに行くにはこんなに労力がいるのですね。


ひたすら待ち続ける新婦モナ。

 


偶然開いた門から、彼女はシリアに向かって歩き出す。何も怖いものはないかのように・・・・。笑顔を見せ、彼女は自らの判断で“境界線”を越える。自分の生きる道を自ら選んで・・・・・。

キャスト

 姉アマル役 ヒアム・アッバス

 

 父ハメッド役 マクラム・フーリー

 

 妹モナ役  クララ・フーリー

 

 監督エラン・リクリス

脚本 スハ・アラフ

メディア 映画
上映時間 97分
製作国 イスラエル/フランス/ドイツ
公開情報 劇場公開(シグロ=ビターズ・エンド)
初公開年月 2009/02/21
ジャンル ドラマ

イスラエルに占領されて以来、シリア側と分断状態にあるゴラン高原の小さな村を舞台に、政治に翻弄される花嫁とその家族の運命を描くヒューマン・ドラマ。主演は「パラダイス・ナウ」のヒアム・アッバス。監督は「カップ・ファイナル」のエラン・リクリス。
 イスラエル占領下のゴラン高原、マジュダルシャムス村。もともとシリア領だったこの土地に暮らす人々にはイスラエルの国籍を取得する権利が与えられているものの、大半の人々はシリアへの帰属意識を強く持ち、“無国籍者”として暮らしていた。そんなある日、村の娘モナの結婚式が行われようとしていた。彼女は境界線の向こう側、シリアにいる親戚筋の人気俳優タレルのもとに嫁ぐのだった。めでたいはずの結婚式。しかし花嫁の表情はすぐれない。なぜならば、境界線を越えて嫁ぐということは自動的にシリア国籍が確定してしまい、二度とイスラエル側にいる家族とは会うことが出来ないということを意味していたのだった。(all cinemaより)

オフィシャル・サイト
http://www.bitters.co.jp/hanayome/

 

 

 

 

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中東 (かえる)
2009-03-30 00:24:58
こんばんは。
レバノンに続いて、イスラエルに占領されたシリアの物語というのもまた興味深かったですよね。
境界を描いた映画って大好きなんですが、これもすばらしい作品でした。
そう、無国籍という表示にはビックリです。
(レヴューは明日書く予定でーす。)
国境 (sakurai)
2009-04-11 10:46:03
なんてものも、人間が作り出した厄介なものですが、なんだか見てて、政府のやったことが、滑稽に思えてきました。
見栄の張り合い以外の何物でもないような気がしますがね。
きっと男の世界の論理なんですよね、まったくもうですよ。
その中で、あの姉妹の凛とした様子がものすごい勇気を感じさせました。
素晴らしい一本だったと思います。

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