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奨学金制度の問題点

2010-08-30 | 日記
47 NEWS」の「申請者全員に無利子奨学金 文科省方針、2万6千人増」( 2010/08/29 17:23 )

 文部科学省は29日、所管の独立行政法人「日本学生支援機構」が大学生らに貸与する無利子奨学金の2011年度の対象者を、本年度より約2万6千人増やし、基準を満たす学生が申請すれば全員が受けられるようにする方針を決めた。有利子奨学金の対象も約8万人増やす。

 深刻な不況を背景に、奨学金の希望者は増加傾向にある。しかし、親の所得制限や成績による基準を満たしても、利用者枠の不足から無利子奨学金を受けられない申請者が毎年2万6千人ほどいて、有利子を利用せざるを得なかった。

 文科省は本年度から始まった高校無償化に続き、大学などの高等教育も学生の負担を大幅に減らしたい考え。来年度予算の概算要求に約1330億円を盛り込むが、厳しい財政状況の中、財源確保が課題になりそうだ。

 文科省によると、10年度の無利子奨学金の貸与者は約35万人、有利子奨学金は約83万人で、計約118万人が利用。対象者増で来年度は計130万人程度になる。


 文部科学省は、「日本学生支援機構」が大学生らに貸与する奨学金の対象者を、無利子奨学金・有利子奨学金ともに増やし、基準を満たす学生全員が受けられるようにすることにした、と報じられています。



 「親の所得制限や成績による基準を満たしても、利用者枠の不足から無利子奨学金を受けられない申請者」が多数いる、とのことなので、適切な措置だと思います。



 しかし、奨学金の貸与条件として、「親の所得制限」が掲げられているところが気になります。奨学金には、大学生以外に対するものもありますが、次に、代表的な奨学金として、大学生に対する奨学金の貸与要件を例示 (引用) します。


独立行政法人日本学生支援機構」の「大学で奨学金の貸与を希望する方へ


第一種奨学金(無利息)

(中略)

家計基準:家計の基準額は、世帯人員によって異なります。
本人の父母又はこれに代って家計を支えている人(主たる家計支持者一人)の収入金額が選考の対象となりますが、4人世帯の収入・所得の目安はおよそ次の金額以内です。

<4人世帯の収入・所得の上限額の目安>
給与所得者    882万円  源泉徴収票の支払金額(税込み)
給与所得以外   396万円  確定申告書等の所得金額(税込み)

(中略)

第二種奨学金(利息付)

家計基準:家計の基準額は、世帯人員によって異なります。
本人の父母又はこれに代って家計を支えている人(主たる家計支持者一人)の収入金額が選考の対象となりますが、4人世帯の収入・所得の目安はおよそ次の金額以内です。

<4人世帯の収入・所得の上限額の目安>
給与所得者   1,134万円  源泉徴収票の支払金額(税込み)
給与所得以外   648万円  確定申告書等の所得金額(税込み)


 奨学金の貸与要件として、上記家計基準を満たすこと (上記金額以内の家計収入であること) が定められています。



 奨学金の貸与要件に、なぜ、家計基準が存在しているのでしょうか。このような基準は、本来、いらないはずです。このような要件が定められている根拠として考えられるのは、

   親の収入が一定以上であれば、親が直接、子供の学費を支出すればよい

という考えかたではないかと思います。

 しかし、世の中には、さまざまな家庭があります。たとえば、「親の収入が一定以上であり、子供の学費を支出する経済力を有しているが、わざと、親が子供の学費を負担しない場合」、その子供は、どうすればよいのでしょうか? つまり、

   親の、わが子に対する嫌がらせ、虐待のケース

です。

 このような場合、なまじ、親に経済力があるために、子供は奨学金を受けられず、ピンチになってしまいます。場合によっては、その子は、一生を棒に振ることにもなりかねません。「そのような場合には、子供自身に問題がある、したがって奨学金を貸与する必要はない」という考えかたもありうるとは思いますが、虐待というものは、「親の側に非がある」と考えるべきではないかと思います。すくなくとも「虐待」と判断される場合には、親に非があり、子供に非はない、と考えるべきだと思います。

 もちろん、奨学金を貸与する機関が、「虐待の有無」を判断したりしていては、手続に時間がかかりますし、煩に耐えません。そもそも、奨学金を支給する機関に、そのような判断能力があるのかも、問題になりうるところです。

 それではどうすればよいのか、といえば、

   たんに、家計収入 (親の収入) は一切問わずに、奨学金を貸与すればよい

のです。

 どのみち、最終的には、その奨学生が社会に出たあと、その (元) 奨学生自身が奨学金を返済するのです。したがって、親の収入を問わず奨学金を貸与することに、特段の問題は存在しないと思います。ありうるとすれば、奨学金が返済されないリスクですが、奨学金には、保証人 (または機関保証人) が要求されている以上、このようなリスクを問題にする必要はないでしょう。



 なお、弁護士の小倉先生は、司法試験に合格し、司法修習を受けようとする者が修習資金の貸与を受けるに際し、自然人、または「最高裁判所の指定する金融機関による保証」が要求されている点を捉え、



la_causette」の「保証審査の基準

 これを見る限り、オリエントコーポレーションは、機関保証の申し込みをした個々の司法修習生について、保証審査を行い、これに合格しない修習生に対しては、機関保証をしないつもりのようだ。最高裁は、その場合に自然人の保証人を立ててくださいとしているが、自然人の保証人が立てられないからこそ2.1%の保証料を支払うことを覚悟して機関保証の申請を行うのだ。その審査をパスしなかったからといって、自然人の保証人が立てられる可能性は低い(もちろん、お小遣い稼ぎで保証人を務めようという人を斡旋する組織はあるのだが、未来の法曹がそういう組織と関与することの当否は十分考えるべきである。)。

(中略)

修習期間中の生活費について貸与を受けることができず、結局修習を受けることを断念せざるを得ないとしたら、それはまさに本末転倒といわざるを得ない。


 司法修習生が機関保証を受けられない場合、問題が生じうる。修習を受けることを断念せざるを得ないなら、本末転倒といわざるを得ない、と指摘し、



 司法修習生に対する修習資金貸与制の問題点を指摘されていますが、

 同様の問題は、(司法修習生以外の) 一般の学生に対する奨学金についても存在しています。



 小倉先生の指摘には説得力がありますが、一般の奨学金についても (さらに、両者のバランスについても) 、あわせ、考慮が必要だと思います。
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