indigo rain

気まぐれなおはなし。

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Holy Light

2016-12-24 18:02:05 | SS



「うわぁ、とってもきれい!」

「ほらね、やっぱり来てよかっただろ?」

「ええ、イルミネーションがこんなに綺麗なものだとは思わなかったわ。連れて来てくれてありがとう、まこちゃん」

時は12月24日。今日はこの後、火川神社でみんなとクリスマスパーティーをする事になっているのだが、その前に亜美ちゃんと二人で十番街のイルミネーションを見に来たのだ。
そして隣にいる亜美ちゃんはというと、街を飾っている色とりどりの光を見ては、いたく感動しているようだった。

それもそのはず。水野亜美という人間は、本当に私たちと同じ時代を生きているのか疑ってしまうほど、カレンダーに興味がない。中学生であればウキウキのイベントであるはずの''2月14日''だろうが''10月31日''だろうが、彼女にとってはお勉強をするための''24時間''でしかないからだ。世間一般ではクリスマス・イブと呼ばれている今日でも案の定、彼女は勉強をするつもりだと言っていたのだが、「今年のクリスマスのたった一日くらいはみんなで一緒に遊ぼうよ」と数の力で強引に丸め込んだのだ。

「それにしても、本当に綺麗だわ。普段過ごしている街でも、色が変わるとまるで違う街の様に見えるわね・・・」

「本当だね・・・ついこの前のさ、亜美ちゃんが塾で来れなかった日の集まりがあったろ?あの時もみんなでここに来たんだけど亜美ちゃんの言う通りでさ、違う街に来てるみたいだったよ」

「あの日はどうしても休めない授業だったのよ、ごめんなさい・・・そういえば、今までこの時期は塾の冬季講習とかがあって、街をゆっくり見る時間なんてあまり無かったわね・・・こんなに綺麗だったなんて知らなかったわ」

「やっぱりね。亜美ちゃんってば、きっと今までお勉強ばっかりで、こういうの見たこと無いだろうなと思ってさ。亜美ちゃんにも見せてあげたいって思ってたんだ」

「嬉しいわ・・・ありがとう、まこちゃん」

「ふふ、どういたしたまして」


『普段過ごしている街でも、色が変わるとまるで違う街のように見える』

ふと、さっきの亜美ちゃんの言葉が思い浮かんだ。

確かに違って見える。亜美ちゃんがいなかったあの時・・・4人で来た時は確かにいつも暮らしている街とは違って見えた。イルミネーションという名の下に、街全体がいつもとは異なる色で、色彩豊かに光っていてそれはそれは綺麗だったと思う。
でもそれとも違う。今、私の目に映っている街の色は、普段過ごしている街の色とも、4人で来たあの日の街の色とも確かに違うのだ。

今日もあの日と同じ様に、街は光っているはずなのに・・・


「・・・そろそろ行かなきゃね。亜美ちゃんと一緒に来れたし、私は満足だよ」

「そうね・・・本当はもう少し見ていたいけれど、みんなを待たせるわけには行かないものね」

亜美ちゃんは目を輝かせながら、煌びやかな街を心の底から楽しんでいる様に見える。

でもなぜだろう。

赤、緑、黄色と、街はこんなにも鮮やかに染め上げられている。
今日もあの日と同じ様に、街は光っているはずなのに。


私にはあの時みんなで来た時よりも、今はこの街がずっと暗く、冷たく見えて・・・モノクロの世界に来たような感じがするのは。
まるで色が無くなった世界に来てしまったような気がして、今日のこの街を見ても私は心を揺さぶられなくて、ちっとも綺麗だと思えないのは。


もしかしたら、きっとそれは、今の私の隣にこの街なんかよりも、遥かに輝いている光があるからかもしれない。私の隣にいる亜美ちゃんは、どんな色の光にも絶対に負けない輝きを持っているんだ。
この街が束になって光って見せても、私の隣の蒼い輝きの前には成す術も無く、色を失くしていく。
それほどに、私にとって隣にいる光は、大きくて眩しくて、温かくて優しくて、そしてずっとずっと愛しい光なんだ。


「まこちゃん、本当に綺麗ね」

「うん。綺麗だよ、亜美ちゃん」


いつまでも光っていて欲しい。例えこの街が全ての色を失くしても、私の隣でずっと。















メリーメリークリスマス!
botの子たちもレイちゃん家でクリスマスパーティーするみたいです。
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