外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

難民支援協会で出会った外国人たち

2017-08-10 18:26:53 | 日本における中東

先日、四谷の難民支援協会で約3時間過ごした。

相談に出かけるトルコ系クルド人の付き添いで(日本語ができず、行き方がわからないというので)行ったのだが、向こうでの面接ではトルコ語通訳が用意されていて、付添人は同席できないシステムになっているので、その間は狭い待合スペースで、支援を求めに来た外国人たちと共に待つことになった。

難民支援協会で働いている人たちは、絵に描いたようなフレンドリーな笑顔で、皆とても感じがいいので、いつも感心する(といっても、あそこに行くのはこれが2度目)。小テーブルにはクロワッサン他の美味しいパンが並べられ、水やコーヒー、紅茶はセルフサービス。生活に困っている難民申請希望者などは、食べ物や衣類、せっけん等の必需品がもらえ、お腹がすいていれば食事が提供される。この日は、肉のシチューっぽいやつをご飯にかけたものを食べているアフリカ系移民を見かけた。非常にいい匂いだった。魚のシチューも選べたようだ。子供にはオモチャも貸してくれる。

単なる付き添いの日本人の私は、さすがにそういうものをいただくわけにはいかないので、なんとなく肩身が狭い気分を味わいつつ、周りの人の話を聞いて暇をつぶしていた。(さすがに3時間はつぶしきれず持て余したが、猛暑日だったので外に出たくなかった)

今回私がおしゃべりしたのは3人の男性。1人目は50代くらいのフランス出身の男性で、奥さんは日本人だと言っていた。彼とは英語で話した。英語を使ったのは久しぶりだ。彼はインポートの会社を設立するそうで、翌日必要書類を役所に出す予定だが、内容の意味がわからないので、大まかに英語に訳して説明してもらいに来たという。ええっと、それって難民支援協会に頼むことなのか?本人の話を聞く限り、難民でも難民申請者でもなさそうだったが、通りかかるスタッフの全員に親しげに挨拶していたので、たぶんあそこの常連なのだろう。周りの人々に過剰なまでに気配りしているところといい、落ち着きのない様子といい、英語があまりできないと言っている私に、会社設立文書を口頭で訳してくれと頼みこみ、「資本金の0.7%の税金(登録免許税)がかかると書いてあるよ」と教えてあげたら「7%か、なるほど。サンキュー先生!」と納得する様子といい(0.7%だと繰り返してもわかってくれなかった)…なにか不安感を掻き立てる人物だった。彼は会社を作らない方がいいのでは。

そのフランス人が去った後、30代とおぼしきムスリムのチュニジア人男性が登場したので、彼とも少し話した。というか、彼がずっと話して、私はたまに相槌を打つ程度だったが。彼は地中海沿岸のなんとか市(地名って覚えられない)の出身で、ありがたいことにきちんとしたフスハー(アラビア語の標準語)を話した。彼は自分の境遇については何も説明しなかったが、「チュニジアの経済はどうですか」と質問してみたら、主観を色濃く反映しつつ自国の状況について雄弁に語った。その内容を要約するとこんなかんじ:

チュニジアは、ジャルバ島にユダヤ教徒が毎年巡礼に来るなど、宗教的に寛容な国だ。ハビーブ・ブルギーバ大統領の時代に大きく発展し、一夫多妻制が廃止されるなど、女性の地位等も飛躍的に向上した。しかし、近年「革命」という名の下で行われたクーデターの後、国の状況は悪化し、真のイスラムとは無関係なナハダ党の「イスラム主義者」らがのさばって、国民の自由を制限し出した。ナハダはムスリム同胞団と繋がっており、ISやアルカイダと同様、テロ集団だ…(極端な意見だが、議論するのも面倒なので、私はあえて口を挟まなかった)

最後に話したのは、日本に来て間もないというバングラデシュ人の真面目そうな若者だった。彼は流暢な英語を話した。キリスト教徒だというので、「バングラデシュにもキリスト教徒はけっこういるの?」と聞くと、彼は首を振った。「いや、自分以外のキリスト教徒は知らない。家族は僕以外は全員ムスリムで、僕だけ改宗したんだ。イスラム絡みの暴力事件に嫌気がさしたから」

帰国したら命を狙われるので、ここに根を下ろすために難民申請するつもりだという。「バングラデシュ人と接するのは危険なので、避けて通っている。誰にも会いたくない」というので、「日本は大丈夫なんじゃないの?」と私が言うと、彼は「いや、ここも安心できない。日本にはなにしろ、ジャパニーズ・バングラディシュ人のISのアミールがいるからね」と真剣な顔で言って、これが証拠だと言わんばかりに、待合室に設置されたパソコンで検索して、そのアミール(日本地区責任者?)とやらについての英語のニュースを見せてくれた。

こういう記事。未確認情報多そう。その人は日系じゃないし、日本にもういないのでは…
http://www.dhakatribune.com/bangladesh/crime/2017/07/30/ozaki-no-connection-new-jmb/

その後、彼は面接に呼ばれて行ってしまった。それからは話し相手もなく、本を読みながら永遠に続くかと思われるクルド人の面接が終わるのを待った。

そういうわけで、難民支援協会はとても興味深いところなんですよ。(強引な話の締め方ですいません)



では、例によって記事に無関係なネコ写真をどうぞ







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