言語空間+備忘録

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三島由紀夫の「生きる意味」

2010-12-19 | 日記
西部邁・宮崎正弘 『日米安保50年』 ( p.151 )

(西部) 三島事件が起きた時は、背筋がサーッと寒くなるような、本当にすごい衝撃でした。最初は、時間は随分たってからだけども、こう考えました。なぜあの方は死ぬことができたのか、と。それはすぐに分かりました。つまり、生命は所詮、人間にとって精神活動を運ぶ一つのビークル、運搬機であって、生命は精神の上に来るとは考えられない。そうでなければ絶望的な矛盾にぶつかります。我々が生きているということは他の生命を山ほど食しているわけですから。そうしたら、他の生命を食しながらなぜ生命が最も大事だと言えるかとなると、論理的に言って、人間には精神があるから、その精神という資格において他の生命を食しているとしか言いようがない。そうであれば、精神が立派であるか愚劣であるか云々を議論しなければ、人間の生命が大事だとは言えないはずです。そう考えたら、ある場合には、精神の正道を守るために生命をかけなければいけないこともあるという三島さんの説は、全く非の打ち所なく正しいということが分かってきます。


 人間の生命が大事なのは、人間には精神があるからである。したがって、人間の精神は愚劣であってはならず、立派なものでなければならない。場合によっては、精神の正道を守るために生命をかけなければならないこともある。これが三島由紀夫の考えかたであり、これは非の打ち所なく正しい、と書かれています。



 生きる意味は何か、という問いがあります。

 この問いは、もっと深刻なケースにおいては、なぜ死んではいけないのか(なぜ自殺してはいけないのか)、なぜ生きなければならないのか、という問いになってくるのですが、

 要は、生きる意味が見いだせない、人は何のために生きる(べき)なのか、と言っているわけです。



 この種の問いに対して、通常、「生命は大事である」から死んではいけない、といった答えが返されるケースが多いように思います。

 しかし、この答えには、「生命は大事だというけれど、我々は(動物など)他の生命を(殺して)食べているではないか」という反論があります。他の生命を殺さなければ生きていけない人間が、「生命は大事である」というのはおかしくないか、なぜ他の生命を殺して(食べて)よいのか、というわけです。

 これはもっともな反論で、この種の会話を(ネットなどで)見かけると、私はいつも、

   「生きる意味」を問うている人々の真剣さと、

   「生命は大事である」から死んではいけない、
              と答える人々のお気楽さ

を感じてしまいます。生きる意味を問うている人々は、「生命は大事である」から死んではいけない、などといったことは言われなくともわかっているのです。そんなことはわかったうえで、納得できない部分があるからこそ、「生きる意味は何か」と問うているにもかかわらず、「死ぬな、生きろ」と答える側が、なんとも陳腐で、表面的なことしか言えないわけです。

 これでは説得力がまるでありません。



 今回引用した三島由紀夫の意見は、この問いに対する明快な答えになっていると思います。

 三島によれば、人間の生命は大事である。動物の生命も大事である。しかし、人間には精神がある。精神は生命よりも大事であるから、人間は生きるために他の生命を殺して(食べて)もよいのである、ということになります。

 もちろんそこには条件があって、だから人間の精神は立派でなければならず、人間は精神を立派に保ち、精神を向上させるように努めなければならない。場合によっては、精神の正道を守るために生命をかけなければならない、という制約・義務が付されています。

 これは逆にいえば、愚劣な精神・ふるまいを拒否して死ななければならない場合もある、ということであり、たんに「死んではいけない」と言っているのではありませんが、

 三島の説には、強い説得力があると思います。



 これを肯定した場合、次に問われるのは「それでは立派な精神(のありかた)とは何か」ということになります。これについては、また機会があったときに書きたいと思います。



 なお、「生きる意味」について、私は私なりの答えをもっています。私の答えも、三島由紀夫の意見に近いです。
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