言語空間+備忘録

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中国では資本がタダ?

2009-12-11 | 日記
田代秀敏 『中国に人民元はない』 ( p.49 )

「中国の政治は一党独裁の社会主義だが経済は資本主義だ」 という意見を、しばしば耳にする。最近は、「中国は日本より資本主義的だ」 とまで言ってのける者もいる。
 たしかに、日本は 「いざなぎ景気を超えた」 にもかかわらず景気回復の実感は薄く、東京証券取引所の新興市場マザーズは株価指数が半分以上も下落した。それに対し、中国は四年連続で一〇%以上の経済成長を達成し、上海証券取引所の総合株価指数は二倍以上も上昇して、株式上場時価総額は八割近くも増加した。これでは、どちらが資本主義なのか、わからない。
 しかし、中国の経済には、資本主義らしからぬ特徴がある。それは資本が無料であるということだ。
  高名な経済学者の小宮隆太郎教授は、一九八〇年代の中国経済を分析し、「投資急増、経済過熱の事態が生じたのは、(中略 本の著者による省略) 投資主体にとって 『資本』 がタダ ( 無料 ) であったことに基づくところが大きい」 と述べた。この指摘は現在もそのまま当てはまる。

(中略)

 中国で資本がタダであることを如実に物語るのは、外貨準備の利用の仕方である。
 前年を七割以上も上回る貿易黒字の急増を背景に、中国の外貨準備高は昨年一月に日本を抜いて世界一となり、一〇月には一兆ドルの大台を突破し、年末には一兆六六三億ドルに達した。米国財務省の発表によれば、二〇〇六年一二月時点での中国の米国債保有高は三四四九億ドルだが、中国社会科学院金融研究所の研究員によれば、そのおよそ三分の二つまり約七〇〇〇億ドルが米国財務省証券 ( 以下、米国債 ) であるという。いずれにせよ、日本の保有高の六四一一億ドルの半分から一・一倍くらいの金額の米国債を、中国は保有しているのである。
 この中国にとって虎の子である外貨準備高の米国債のうち合計六〇〇億ドルが、現金化されないまま、四大国有商業銀行のうちの三つである中国銀行、中国建設銀行、そして中国工商銀行に、資本として注入された。そのお陰で、国有企業の赤字補填のための政策的な融資によって累積した不良債権が帳簿から消え去り、めでたく三行は上場した。その成果は冒頭で述べた通りの大成功であった。
 しかし、外貨準備の米国債は中央銀行である中国人民銀行の資産を、国有とはいえ商業銀行に資本として注入したのは、当局にとって米国債が無料の 「お札」 であることを意味している。形の上では、銀行が新規に発行した株式と米国債とを交換したというが、その株式は信認が極めて低く、しかも人民幣建てである。等価交換とはとても言えない。やはり、中国で資本はタダなのである。
 こうして、無料の資本を投資するのであるから、重複も過剰も恐れない。だから、たちまち生産能力は過剰となり、製造物にデフレ圧力が加わるが、経済成長は止まらない。その是非はともかくとして、投資する側にとって資本が無料の経済が資本主義の論理で動くとは考えられない。


 中国では、資本が無料 ( タダ ) である、と書かれています。



 資本が無料 ( タダ ) であることを示す典型例として、外貨準備の利用の仕方が挙げられています。要は、米国債 ( 米国財務省証券 ) を中国銀行・中国建設銀行・中国工商銀行に 「資本」 として注入した ( 新規に発行した株式の対価として支払った ) ことをもって、著者は、「当局にとって米国債が無料の 『お札』 であることを意味している」 と評しています。

 しかし、米国債は 「価値を有している」 のであり、「無料の 『お札』」 とは言えないのではないか、と思います。

 著者は、「その株式は信認が極めて低く、しかも人民幣建てである。等価交換とはとても言えない」 とされていますが、( 日本やアメリカの株式市場で ) 破綻しそうな会社の株式を買う投資家が存在することを考えれば、信認が高かろうが低かろうが、まったく問題になりませんし、人民幣建てであろうと、為替レート上、等価であれば ( 実際に等価だったのか、書かれていませんが ) 、まったく問題ないと考えられます。



 著者はおそらく、現金 ( 人民幣 ) で支払われていないことを、問題にしているのだと思いますが、

 日本においても、( 場合によっては ) 会社資本として、現物出資が認められているのですから、この点も、まったく問題にならないのではないかと思います。



 以上より、私は、著者の説明には説得力がないと思いますが、

 どなたか、著者の意見が正しい、とお考えであれば、ぜひ、コメントしてください。



■追記
 再考しました。注入された米国債は、「資本」 ではなく、「資産」 とすべきだと思います。したがって、著者のほうが正しいと思います。
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