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北朝鮮問題についての米中の基本スタンス

2012-01-04 | 日記
リチャード・L・アーミテージ ジョセフ・S・ナイJr 春原剛 『日米同盟 vs. 中国・北朝鮮』 ( p.131 )

春原 さて、次に米朝対話です。オバマ政権は「対話のドアは開いている」という立場を取っていますが、キャンベル国務次官補らは「あくまでも六ヵ国協議の枠内でなら、米朝二国間対話も可能」という言い方に終始しています。今後、米朝直接対話はあり得るのでしょうか?

ナイ オバマ政権の高官たちはとても(北朝鮮に)懐疑的です。北朝鮮を全く信用していません。それは正しいことだと思います。北朝鮮は時に応じて立場をくるくると変え、その言葉も守ったことはない。つまり、オバマ政権は北朝鮮に対して極めて現実的に対応しているのです。もちろん、ある時点で米朝対話は再開されるでしょうが、その場合も東京(日本)とソウル(韓国)との調整は慎重に進めなければなりません。我々はヒル次官補の経験からも学んでいると思いますよ。

アーミテージ 今、米政府には彼らと交渉する案件などありません。いずれにせよ、オバマ大統領やキャンベル次官補にとって最も重要なことは一つだけです。それは何にせよ、韓国の李明博大統領と完全に一致し、彼の合意を取り付けることです。その間、北朝鮮が何か問題を起こそうが、洪水被害に遭おうが、飢饉に苦しもうが、知ったことではありません。(北朝鮮は)中国に助けてもらえばいいでしょう(笑)。

ナイ 中国は北朝鮮の核問題を憂慮していますが、もっと憂慮しているのが北朝鮮の崩壊なのです。だから彼らの優先事項は核問題の解決よりも北朝鮮の崩壊を回避することにあります。

春原 崩壊のシナリオには次のフェーズがあって、中国北東部に住む朝鮮系民族が一斉に蜂起して、中国からの分離・独立運動が起こるという見方もありますね。それこそ、中国にとって最も見たくない悪夢ではないでしょうか? やがて、その蜂起がきっかけとなって新疆ウイグル自治区やチベット、果ては台湾まで独立運動が燎原の火の如く広がっていく……。

ナイ はい、そうですね。

アーミテージ 真面目に言えば、中朝関係はこれからも刺々しいでしょうね。中国は北朝鮮のことをちっとも快くは思っていないからです。ただ、中国にとって「民主化した朝鮮」や、「朝鮮半島(=南北統一)」といった事態はもっと都合が悪い。そして、(在韓)米軍がより北上し、中朝国境近くにまで駐留したら、嫌がるでしょう。そう考えてみると、中国は今後も北朝鮮が繰り出す、わけのわからない行動にも耐えしのぶのではないか、と私は見ています。

春原 現状維持ということですか。それは今のような、「半・核保有状態」の北朝鮮が続くということも意味するのでしょうか?

アーミテージ そうですね。もちろん、中国は北朝鮮の核保有には反対です。しかし、朝鮮半島から核を抜き取るためには、北朝鮮情勢を不安定にせざるを得ない。それは中国にとって、もっと嫌なことになります。言い方を変えれば、核兵器を保有する北朝鮮と、統制が利かない、不安定な北朝鮮のうち、どちらを選ぶかと言えば、中国は前者を好むでしょう。

ナイ 北朝鮮による核問題の解決を中国に強く求めると彼らはこう反論します。「もし、北朝鮮が崩壊すれば、中朝国境地帯はひどい混乱に陥る。だから、我々に選択の余地などないのだ」とね。そのような姿勢だから、中国は核問題の解決を北朝鮮に求めていてもあまり成功はしていないのです。

春原 私が聞いている情報では中国人民解放軍は中朝国境地帯で密かに兵力を増やしているそうです。その兵隊のほとんどがいわゆる、朝鮮系中国人だと聞いています。

アーミテージ ある程度言えるのは、中国は北朝鮮北部の朝鮮民族との関係を強化しているということです。もし、何らかの変化が北朝鮮国内で起こった場合、中国が北朝鮮北部を統制下に置けるように、と。いわゆる不測の事態に備えているわけですね。だから、中国は北朝鮮北部に駐屯する北朝鮮軍の部隊やその周辺に住んでいる住民や民間の指導者たちとの交流を深めているのです。


