言語空間+備忘録

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「横暴に振る舞うな」というシグナル

2011-12-21 | 日記
リチャード・L・アーミテージ ジョセフ・S・ナイJr 春原剛 『日米同盟 vs. 中国・北朝鮮』 ( p.43 )

春原 尖閣諸島周辺で発生した中国漁船と日本の海上保安庁所属の巡視船による衝突事故は結局、日本の検察当局が異例の外交的配慮をもって、当該船長を釈放するという "政治決着" となりました。この間、中国はレア・アースの対日禁輸を匂わせたり、温家宝首相がニューヨークで「断固たる措置を取る」と発言するなど日本を陰に陽に脅す行動も見せました。
 こうした中国側の行動は日本にこれまでとは別種の、大きなインパクトをもたらしたと思います。かつて小泉純一郎首相が靖国神社への参拝を強行した際も日中関係は悪化しましたが、多くの日本人の対応は冷静でした。中国の "内政干渉" にも不快感はありましたが、同時に過去の戦争への贖罪感も手伝って全般的に感情的な対応は少なかった。しかし、今回の尖閣諸島の帰属を巡る強引な対応には多くの日本人が怒っています。事件後、中国を「悪しき隣人」と切り捨てた枝野幸男民主党幹事長代理の発言は多くの日本人の声を率直に代弁していると思います。ある意味、日本に自らの安全保障の脆弱さを見つめ直させるターニング・ポイントになっているかもしれません。

ナイ この事件について、日本はうまく対処したと思います。同時にクリントン国務長官が日本を支持する声明(尖閣諸島は日米安保条約の対象範囲という趣旨)を出したことにも満足しています。この事に関して、日本が謝罪や賠償などをする必要は一切ないと私は思います。中国は一連の行動を取ることによって、間違いを犯しました。結果的に中国の行動は周辺各国を「対中国」でまとめあげ、中国がアジア地域で強化しようとしてきたソフト・パワーを傷つけることにもなったからです。

(中略)

春原 アジア太平洋地域での海洋権益拡大を目指す中国は今や「第一列島線(九州を起点に沖縄、台湾、フィリピンを結ぶライン)」を越え、「第二列島線(小笠原諸島、グアム、インド洋を結ぶ西太平洋のライン)」も視野に入れているわけですが……。

アーミテージ それで日本はどうするのですか?

春原 とりあえず、沖縄米軍・普天間基地の「能力」も含め、米軍の前方展開戦力を堅持してもらうしかないでしょうね(苦笑)。

アーミテージ もちろん、それも一つですね。ただ、日本はもう少し、防衛費にお金をかけることもできるでしょう? 中国が軍備拡張を続けているにもかかわらず、日本は過去十年間で実質五%も防衛費を削減しています。それはいただけませんね。たとえば、憲法第九条を破棄したらどうでしょう? そうした行動の一つ、一つが中国にシグナルを送ることになるのです。つまり、「けんか腰に振る舞えば、それなりのしっぺ返しに遭うぞ」ということを伝えるのです。
 逆に日本が「(防衛費増額などは)ムズカシイ(難しい)」などと反応すれば、中国は「けんか腰の態度でも大丈夫だ」と思ってしまう。そのような展開に私は本当に苛立つのです。憲法九条の問題があることは理解していますが、ではソマリアでの(自衛隊も参加している多国籍での)海賊対策は一体、何なのですか? 憲法九条に違反すること(日本周辺での軍事力の増強など)とソマリアでの行動の一体、何が違うというのでしょうか?


 尖閣諸島沖漁船衝突事件などで、中国は日本に「けんか腰」に振る舞っている。その背景には、日本が「結果的に」このような中国の態度を許容してきた経緯がある。その中国はいまや、アジア太平洋地域での海洋権益拡大を目指しつつある。日本は中国に対して、「横暴に振る舞うな」というシグナルを送るべきである、と書かれています。



 この主張はもっともです。

 中国が「けんか腰」に振る舞っても大丈夫だと思っているかぎり、いつまで経っても、中国の態度は変わりません。

 問題は、「どのようなシグナルを送るべきか」です。



 当時(尖閣諸島沖事件当時)、日本の国内には、中国に対して「大人の対応」をすべきである、といった意見がみられました。日本も「けんか腰」になれば、日本は中国と同じレベルになってしまう。したがって、日本は「大人の対応」をすべきである、という主張です。

 たしかにこの主張には一理あります。

 しかし問題は、日本が「大人の対応」を続けていれば、中国は「けんか腰」に振る舞っても大丈夫だと考え、どんどん横暴になることです。



 それでは、どうすべきでしょうか。

 そうです。あまり横暴な態度をとり続けていると、「あなたが」痛い目にあいますよ、というシグナルを送ればよいのです。



 しかし、ここで問題があります。どのようなシグナルを送るべきか、という問題です。

 「やられたらやり返す」というのも、ひとつの手です。しかし、それでは最初に述べた問題、すなわち「日本は中国と同じレベルになってしまう」という問題が生じます。

 この観点でみて、アーミテージ氏の述べる方法、「日本はもう少し、防衛費にお金をかける」「憲法第九条を破棄」などは、優れていると思います。この方法であれば、上記の問題は生じないからです。



 私はこのブログで防衛費の増額、9条破棄などを主張しています。

 私のような主張に対しては「軍拡競争になる」などの反対意見もありますが、こちら(日本)が丁寧な対応を続けるかぎり、相手(中国)の横暴な態度は変わりません。「軍拡競争になる」などと言っている場合ではないと思います。

 考えてもみてください。
  1. いま、こちら(日本)は丁寧な「大人の対応」を続けているにもかかわらず、相手(中国)は軍事力を強化しつつ、横暴な態度に出ている。
  2. もし、こちら(日本)が防衛費を増額し、9条を破棄すれば、相手(中国)はもっと軍事力を強化する。
 この状況は、こちら(日本)がどのような態度に出ようと、相手(中国)は軍事力を強化する、ということです。中国がどんどん軍事力を強化しているにもかかわらず、
「軍拡競争」を避けるために、日本は軍事力(=防衛力)を強化すべきではない
という主張は、どこか「おかしい」と思いませんか? これって、「けんか」を避けるために「殴られても抵抗するな。我慢しろ」と(ほぼ)同じだと思います。

 このままだと、あなたが(中国が)痛い目にあいますよ、あなたに(中国に)不利になりますよ、というシグナルを送ることも必要ではないでしょうか?



 私の場合も、

 「弁護士による「詭弁・とぼけ」かもしれない実例」や「改革が必要なのは検察庁だけではない」などで紹介した弁護士さんは、こちらが「大人の対応」をしているにもかかわらず、私のほか、他の弁護士さんにも「怒鳴りつける」など、横暴な態度に出ていましたが、

 ブログでときどき実名を挙げているにもかかわらず、(その弁護士さんから)まったく苦情等がありません。「なんだ~あ? それは?」といった、ヤクザまがいのコメントも、まったくありません。

 実名を挙げていることが、一種のシグナルになっているのかもしれません。



 なお、このところすこし疲れているためか、体調がすぐれません。(年内にこの本を終えるに越したことはないので)復活後は再び、可能なかぎり複数記事を投稿したいと思います。
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