言語空間+備忘録

メモ (備忘録) をつけながら、私なりの言論を形成すること (言語空間) を目指しています。

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規制緩和のもたらすもの

2009-08-30 | 日記
内橋克人とグループ2001 『規制緩和という悪夢』 ( p.45 )

 七〇年代終わりから始まったアメリカの規制緩和の波はアメリカの社会をどう変えていったのだろうか?
 整理をすると次のようなことになる。
 (1) まず、規制緩和の中で、アメリカの終身雇用制は終わりを告げていった。
 実はアメリカでも、一九六〇年代までは、…(中略)…大学を出たらずっとひとつの企業に勤め続けるという終身雇用制の企業文化がごく普通にあった。それが、規制緩和による競争の激化で変わっていったのである。
 アルフレッド・カーンが再び語る。
「アメリカの終身雇用制が終わりを告げていったことに、七〇年代末からの規制緩和が大きな役割を果たしたことは間違いありません。むろん、規制緩和だけでなく、同時期に始まった自動車や、電子機器などの国際的な競争も大きな役割を果たしているでしょう。大事なのは、それが規制緩和による国内的な競争であれ、国際的な競争であれ、競争のあるところでは労働力の移動の柔軟性は不可欠のことだったのです。つまり、規制緩和と終身雇用制は両立しない二つの概念だったのです」
 (2) 富の分配の不均衡が増大した。
 ワシントンのブルッキングス研究所のクリフォード・ウィンストンは、「規制緩和成功」論の急先鋒エコノミストだが、その彼でさえ、一九九三年に発表した自著『経済的規制の緩和』で次のように書いている。
〈一九八〇年代に賃金の不均衡が急激に増大した。規制緩和は、米国の労組を弱体化させ、企業および労働者階層間の賃金格差を増大させた。規制緩和は価格を限界費用に近づける一方で、賃金を限界生産に近づけたため、最も低い熟練度しか有さない労働者と、収益のもっとも低い企業の労働者の相対的賃金を減少させた〉

(中略)

 アメリカ労働統計局のデータによれば、一九七〇年に週給二百九十八ドルあったアメリカ人の平均の実質給与は、一九九二年には二百五十五ドルまで目減りしてしまっていることがわかる(一九八二年の貨幣価値で計算)。アメリカ人の平均の実質賃金は、一九四七年から一九七〇年までは、七〇パーセント増と、成長しつづける一方だったのが、その後の二十年間では、約一五パーセントも減ってしまったのである。
 こうして中流の所得者層の賃金が目減りする中で、金持ちはますます富んでいった。「フィラデルフィア・インクワイアラー」紙のジェームス・スティールとドナルド・バーレットは、内国歳入庁の三十年にわたる所得データから、アメリカの所得分布がどう変化したかを、コンピューターで計算している。それによると、一九五九年には、アメリカのトップの四パーセントの総収入は、アメリカの下から三五パーセントの総収入と同じだった。ところが、一九九一年には、これが、五一パーセントの収入と同じになってしまうのである。
 スティールとバーレットは、一年間にわたる調査の結論として、こうした富の二極分化は、八〇年代に行われた税の簡素化(累進課税の大幅な見直し)と規制緩和、国内製造業の空洞化がもたらしたとしている。


 アメリカでは、(1) 規制緩和は終身雇用制の終焉と、(2) 富の二極分化をもたらした、と書かれています。



 (1) 規制緩和が終身雇用制の終焉をもたらす、というのは、競争が激しくなると、終身雇用を維持していたのでは、競争に勝ち残れない、ということなのだろうと思います。

 この話 ( アメリカで起きた現実 ) は、終身雇用を維持してこそ、労働者は熱心に働くので、効率が上昇する、という考えかたが、成り立たない可能性が高いことを、物語っています。ここで、次のニュースがひっかかります。

MSN産経ニュース」 の 「派遣社員1000人を正社員化 レンゴー」 ( 2009.1.19 19:53 )

 段ボール大手のレンゴーは19日、工場で働くすべての派遣社員約1000人を今年4月から正社員として採用する方針を明らかにした。派遣社員の多くが今春、最長3年間の契約期限を迎えるが、期限後3カ月間は同じ派遣契約ができないため、正社員化で人材を確保する。新たに年間数億円の人件費が必要となるが、大坪清社長は「安易な派遣切りではなく、士気向上で生産性効率を高める」と説明した。


 レンゴーの決断は、( 社会的には好ましい、とは思いますが ) 本当に生産性効率が高まるのかが、問題です。今後の業績が気がかりです。



 なお、(2) 規制緩和が富の二極分化をもたらす、というのは、競争が激しくなる以上、当然だと思います。



 ところで、労働者は、なぜ、終身雇用に固執するのでしょうか? 私には、それがどうしてもわからないのです。
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