言語空間+備忘録

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鉄道と自動車、どちらが効率的か

2010-08-26 | 日記
山養世 『道路問題を解く』 ( p.190 )

 しかし、エネルギーや環境の面から見て、電車が自動車より常に優れているとはいい切れません。満員電車に乗るのは苦痛ですが、乗客一人当たりのエネルギー消費は、自動車よりもはるかに少なくなります。
 でも、当たり前の話ですが、電車に乗る人数が少なくなれば、こうした環境への優位性は減少します。一両に数人しか乗らない電車の乗客一人当たりのコストと環境負荷は巨大です。電線に通しておく電気、沿線での照明、信号機、さらに駅や線路のメンテナンス、掃除、洗車、駅員や乗務員のコストがかかります。人口密度の低い地域では、鉄道よりも道路のほうがはるかに維持コストは低いのです。乗客が少ない地方のローカル線が廃止に追い込まれ、住民の足が自動車だけになっていったのも、自動車よりも電車のほうが、乗客一人当たりではるかにコストがかかるからです。
 日本人全員が大都市に住んで電車に乗り、それ以外の地方に住まなければ、国全体のエネルギー問題や環境問題は改善するでしょう。でも、そのときの日本は、耐えがたい過密の大都市の外には、無人の廃墟と原野しかない国土になるでしょう。こんなことは願い下げです。
 そうなると、一定以上の人口密度のあるところでは、できるだけ電車を使い、それ以下の密度のところでは自動車を使うという現実を前提に、できるだけの改善を図るべきでしょう。やはり、ヨーロッパの多くの国のように、高速道路は長距離や都市間の移動に使い、たとえ地方都市でも、中心市街地は路面電車、自転車、徒歩などを主体とした交通を中心にすべきでしょう。さらに、自動車の害であるエネルギー消費、環境汚染、交通事故などの改善に、より多くの資源を投入すべきです。
 そのうえで、国全体の交通の最適化を図るべきです。
 貨物輸送でいえば、北海道から九州といった長距離では、電車や船を使った輸送が合理的です。インターモダルという仕組みを使えば、貨物列車からトラックへの移し替えも簡単ですが、日本では進んでいません。空港や港から鉄道や高速道路への接続も改善すべきです。地方空港に海外から来たお客さんが、高速道路や鉄道にすぐに乗れなくては、海外との観光やビジネスの展開はうまくいきません。


 一見、電車は自動車よりもエネルギー消費が少なく効率的であるかに思われるが、それは都会に限っての話である。地方においては、電車よりも自動車のほうが効率的である、と書かれています。



 この話、なるほどと思いました。私は一度に大量の人員・物資を運べる鉄道は、自動車に比べて効率的であると思っていましたが、それは乗客や貨物が多い場合にしか成り立ちません。したがって、私が「高速道路無料化論」で述べた、高速道路を無料にすれば鉄道利用者の一部は自動車利用に切り替えるので、かえってエネルギー消費が増える、環境にやさしくない、という主張は、都市部の状況を前提にしており、誤りであるということになります。

 もっとも、この話は、地方における電車・汽車の本数 (1日何本走っているのか) にもよることはあきらかです。電車・汽車の本数を減らせば、電車・汽車 1 本あたりの乗客数は増えます。しかし、地方の人には地方の人なりの事情があり、数少ない電車・汽車の出発時刻まで「何時間でも待てばよい」とは言えないでしょう。また、あまりに本数が少ないと、乗客は自家用車やバス利用に切り替えると予想されます。

 したがって、「地方においては、鉄道よりも自動車のほうが効率的である」という主張は、方向性としては、間違っていないと思われます。



 とすると、「高速料金の最適化」を図り、地方の高速は無料にするが、都市部の高速は有料を維持するという方向性は、エネルギー消費・環境問題改善の面で、正しい方向を指し示している、と考えてよいのではないかと思います。



 なお、長距離輸送について、高速道路無料化が鉄道にもたらす影響については、次の報道が参考になります。



YOMIURI ONLINE」の「高速無料化、JR特急の乗客数が最大14%減」( 2010年8月12日21時32分 )

 全国の37路線50区間の高速道路で始まった無料化の社会実験で、対象区間と並行するJRの特急の乗客が前年同期比で最大14%減少したことが、国土交通省のまとめでわかった。

 6月28日の実験開始からの1週間を対象に、JR北海道、四国、九州の3社の特急の乗客数を前年同期と比べた。休日は、北海道のJR函館線(滝川―旭川、「オホーツク」など)と宗谷線(旭川―名寄、「スーパー宗谷」など)がともに14%減となるなど、12区間のうち11区間で前年同期を下回り、5区間は10%を超える大幅な減少となった。平日も11区間で乗客が2~10%減った。

 無料化された高速道路の交通量は、実験前に比べて平均2倍程度に増えており、社会実験は開始前から、競合する交通機関の経営を圧迫する可能性が指摘されていた。ただ、前年との天候の違いの影響もあるとみられ、国交省は交通量のデータ収集と分析を続けるとしている。


 JR北海道、四国、九州の3社について、高速道路無料化実験の期間中、「対象区間と並行するJRの特急の乗客が前年同期比で最大14%減少した」と報じられています。



 本州 (大都市周辺) はどうなのか、この記事のみではわかりませんが、

 北海道・四国・九州 (つまり地方) では、鉄道に及ぼす影響は最大で、マイナス 14 %程度であることがわかります。



 この数字をどう読むか、それが問題ですが、これについては、ゆっくり考えたいと思います。
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