言語空間+備忘録

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リスクを取引する意義

2010-02-13 | 日記
池尾和人|池田信夫 『なぜ世界は不況に陥ったのか』 ( p.108 )

池田 リスクを売買するというのは、なかなかわかりにくい。日本でも指数取引をやるとき、賭博罪に当たるんじゃないかという議論がありました。オプション取引は、形式的にはゼロサムゲームです。損した額と同じだけ得した額があるわけだから、社会全体としてみると、誰もネットの得はしていない。そういうものが許されていいのか、という問題はアメリカでも議論があったでしょう。

池尾 ええ、そういう議論はありました。しかし、リスクを取引することの意義は、少なくとも三つあげられます。一つは、リスクはプールすると減るということ。1 + 1 が 2 にならないで、リスクは打ち消し合う。要するに、完全に正相関していない限り、異なるリスクを組み合わせると一部互いに打ち消し合って、全体としてのリスクの量が減るという効果が期待できます。

(中略)

 次に、リスクの量は変わらないとしても、リスクを負担する機会費用というか、リスクを負担する能力は、経済主体によって違います。換言すると、リスク許容度が小さい主体もいれば、リスク許容度の大きい主体もいます。そうすると、同じリスクに対して、そのリスクを引き受ける対価として最低限これぐらい欲しいと思う額、反対側から言うと、そのリスクを避けるために最大限払ってもいいと思う額も違ってきます。これらの額をリスクプレミアムと呼ぶけれども、各主体のリスク許容度が違うと、主観的に要求するリスクプレミアムの大きさが違うことになります。

(中略)

 リスク取引の三番目の意義は、将来に対する判断が主体によって違うため、リスクを取引することである種の情報、将来に関する判断を集約して、世の中に信号として発信する、そういう経済効果が期待できることです。資本市場がもっている情報発信機能みたいなものに寄与することになるというのが三番目の意義です。


 ここでは、リスクを売買する意義が論じられています。



 「リスクを売買する」 というのが 「モノではないもの」 の売買であるために、「まともな売買ではない」 というイメージがあるのではないかと思います。そこで、この部分を引用したのですが、

 「リスクという抽象概念」 の売買は、すでに、ほとんどの人が行っています。保険です。生命保険も損害保険も、「リスクの売買」 にあたると思います。したがって、「リスクの売買」を、「まともな売買ではない」 と考えるのは筋違いだと思います。

 したがって、「リスクの売買」 は、賭博罪には当たらない、と考えてよいと思います。



 リスクを売買する意義として、(1) リスクの組み合わせによる減少、(2) リスク負担能力の差異、(3) 情報発信機能、が挙げられています。

 このうち、(1) は、数学的に証明されていたと思います。(2) は、保険契約を考えれば、あきらかだと思います。(3) については、保険ではイメージしづらいですが、将来に対する判断が異なるからこそ、売買が成立するのであり、個々の判断を集約した価格が市場によって発信されているのですから、これも当然のことだと思われます。



 なお、(3) の情報発信機能、という観点は、「個々の経済主体が、それぞれ独自に、異なった判断をする」 ことが前提になっています。すなわち、「個々人が、自由に、自分で判断する」 ことが 「当然の前提」 とされています。

 「自由な判断」 は、資本主義社会 ( 日本社会 ) にとって、必要不可欠なものであり、日本の 「法制度の基本中の基本」 にあたります。

 したがって、「自分の判断を他者に強要する」 弁護士が存在していることに、驚きを禁じえません。日本の弁護士のレベルは、相当に低いのかもしれません ( 「正義の過信とフラストレーション」 ・ 「規制緩和は構造改革の一環にすぎない」 ・ 「行政指導は明確でなければならない」 参照 ) 。

 競争が激しくなれば、( 生き残りのために ) 弁護士のレベルも向上すると思われます。弁護士増員路線は継続し、弁護士のレベルアップ ( 質の向上 ) を図るべきだと思います ( 「弁護士増員に反対する弁護士の本音」 参照 ) 。
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