 今、米政府には北朝鮮と交渉する案件などないので、北朝鮮が何か問題を起こそうが、洪水被害に遭おうが、飢饉に苦しもうが、知ったことではない。北朝鮮は中国に助けてもらえばよい。その中国についていえば、「朝鮮半島から核を抜き取るためには、北朝鮮情勢を不安定にせざるを得ない」が、中国にとっては、不安定な北朝鮮に比べれば、北朝鮮の核保有のほうが「まし」である、と書かれています。



 なぜ、不安定な北朝鮮に比べれば、北朝鮮の核保有のほうが「まし」だと中国が考えているのか、それがわからないのですが、おそらく春原さんが話しておられる内容が原因だと思います。つまり、
春原 崩壊のシナリオには次のフェーズがあって、中国北東部に住む朝鮮系民族が一斉に蜂起して、中国からの分離・独立運動が起こるという見方もありますね。それこそ、中国にとって最も見たくない悪夢ではないでしょうか? やがて、その蜂起がきっかけとなって新疆ウイグル自治区やチベット、果ては台湾まで独立運動が燎原の火の如く広がっていく……。
という可能性です。

 このことを前提に考えれば、おそらく中国は、今後、金正恩体制の安定化へと動くと考えられます。中国は北朝鮮における権力継承に協力する、ということです。



 ここで、「金正日総書記が死去」で引用した報道を見てください。といっても面倒だと思いますので、(私による)要約を再度記します。
 下記の報道(日経)では、今後の問題が述べられています。それによれば、
  1. 後継の正恩氏の権力掌握がスムーズにいくか。人民軍の統率を保てるか。
  2. 北朝鮮が今後、対外強硬姿勢をとらないか。
  3. 大量の脱北者・難民が発生しないか。暴動や略奪が頻発して社会が不安定化しないか。
  4. 核物質や核技術が拡散しないか。
  5. 日本人拉致問題はどうなるのか。
  6. 南北朝鮮間の関係はどうなるのか。
が焦点となるようです。


 日本では、北朝鮮情勢の「影響が(日本に)及ばない」ことが主な関心事になっています。つまり、日本側の発想は、完全に「受け身」になっているわけです。もちろん外国の問題である以上、「受け身」になるのは当然であるとも考えられるのですが、ここで考えてみてください。



 米国は、「今、米政府には北朝鮮と交渉する案件などないので、北朝鮮が何か問題を起こそうが、洪水被害に遭おうが、飢饉に苦しもうが、知ったことではない。」と考えています。

 中国は「自国の分裂を阻止するために」北朝鮮情勢の安定化を望んでいます。

 なぜ、ひとり日本だけが、「受け身」の発想をしているのでしょうか?



 言っていることが伝わり難いかもしれないので、別の表現で言い換えます。

 日本は北朝鮮と、拉致問題を抱えています。また、日本全土は、北朝鮮の核ミサイルの射程範囲内に入っています。

 そうである以上、日本は、「拉致問題を解決するために」この状況(機会)を利用しよう、「核問題を解決するために」この状況(機会)を利用しよう、といった発想をしてもよいのではないか、と私は言っているのです。

 北朝鮮情勢が不安定になれば、特殊部隊を派遣して拉致被害者を救出できるかもしれないし、北朝鮮が保有する核もなくなるかもしれない。

 このまま「平穏に」権力継承が進めば、そのようなチャンスは失われます。これは千載一遇のチャンスかもしれないのです。



 ここで断っておきますが、

 私は、北朝鮮情勢が不安定になったほうがよいとか、権力継承がスムーズにいかないほうがよい、とは言っていません。

 私が言っているのは、北朝鮮情勢が不安定になったほうがよい「かもしれない」、権力継承がスムーズにいかないほうがよい「かもしれない」、といった視点を持ったうえで、どちらが日本にとってよいかを考えておくべきである、ということです。

 みなさんも、そう思いませんか?



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